No.002 人と技術はどうつながるのか?
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原理

自己帰属性とインタラクションの未来

いま、産業ではユーザエクスペリエンス、製品やサービスがもたらす「体験」が重要であると言われはじめている。自己帰属感は体験に直接的である。我々の設計対象はまさにここである。「心地がよい」とか「気持ちがよい」というのは五感の複合や掛け合わせ(クロスモーダル)ではなく、身体動作との連動による道具の自己帰属感を高めたり低めたり、あるいは揺らぎを与えることかもしれない。これは五感から発想していては、到達できない。

では、これから人とシステムの関係、インタラクションはどういう方向に向かうのだろうか?

まずは従来のように人とシステムインタラクションの設計の延長として、自己帰属感創出のための設計手法の探求を行い、極めて高いリアリティや体験を提供するデバイスの開発を目指すことがあるだろう。

次に、今日人類が持つ最高の道具でありメディアであるインターネットを自己に帰属させることが目標になるだろう。インターネットはWebを中心とした「ブラウザを通じてページにアクセスし、情報を得る」というインタラクションで人は関わっているが、これはまだ極めて未熟な状態だ。この言わばインターネットの身体化、あるいはインターネットへの身体の拡張は、検索せずとも情報は肉体の一部かのように、行動に直接影響するようになるだろう。また他者という感覚も変わるくらい、コミュニケーションも変わる可能性もあるだろう。

インタラクション研究者は、あらゆる手段を通じてインターネットを透明にしようとしている。これがインタラクション研究の挑戦であり、私たちはそう遠くない未来に、新しい身体性を獲得していくこととなるだろう。

[ 脚注 ]

*1
J.Jギブソン:ジェームズ・ジェローム・ギブソン(James JeromeGibson)アメリカ合衆国の心理学者。知覚研究を専門とし、認知心理学とは一線を画した直接知覚説を展開。アフォーダンスの概念を提唱して生態心理学の領域を切り拓いたことで知られる。
*2
生態心理学:私たち知覚者と環境とを一体のものと考え、環境と身体との相互作用に注目し、知覚—行為のシステムの性質を解明する心理学分野。

Writer

渡邊恵太

インタラクションデザイン研究者。
JST ERATO 五十嵐デザインインタフェースプロジェクト研究員、東京芸術大学非常勤講師。
1981年生まれ、慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 博士号取得。
「 計らなくても済むスプーン」や「 風をデザインする扇風機」など生活の中で手動と自動のあいだの 様々な興味深いインタラクションデザインを発表している。

HP: http://www.persistent.org/

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