No.002 人と技術はどうつながるのか?
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広告の主戦場は、モバイル端末向けになる

今後デバイスの主流は、パソコンからスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に移行すると言われている。では、モバイル端末での広告はどうなるのか。

世界で10億人ものユーザーを抱えるFacebookは、モバイル端末からの広告収入の弱さを指摘され続けてきた。これはFacebookだけに限らず、ネットサービスを提供する企業全般に当てはまる問題だ。

パソコンと同じ広告をそのままモバイル端末上に表示すればよいだけだと思われるかもしれないが、話はそう簡単ではない。パソコンよりもはるかに小さな画面のモバイル端末で、パソコンで使われているのと同じ大きさの広告を表示したら、貴重な表示領域のほとんどが広告で埋め尽くされてしまう。また、無線でのデータ通信速度はまだ十分ではないため、広告を表示するとサイトやアプリの使い勝手も悪くなり、結果的にユーザー離れを招いてしまう。

こうした課題に対応するためFacebookが取り入れたのは、「スポンサー記事」のモバイル版だ(スポンサー記事は、広告主のFacebookページを「いいね!」してくれた人の知人に対して、リンクを表示する)。ソーシャルグラフ(ネットやリアルでの人間関係)を利用して、ユーザーインターフェースの使い勝手を損ねることなく、広告表示を実現した。モバイル版スポンサー記事のクリック率はデスクトップ版の広告に比べて10倍以上にもなるという。

スマートフォンなどではより詳細なユーザーの情報も利用される。中でも重要なのが位置情報であり、Facebookもこれを利用した超ローカルモバイル広告に参入すると噂されている。

さらに、その先にある広告の未来となると、よく引き合いに出されるのがスティーブン・スピルバーグ監督の映画『マイノリティ・リポート』だ。壁面に映し出されるさまざまな広告が、トム・クルーズ演じる逃亡中の主人公に呼びかけてくる様が印象的である。

先に述べたようにターゲティング広告や、動的コンテンツのリアルタイム自動生成、位置情報やソーシャルグラフ、そしてGoogle Glassのようなヘッドマウントディスプレイを組み合わせることで、こうした広告も技術的にはほとんど実現可能になりつつある。常に身につけるモバイル端末は、ユーザーに関する情報をパソコンよりもはるかに多く取得できるため、ターゲティングの精度はこれまでより比較にならないほど向上することになるだろう。

[写真] facebook「スポンサー記事」の例。Facebook上での友達が「いいね!」を押した広告が配信され、クリック率は高い。

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