No.002 人と技術はどうつながるのか?
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人間の存在感を伝える抱き枕型通信メディア「ハグビー」

余分な情報をそぎ落としたインターフェースとしては、ATR石黒浩(特別研究室室長兼大阪大学教授)が開発した「ハグビー」にも注目したい。石黒教授は、以前から、人間の存在感の本質とは何かということをテーマに研究を行っており、人間そっくりのアンドロイド「ジェミノイド」や人間の存在感を伝えるアンドロイド「テレノイド」、テレノイドを小型化した「エルフォイド」などを開発してきた。ハグビーは、その系譜につながる最新の成果であり、声と鼓動で相手の存在感を伝えながら対話できる、抱き枕型の通信メディアである。

石黒教授は、人間の存在感を追求するために、まずとことん人間に似せたジェミノイドを作り、そこから逆に要素をそぎ落とし、人間として最低限必要な見かけと動きの要素を具現化したテレノイドを開発した。ハグビーは、テレノイドからさらに動きの要素を削減した通信メディアであり、内蔵したバイブレーターで、心臓の鼓動を再現した振動を発生する。携帯電話を接続して利用し、バイブレーションによる振動は、対話する相手の声の大きさにあわせて変化するため、声による存在感を増強できる。それによって、相手への共感が強まり、対話に引き込まれ、沈黙時も相手がそこにいる感じがするのだ。

[写真:左] 左が人間そっくりのアンドロイド「ジェミノイドF」で、右がそのモデルとなった女性
[写真:右] 存在感を伝えるコミュニケーションメディア「テレノイド」。ジェミノイドFに比べて大幅に外観が簡略化されている
[写真] 携帯電話と接続して利用する抱き枕型通信メディア「ハグビー」。抱きかかえた状態で通話する
[写真] ハグビーはさまざまな色が用意されている

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