病気や疾患は、体の外から侵入してきた細菌やウイルスによるものだけではありません。自分自身の正常細胞が、がん細胞などの異常細胞に変化してしまうことで起きる病気は、大変厄介で難病と言われています。
このほか、失明、難聴、心臓病、がん、白血病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病など、私たちの前には、さまざまな難病が立ちはだかっているのです。
これら難病に対して、現在、さまざまな医療技術の開発が進んでいます。
臓器が異常細胞や外部の病原菌などに侵され機能を失う難病への治療として、機能そのものを新たに作り出すための再生医療に注目が集まっています。
遺伝子レベルであるmiRNA(マイクロ RNA)を検出してがんの超早期診断法に利用する研究、さらには遺伝子そのものを操作して異常細胞を正常細胞に変える「遺伝子治療」なども難病を克服する技術です。
さらには、人工心臓をはじめとする人工臓器のように体内埋め込み器具を永久に動かすための電源技術なども難病に光明を照らすテクノロジーです。
今回の特集では、最先端の難病治療は今どのレベルに来ているのかを明らかにしていきます。
- 大病院の精密検査機能をダウンサイジングして、
日常生活の中で病気の芽をいち早く発見 - 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 教授
一木 隆範
- 生きるための体の働きを取り戻す遺伝子治療、
難病の根治には手が届きかけている - 自治医科大学 地域医療学センター 東洋医学部門 特命教授
村松 慎一
- 現代版「ミクロの決死圏」に挑戦
- スタンフォード大学准教授
エイダ・プーン