Introduction
宇宙開発

日本の宇宙開発

台頭する宇宙開発新興国

かつて、アメリカとロシアがリードしてきた宇宙開発の流れも21世紀に入ると大きく変化した。
近年は、インドや中国などの新興国の宇宙開発がめざましい。インドは昨年、探査機を火星周回軌道へ投入することに成功し、アジア圏で火星への一番乗りを決めた。2016年には世界で四番目の有人ロケットの打ち上げを目指す。そのインドに先駆けて有人ロケットの打ち上げに成功したのが中国だ。2013年には月面への軟着陸にも成功。今後は中国独自の宇宙ステーション保有を目指すという。急速な経済成長を背景にした東南アジア諸国の参入も盛んだ。外国から衛星を調達したり、自国で観測衛星の開発を進めたりする国も増えており、防災、環境監視、交通インフラなどへ利用している。こうした新興国の活動により、相対的に日本の存在感が薄れているのでは? という声も聞く。果たしてそうなのか。

日本の宇宙開発の動き

日本の宇宙開発の動きに目を向けると、記憶に新しいのは、今年7月に国際宇宙ステーション(ISS)に向かった油井亀美也宇宙飛行士が、8月に日本の宇宙輸送船「こうのとり5号」をロボットアームでキャッチ、見事、ドッキングを果たしたことだろう。2016年に入っても宇宙開発ミッションが目白押しだ。油井宇宙飛行士に続き、大西卓也宇宙飛行士のISS行きが決まった。「こうのとり6号・7号」の打ち上げも予定されている。欧州宇宙機関(ESA)と共同のプロジェクト、水星探査計画「ベピ・コロンボ」も開始され、日本と欧州の探査衛星による、灼熱の惑星・水星の新たな一面の発見に期待がふくらむ。イプシロンロケットによるジオスペース探査衛星「ERG」の打ち上げもある。さらに、日本の宇宙開発の未来を担う新型基幹ロケット「H3」の開発も進行中だ。

官民共同で宇宙開発

日本の持つ最先端の技術を結集させ、宇宙探査、特に太陽系フロンティアの開拓に向けた研究開発を通じ、イノベーションの創出を目指すプロジェクトも始動している。「イノベーションハブ・プロジェクト」だ。宇宙探査の課題の解決にむけて、初期の検討段階から企業や大学のアイディアを取り入れ、一体となって研究を進めるという。積極的に活動を続ける「Japan」の最新宇宙開発の取り組み・動向に迫る。

No.009 特集:日本の宇宙開発

CROSS × TALK

探究心を乗せて、地球から星空へ
前篇 後編
國中 均 × 牧野 一憲

Expert Interview

日欧共同の国際水星探査
計画「ベピコロンボ」
JAXA 宇宙科学研究所
太陽系科学研究系 教授
Bepi Colombo プロジェクト
チーム
プロジェクトマネージャー

早川 基

次世代の主力大型ロケット
「H3」
JAXA 第一宇宙技術部門
H3プロジェクトチーム
プロジェクトマネージャー

岡田 匡史

ソーラーセイル技術を実証する
「ライトセイル」計画
惑星協会
Director of Sience and
Technology
ブルース ベッツ

Copyright©2011- Tokyo Electron Limited, All Rights Reserved.