No.005 ”デジタル化するものづくりの最前線”
Scientist Interview

社長自らがモデリングして
プロトタイプを3Dプリンターで作成

──今回のハードウェア開発にあたって、どのようにITを活用したのでしょうか?

そうですね。最近はどこでも3D CADを使って設計をしていますが、我々は3D CADは使いませんでした。ただ、最近の3Dプリンターは、ゲーム開発で使っているような3D CGソフトで造形することもできます。だから、わたしは使い慣れているLightWave 3Dでモックアップをモデリングし、3Dプリンターで何個か出力して、こんな感じかなあと試作をしました。その時点で、既にくさび形のデザインができていました。薄さを狙うのではなくて、邪魔なものにしよう、立つようにしようという狙いです。ただ、それをイラストレーターに見せたら、さすがにこれだとカバンに入らないよねという意見もあり、折り曲げられるハンドルを付けることになりました。

──そのあたりは、やはり新しいモノ作りの手法ですね。

はい、かなりそう言えるのではないでしょうか。普通、社長が自分でモックアップをモデリングする会社はないでしょう。enchantMOONのために3Dプリンターを導入し、ディスカッションの際にも、メンバーにモックアップを見せていました。

──enchantMOONの開発部隊は全部で何人くらいなのですか?

メインの人間は、企画が1人とプログラマーが5人、製造管理が2人、それらをまとめる人が1人で、それと僕。だから、全部で10人ですね。

──それはかなり少ないというか、少数精鋭という感じですね。

そうでしょうね。実際、販売開始してからは、カスタマーサポートも増えましたが、それでも15人くらいですね。

──開発期間は2年くらいですか?

正式にやろうということになったのが、去年の4月くらいだから、ちょうど1年半くらいですね。

──試作機ができてから、量産までが、また大変だったみたいですね。

大変でした。すでに去年の時点で試作機はできていましたが、そのハンドルを付けた製品を実際にラインに乗せるというのは、全然違う設計が必要で、僕らには、そのノウハウがありませんでした。

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