No.005 ”デジタル化するものづくりの最前線”
Scientist Interview

アプリケーションとデータの関係を根本から変革した

──enchantMOONの想定ユーザーはどのようなものでしょうか。

いま紙とペンでメモをとっている人達が、一人でも多くenchantMOONをつかって欲しいという希望はあるのですが、まだ、動作速度的な問題もあり、そこまでいけないとしても、まずはこれを使って何か新しい、面白いことを考えてやろうみたいな人達が最初の想定ユーザーです。

新たな機能をカスタマイズして自ら作りだすユーザーがターゲット。の写真
[写真] 新たな機能をカスタマイズして自ら作りだすユーザーがターゲット。

──ユーザーによるシール作成も盛り上がっていますよね。

そうですね。enchantMOONでは、プログラムがシールという概念になっているのですが、それを色々なユーザーが自由な発想で作ってくれて、様々なプログラムが出てきました。実際に作られているシールを見てみると、例えば文章を消すためのシールもあります。従来、「範囲選択をして消す」という機能は基本機能なので、アプリケーションとしては成立しないのですが、enchantMOONではその程度の基本機能を自らプログラミングして公開することができます。ほかにも、カット&ペーストやUndo機能自体をアプリケーションにして、配っている人もいます。enchantMOONのユーザーは、こうしたアプリケーションの中から、自分で好きな機能を選び、カスタマイズして使うこともできるのです。

そういう意味では、非常に柔軟で、もっと新しいパラダイムを開ける可能性を感じています。わたしは、そういった可能性を自ら作り出す人、つまり、シードを実際に作れる人と、その作り出されたプロセスに参加したい人が、主なターゲットユーザーだと捉えています。

──この間、enchantMOONのプログラム開発者向けのカンファレンス「Crew & Developers Conference」も開催されましたし、ユーザーコミュニティも期待通りに動いている感じですか?

今のところ期待以上ですね。こんなに盛り上がるとは思わなかったので。そういう人が10人でもいればいいかなと思っていたくらいです。みんなが、カスタマイズできるところを残しているつもりなのです。プラモデルだって、完成したものを買ってもつまらないでしょ。メーカー側で全部作ってもいいのですが、開発の人員も少ないし、ユーザー自身で作って欲しいという思いがあったので、そういう意味では非常に狙い通りでした。

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