Science News

体と一体化する、
ファッショナブルなタッチセンサー

2015.5.18

タトゥーシールのような感覚で使える入力デバイス「iSkin」。 © 2015 Embodied Interaction

Apple Watchに見られるように、ウェアラブルデバイスへの注目が高まっている。現在は時計やメガネといったすでになじみ深いアイテムに、さまざまな機能を持たせたものがウェアラブルデバイスだが、将来的には、ユーザーがデバイスの存在自体を感じなくなるように進化していくかもしれない。
Embodied Interactionが開発している「iSkin」は、そうした未来デバイスのコンセプトモデルだ。Embodied Interactionは、マックス・プランク研究所とザールラント大学に属する研究グループで、プリンテッドエレクトロニクス(印刷技術をエレクトロニクス機器の製造に応用すること)やフィジカルコンピューティング(リアルなモノを用いて、コンピュータを身近にしようという取り組み)などの研究を行っている。iSkinもそうした研究の一環として開発されている。
iSkinは、ステッカー状のシリコンシートで肌に貼り付けられる入力デバイスである。2つの電極を複数のシリコンシートで挟んだ構造になっており、強弱のタッチを判別して入力できるようになっている。ユニークなのは、電極自体がデザインの一部になっていること。電極をさまざまな図形に切り抜き、透明なシリコンシートに挟み込むことで、タトゥーシールのように体に貼って使うことができる。シートは生体適合素材でできているため安全に貼り付けることができ、使わないときには丸めてしまっておける。
研究チームは、指先や腕、手の甲、耳の後ろなどに貼り付けて、スマートフォンや音楽プレイヤーのコントローラーとして使うことや、スマートウォッチなどの補助入力デバイスとして使うことを提案している。スマートウォッチを使っていて、文字を入力したくなったら、収納されていたキーボードをくるくると引き延ばして使用するわけだ。
現在のところ、iSkinとデバイスとの接続は有線だが、将来的には無線接続にしたり、温度や触覚を利用して情報をユーザーに伝える仕組みを組み込んだりすることが検討されている。

(文/山路達也)

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