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バーチャル地球儀で、古代超大陸の移動を体験

2016.5.30

Gplates Portalで公開されているアプリケーションの1つ「SRTM15 Topography」。日本列島周辺のプレートの様子もよくわかる。

Google Earthなどのサービスが発達したおかげで、私たちは現在の世界がどのような姿をしているのかをスマホやパソコンで確かめられる。そして今や、何億年も前に起こった超大陸の移動までも手軽に体験できるようになった。
シドニー大学のEarthByteグループが運営する「Gplates Portal」は、地質学的なデータをバーチャル地球儀上に表示するサービス。地球儀をインタラクティブに操作することで、専門知識のない人でも地質学の最新研究成果を手軽に楽しむことができる。
中でも人気なのが、ロディニア大陸のアプリ「Rodinia Reconstruction」と、パンゲア大陸のアプリ「Geology Reconstruction」だ。前者は10〜6億年前に存在した超大陸、後者は2億5,000年〜2億年前に存在した超大陸である。再生ボタンを押せば、こうした超大陸がどのように誕生し、分裂していったかを体験できるのだ。
パンゲア大陸は、アルフレート・ヴェーゲナーが1912年に提唱した大陸移動説の中に登場する仮説であった。発表当時は激しく批判された大陸移動説は、その後プレートテクトニクス理論として確立されていったわけだが、その成果がスマホでも見られるようになったというのは感慨深い。
3DCGによって精密に再現された海底地形アプリ「SRTM15 Topography」も、簡単に楽しめて人気のコンテンツ。日本列島周辺のプレートの落ち込みや、海底火山の隆起などは必見である。
Gplates Portalには随時新たなコンテンツが追加されており、最近では調査船が採取した約1万4,500近くのサンプルデータから作られた、海底堆積物の分布と地形を表現した3Dマップも見られるようになった。この3Dマップを海洋学のデータと組み合わせて、堆積物と海水面の関係を調べるなど、実際の研究にも使われているという。
バーチャル地球儀で、ぜひ超古代や現在の地球の姿に思いをはせてほしい。

(文/山路達也)

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