Science News

エイリアンの作った超巨大構造か? 謎の変光星の秘密を探る

2016.9.20

KIC 9462852が不思議なパターンを示す原因は謎に包まれたまま。彗星通過説、破壊された惑星の破片説(図)などが提唱されているが、決め手には欠ける。Credit: NASA, JPL-Caltech

今、天文学者、天文ファンの間で熱い注目を集めているのが「KIC 9462852」という星だ。KIC 9462852は地球から1480光年離れたところに存在する連星で、太陽より少し大きくて熱い主星と、暗い赤色矮星(わいせい:半径が小さく絶対等級暗い恒星)の伴星で構成される。
米エール大学のTabetha Boyajian氏らがケプラー宇宙望遠鏡のデータを分析したところ、KIC 9462852の主星からの光は不規則な間隔で15〜22%減光していることが判明。通常、木星並みの巨大惑星が横切ったとしても、減光は1%程度であり、15〜22%の減光現象は、従来の理論で説明できない。
減光の原因として、「エイリアンが作った超巨大構造物」という説を唱えるJason Wright博士のような天文学者もいる。1960年代、アメリカの物理学者フリーマン・ダイソン博士が提唱した、「高度に発達した文明は恒星を人口構造物ですっぽり覆い、エネルギーを最大限に活用するはずだ」という仮説を基にした見解だ。
他にも、彗星の群れが主星からの光を遮っているという説も出ているが、その場合は半径200kmの彗星が64万8000個も列をなして通過しなければならないという反論がなされた。また、KIC 9462852の発する光は過去100年間で約19%も暗くなっているというデータも新たに出てきた。
KIC 9462852の謎を最初に発表したTabetha Boyajian氏らは、ラス・クンブレス天文台グローバル望遠鏡を確保してKIC 9462852を観測するプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングを実施。2016年6月にプロジェクトは目標額の100,000ドルを達成。現在謎の解明に向かって進行中だ。

(文/山路達也)

Copyright©2011- Tokyo Electron Limited, All Rights Reserved.