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インタラクティブに「触れる」ビデオを
低コストで制作

2016.10.17

MITが開発したIDVという技術を使うと、対象物を短時間撮影するだけで、インタラクティブなコンテンツを作成できる。

スマホゲームのポケモンGOやゲーム機用のVR環境PSVRなど、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)が世界的な注目を集めるようになっている。VRやARが普及するかはコンテンツの充実にかかっているといっても過言ではない。しかし、VRやAR用にインタラクティブなコンテンツを作るためには、3DCGモデルを作る必要があり、どうしてもコストがかかってしまう。
だが、MITのCSAIL(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)が開発した新技術を用いることで、VRやAR用コンテンツの制作コストは格段に下がるかもしれない。
研究チームが開発したのは、"Interactive Dynamic Video"(IDV)という技術である。
IDVによるコンテンツ制作は非常に簡単だ。一般的なビデオカメラで、対象となるオブジェクトを数秒から数分程度撮影し、専用ソフトウェアにかけるだけだ。
このソフトウェアは、動画に含まれるオブジェクトがどのような周波数で、どの方向に振動するのかを判定し、そのデータを元にインタラクティブなコンテンツを生成するのである。
例えば、風になびく木や布を撮影し、ソフトウェアにかけてコンテンツを生成する。ユーザーは画面中の木や布をマウスや指を使って操作できるようになるのだ。従来であれば、こうしたコンテンツを作るためには、木や布の3DCGモデルを一から作る必要があったが、そうしたプロセスが不要になるため、コンテンツ制作の効率は一気に高まりそうだ。 研究チームが応用例として挙げている例はゲームである。例えばポケモンGOであれば、ボールやモンスターが画面中のモノに接触した時に揺らしたりすることもできるようになる。
IDVの応用はエンターテインメントに限らない。ビルや橋などの建造物を撮影し、強風や地震によってどのような影響を受けるかシミュレーションすることも可能になるという。

(文/山路達也)

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