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「半導体なし」のマイクロエレクトロニクス技術が可能になる?

2017.3.21

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが作成したメタマテリアルの電子顕微鏡写真。半導体を用いず、高い電気伝導度を実現する。

「エレクトロニクス」と聞くと、私たちはすぐに「半導体」を思い浮かべる。ところが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、半導体を用いない小型エレクトロニクスデバイスを作成することに成功した。
半導体を用いないとはどういうことか?
例えば、トランジスタのようなデバイスの性能は、材料の物性によって制約されている。半導体に電流を流すには外部からエネルギーを与える必要があり、また材料内で電子は他の原子と衝突しながら移動することになる。
研究チームが考えたのは、半導体を真空やガスに置き換え、電子はその空間を移動できるようにするというアイデアだった。しかし、電子が空間に放出されて移動できるようにするためには、材料に対して高電圧、高温をかけなければならない。
そこで研究チームは、メタマテリアルを活用することにした。メタマテリアルというのは、電磁波に対して自然界には存在しない振る舞いをする物質のこと。
マッシュルーム型のナノ構造を持ったメタマテリアルを金で作り、それをシリコンウェハの表面に形成。ウェハとメタマテリアルの間には、シリコン酸化膜の層を挟む。
こうして作成されたデバイスに、10V未満の低電圧をかけ、低出力の赤外線レーザーを照射すると、材料から電子が空間に放出され、電気伝導度は1000%増加した。
まだ原理実証の段階ではあるが、研究チームによれば高周波あるいは高電圧のデバイスに有効な可能性があるという。現在よりも効率の高い、太陽電池や光触媒が登場することになるかもしれない。

(文/山路達也)

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