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1回の注射で複数回分のワクチン投与を可能にする超小型カプセル

2017.12.4

これらのカプセルは、別に作成されたカプセルと合わせて組み立てられる。
1つ1つのカプセルに薬剤を充填しているところ。これらのカプセルは、別に作成されたカプセルと合わせて組み立てられる。Courtesy of the Langer lab

子どもへのポリオワクチン接種など、いくつかのワクチンは何回かに分けて接種する必要がある。日本のように医療インフラが整っている先進国であれば、接種される側は「面倒くさい」と文句をいう程度で済むが、発展途上国ではそうはいかない。複数回のワクチン接種は、する側にもされる側にも、多大なコスト負担を強いるのだ。
この問題を解決しうるテクノロジーが、MITのエンジニアによって開発された。
これまでにも超小型のカプセルに薬剤を詰めて患者に投与し、一定時間が経過した後に体内で薬剤を徐々に放出させる技術はさまざまな研究機関が開発してきた。今回の技術の特長は、指定した間隔で、複数回に渡って薬剤を放出できることにある。
MITが開発したカプセルは、生体適合性のポリマーでできた、1辺数百マイクロメートルの立方体だ。この小さなカップ1つ1つに薬剤を充填し、蓋を熱で接着。できたカップは整列され、さらに別のレイヤーのカップといっしょに組み立てられる。薬剤がどれくらいの間隔で放出されるかは、骨格となるポリマーの分子量で調整できる。
研究チームは、卵白に含まれるタンパク質を使ってカプセルを作成し、マウスに注射した。注入後、9日目、20日目、41日目に、タンパク質が放出されることを確認できたという。また、注射してから数百日後に薬剤を放出するカプセルの設計も行われた。現在、研究チームは薬剤やワクチンが体内で長期間安定した状態を保つことができるかを試験している。
長期にわたる投与が可能になれば、発展途上国のワクチン接種だけでなく、生活習慣病やアレルギー治療でも大きな効果を発揮することになりそうだ。

(文/山路達也)

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