No.004 宇宙へ飛び立つ民間先端技術 ”民営化する宇宙開発”
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いよいよ民間の宇宙船が今年就航!

前ページで述べた弾道飛行というのは、まるで大砲の弾を上に向けて撃ったときのように、再び地球に落ちてくる飛び方のことである。ちょっとだけ宇宙に顔を出しただけですぐに帰ってくる、「簡易的な宇宙旅行」であると言える。*1

しかし弾道飛行には、打ち上げに必要なエネルギーが、周回飛行に比べ、格段に少なくていいというメリットがある(というより、エネルギーが足りないから周回飛行にならない、と言った方が正しいが)。

周回飛行の場合、ロケットは噴射が終わった段から切り捨てていき、身軽になっていく多段式となる。こうしないと、周回飛行に必要な速度を得ることができないのだが、もっとエネルギーが少なくて良い弾道飛行であれば、一段式も実現可能。単段式であれば捨てる部分がないので、機体の再利用も行いやすい。

再利用ができるとなると、使い捨てのロケットに比べ、大幅なコストダウンが可能となる。使い捨て型では、打ち上げごとに機体を新しく製造する必要があるが、再利用型なら、燃料代と、あとは整備費くらいで済む。要は、飛行機がやっているようなことを、宇宙船でも実現しようというわけだ。

再利用型の宇宙船ならば、低コストで宇宙旅行サービスを提供できる。現在、各社による開発競争が進んでいるところであるが、実現に最も近い位置にいると見られているのが、英ヴァージン傘下のヴァージン・ギャラクティック社だ。同社はSpaceShipOneをベースに大型化した「SpaceShipTwo」をすでに製造済み。2013年中の初飛行を目指し、試験を行っているところだ。

SpaceShipTwoの写真
[写真] 中央がSpaceShipTwo。8人乗り(パイロット2名+乗客6名)に大型化されている
Credit:Mark Greenberg/Virgin Galactic

費用は1人当たり20万USドル(1ドル=95円のレートで約1,900万円)。高いと思われるかもしれないが、億単位のお金が必要になる周回飛行に比べると格段にリーズナブル。すでに世界中から500人ほどが予約しており、このうち日本からは16人が申し込んでいるという(2013年3月時点での数字。日本ではクラブツーリズムが代理店となっている)。

ヴァージン・ギャラクティック
http://www.virgingalactic.com/

クラブツーリズム
http://www.club-t.com/space/main.htm

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