No.004 宇宙へ飛び立つ民間先端技術 ”民営化する宇宙開発”
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太陽系の大航海時代は来るか

人類が地球以外の天体に初めて降り立ったのは1969年、米国のアポロ11号が月面への着陸に成功したときのことだ。しかしアポロ計画で最後の宇宙飛行士が月面を離れてからすでに40年。人類の有人宇宙活動は地球低軌道のみとなり、再び月に戻ってくることはなかった。月は依然として近くて遠い天体のままだ。

だが近年、再び活動領域を拡大しようとする動きが活発になってきている。さすがに太陽系外まで行くようなことはまだSFの世界であるが、ターゲットとして考えられているのは、月、火星、そして小惑星である。

まだ実現していないものの、地球を出発して月に向かい、裏側を回って地球に戻ってくる月旅行サービスを計画しているのは、前ページでも紹介したスペース・アドベンチャーズ社。ソユーズに居住モジュールや推進モジュールを追加する計画で、月面着陸まではできないが、気になるお値段は1億ドル(約95億円)とのこと。

そして驚きの火星旅行計画が、米国のインスピレーション・マーズ財団から今年発表された。2名の旅行者を乗せた宇宙船を2018年に打ち上げ、火星のすぐそば(100マイル=約161km以内)を通り過ぎて地球に帰還するというもので、501日間の長旅となる。

実現性についてはまだ疑問もあるものの、同財団のチェアマンは、初の宇宙旅行者となったデニス・チトー氏。月軌道の向こう側は人類にとっては未踏の領域だが、もしかすると国より先に、民間が行ってしまうこともあるかもしれない。

インスピレーション・マーズ
http://inspirationmars.org/

月や火星は有人探査の目的地として古くから注目されてきたが、有力な候補地として期待度が高まっているのが小惑星。各国の宇宙機関が議論して2011年にまとめた「国際宇宙探査ロードマップ」には、国際協力により進める将来の有人探査について、再び月を目指すプランのほか、小惑星を目指すプランも示されていた。

民間でも、小惑星は資源の調達先として期待されており、米国ではプラネタリー・リソース社、ディープスペース・インダストリーズ社と、ベンチャーが相次いで設立、それぞれ無人の探査計画を進めている。ディープスペース・インダストリーズは3Dプリンタ技術による"現地生産"を目指しており、遠い将来には、スペースコロニーの建造も可能となるかもしれない。

ディープスペース・インダストリーズの写真
[写真] ディープスペース・インダストリーズは、小惑星での物資の製造に興味を示す
Credit:Deep Space Industries

プラネタリー・リソース
http://www.planetaryresources.com/

ディープスペース・インダストリーズ
http://deepspaceindustries.com/

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