No.004 宇宙へ飛び立つ民間先端技術 ”民営化する宇宙開発”
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テクノロジー

日本のロケット開発の過去と未来

ペンシルからイプシロン、N-IからH-Xへ

  • 2013.04.22
  • 文/大塚 実

日本の「ロケット開発の父」と呼ばれる糸川英夫教授が、「ペンシルロケット」というまさに鉛筆サイズの小さなロケットの発射実験をしてからすでに半世紀。日本のロケット技術は、火星や金星に向けて探査機を飛ばしたり、国際宇宙ステーションへ物資を運ぶ輸送船を打ち上げたりするまでに発展した。日本のロケット開発の歴史を振り返りつつ、今後はどうなるのか、展望を見ていきたい。

純国産で始まった日本の宇宙開発

「ロケット」というと「巨大なもの」という印象があるだろうが、日本の宇宙開発は、長さがわずか23cmしかない「ペンシルロケット」から始まった。

糸川教授とペンシルロケットの写真
[写真] 糸川教授とペンシルロケット
Credit:JAXA

日本語で言うところの「ロケット」とは、人工衛星を搭載する「乗り物」のことを指すと同時に、推力を生み出す「エンジン」そのもののことでもある。ちょっとややこしいが、ロケットエンジンを使って衛星を打ち上げる乗り物がロケットというわけだ。

ではロケットエンジンとは何なのか。これは単純に言えば、推進剤を高速に噴射する反動により、推力を得るエンジンのことだ。打ち上げに使われるようなエンジンでは、化学反応の1つである「燃焼」反応により、噴射に必要な高温・高圧のガスを作り出しており、このため特に「化学ロケット」とも呼ばれる。

固体の推進剤を使う固体ロケット(左)と、液体の推進剤を使う液体ロケット(右)の図表
[図表1] ロケットには、固体の推進剤を使う固体ロケット(左)と、液体の推進剤を使う液体ロケット(右)がある。どちらも燃焼ガスを高速に噴射することで、推力を得る

燃焼には酸素が必要だ。地上を走る自動車の場合、空気中の酸素が利用できるので「燃料」(ガソリン)だけを搭載すれば良いが、空気のないところに飛んでいくロケットは、燃料と一緒に「酸化剤」も運んでやる必要がある。ペンシルロケットもこの原理は一緒であり、たとえ鉛筆サイズといえども、立派なロケットであると言える。

東京大学の糸川英夫教授がペンシルロケットの水平発射実験を行ったのは1955年のこと。ロケットを上にではなく、横に飛ばしたのは、当時の日本にはレーダーでロケットを追跡する技術がなかったためだという。何枚も薄い紙を並べて立てて、突き破った位置や時間を計測すれば、ロケットがどのように飛んだのか、分かるというわけだ。

2005年の「ペンシルロケットフェスティバル」において再現された水平発射実験の写真
[写真] 2005年の「ペンシルロケットフェスティバル」において再現された水平発射実験。このイベントは水平発射実験の50周年を記念して開催された

このあたりの話については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のWEBサイトにある「ペンシルロケット物語」( http://www.jaxa.jp/article/interview/sp1/index_j.html )が詳しいので、興味があればそちらを参照していただきたい。

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