TOKYO ELECTRON LIMITED

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス体制

基本的な考え方

東京エレクトロンは、グローバル競争に勝ち抜き、持続的な成長を果たしていくためには、それを支えるコーポレートガバナンスの充実に取り組むことが重要であると考えています。そのため、ワールドワイドのリソースを最大限に活用する仕組みを構築するとともに、多様な意見を取り入れ、経営基盤および技術基盤を強化し、グローバル水準の収益力を確立できるガバナンス体制を整備していきます。当社は、「コーポレートガバナンス・ガイドライン※」を制定し、これまで他社に先駆けて整備・強化してきたコーポレートガバナンスの枠組みを示しています。
当社は、取締役会および監査役会から構成される監査役会設置会社の方式を採用し、監査役会による経営の監督のもと、実効性のあるガバナンスを実現しています。

当社のコーポレートガバナンスの特長

独立性・多様性のある取締役会 執行側の機能強化 他に先駆けた先進的な取り組み
  • 取締役の1/2が社外取締役
  •   (社外取締役3名、社内取締役3名)
  • 取締役6名のうち2名が女性取締役
  • 指名委員会、報酬委員会は、いずれも社外取締役が過半数、委員長も社外取締役
  • 執行側の最高位の職位として、コーポレートオフィサー制度を導入
  • 執行側の最高意思決定機関として、コーポレートオフィサーズ・ミーティングを設置し、取締役会から執行側に権限移譲
  • 社外取締役の株式報酬制度導入
  • 取締役・コーポレートオフィサー・執行役員に対する株式保有ガイドライン、業務執行取締役・コーポレートオフィサーに対するクローバックポリシーの導入
コーポレートガバナンスの変遷(1998年以降)
社外取締役 ( 比率) 多様性 ( 女性・外国人) 取締役・執行役員 役員報酬 指名 任意の 委員会 委員会 報酬 委員会 取締役会 実効性評価 サステナビリティ 関連開示

コーポレートガバナンス体制

取締役会 監査役会 指名委員会 報酬委員会 
構成員
社内取締役3名、社外取締役3名、監査役・コーポレートオフィサーも出席し、意見・報告をおこなう

議長
社内取締役(非執行)

開催回数
2022年度 11回
構成員
社内監査役2名、社外監査役3名

議長
社内監査役

開催回数
2022年度 7回
構成員
社外取締役2名、社内取締役1名

議長
社外取締役

開催回数
2022年度 11回

審議内容
取締役の選解任、CEOの選解任、独立社外取締役候補者、後継者育成状況など
構成員
社外取締役2名、社内取締役1名

議長
社外取締役

開催回数
2022年度 10回

審議内容
当社グループの取締役・執行役員等の報酬等の内容に係る方針、当社代表取締役の個人別の報酬等の内容など
執行側の各種委員会
委員会名 主な構成員 目的 開催頻度
倫理委員会 担当執行役員
本部長、関連会社社長
倫理基準に基づく実践状況の検証
企業倫理に関する教育・啓蒙活動の立案、支援
コンプライアンス推進活動の確認
2回/年
サステナビリティ
委員会
担当執行役員
本部長
関連会社社長
サステナビリティ関連方針の検討と策定
サステナビリティ目標(短・中長期)の設定と管理
全社プロジェクトの推進 (環境や人権、RBAなど)
2回/年
リスクマネジメント
委員会
担当執行役員
各リスクオーナー
関連会社社長
全社リスクマネジメントの展開と共有
リスクオーナーと連携した各リスク項目におけるリスクシナリオの精査
および対策への体制や仕組みの整備
2回/年
情報セキュリティ
委員会
担当執行役員
関連会社担当役員
情報セキュリティ戦略と施策の周知
情報セキュリティ計画と現状の共有
2回/年
輸出取引管理委員会 担当執行役員
関連会社社長
輸出コンプライアンス活動の推進 1回/年

コーポレートオフィサーについて

当社は、技術革新が速く市場変化も活発な半導体製造装置業界のリーディングカンパニーとして、ガバナンスのさらなる強化と迅速な意思決定ならびに機動的な業務執行を図るため、2022年6月から、当社独自のコーポレートオフィサー制度を導入しました。コーポレートオフィサーは、当社グループの執行側の最高位の職位であり、担務をもつ執行役員とは異なり、CEOと同じ視座で、全社の経営執行に責任を有します。また、コーポレートオフィサーは取締役会に出席し、業務執行に関する説明をおこなうことにより、取締役会が執行側を適切に監督するとともに、取締役会での議論を適切かつスピーディーに業務執行に活かすことで、攻めの経営を推進しています。
併せて執行側の最高意思決定機関であるコーポレートオフィサーズ・ミーティングを設置しました。コーポレートオフィサーズ・ミーティングは、コーポレートオフィサー(6名)の他、社内取締役や社内監査役も参加して原則月1回開催され、取締役会から執行側へ権限委譲された事項をはじめ、執行側の重要な事項を審議・決定することにより、機動的な業務執行の実現に寄与しています。

取締役会およびオフサイトミーティングの主な議題
CEO
  • CEOの業務執行状況報告(毎回)
  • CEOミッションの共有
中長期戦略
  • 中長期の市場環境と当社の成長計画
  • 中期経営計画および今後の成長戦略
  • 財務戦略・資本政策、人材戦略
  • 事業ポートフォリオ(DSS BUの新設)
  • グループ関連会社の合併
  • 国内外の開発・生産施設の増強
  • 業務改革プロジェクト
リスク・コンプライアンス
  • リスクマネジメントプロセスの改善
  • 法務・コンプライアンス、情報セキュリティ
  • 調達リスク
  • パートナーシップ構築宣言
ガバナンス
  • サステナビリティに関する報告
  • ダイバーシティへの取り組み
  • 人的資本への投資、知的財産活動に関する報告
  • 内部監査に関する報告
  • 投資先・政策保有株式の状況
  • IR活動の状況
  • 指名委員会、報酬委員会の活動状況
  • 後継者育成計画の進展状況
  • 代表取締役評価クローズドセッション(代表取締役を除く取締役会メンバー)
オフサイトミーティング

取締役会に加え、オフサイトミーティング(2022年9月と2023年3月の2回)を開催し、中長期戦略、財務戦略・資本政策、人材戦略などについての討議をおこないました。また3月には東京エレクトロン宮城の宮城技術革新センターなどの見学会も実施し、事業への理解を深めるとともに現場の社員との対話をおこないました。

宮城技術革新センターの見学会

役員報酬制度の設計

役員報酬の基本方針

当社グループの役員報酬の基本方針として、以下の点を重視しています。

  1. グローバルに優秀な経営人材を確保できるための競争力のある水準と制度
  2. 短期的業績および持続的な成長に向けた中長期の企業価値向上との高い連動性
  3. 報酬決定プロセスの透明性・公正性、報酬の妥当性の確保

報酬構成

取締役のうち、社内取締役の報酬は、「固定基本報酬」「年次業績連動報酬」「中期業績連動報酬」で構成します。また、社外取締役の報酬は、「固定基本報酬」「非業績連動報酬 (株式報酬) 」で構成します。
監査役の報酬は、経営の監査・監督が主たる役割であることを踏まえ、「固定基本報酬」のみとしております。
報酬の種類別の方針・決定方法などの概要は下表のとおりです。

報酬の種類 対象者 報酬の概要
社内
取締役
社外
取締役
監査役
固定基本報酬
  • 月例報酬とし、株主総会で決議された固定基本報酬限度額の範囲内で決定
  • 社内取締役については、外部専門機関(ウイリス・タワーズワトソン)の職務等級フレームワークを参照し、職責の大きさに応じて設定
年次業績連動報酬 現金賞与
  • 事業年度ごとの業績向上への意識を高めること等を目的に、当年度の業績に連動して支給
  • 現金賞与と株式報酬型ストックオプションで構成し、その構成割合は概ね1対1
  • 具体的な支給額・付与個数は当年度の会社業績と個人パフォーマンスの評価結果に応じて決定
  •   (会社業績の評価指標)
      親会社株主に帰属する当期純利益及び連結ROEを採用し、
      また、営業利益率・営業利益成長率の競合企業との比較結果
      を支給額に反映
      (個人パフォーマンスの評価項目)
      ESG等を含む短期及び中期経営戦略目標に対する貢献度を
      含む
  • 事業年度ごとの業績に応じた利益配分型の報酬とし、固定基本報酬に対する支給割合は設定しない
  • 株式報酬型ストックオプションには、権利付与から3年間の権利行使制限期間を設定し、中長期にわたり株主目線の共有及び企業価値増大への意識を高める仕組み
株式報酬型
ストック
オプション
中期業績連動報酬 パフォーマンス
シェア
(株式報酬)
  • 中期の業績向上への意識を高めることなどを目的に支給
  • 支給率が100%の場合、支給額は職責の大きさに応じて固定基本報酬の30%~100%程度に設定
  • 対象期間(3事業年度)における業績目標達成度に応じて交付株式数を決定
  • 業績評価指標には、連結営業利益率と連結ROEを採用
非業績
連動報酬
リストリクテッド・ストック・ユニット
(株式報酬)
  • 中長期的な企業価値向上の視点から経営に対して助言をおこなうという期待役割に対しより整合した報酬体系とすることを目的に支給
  • 現金報酬と株式報酬を適切なバランスで支給するべく、支給額を固定基本報酬の50%~60%程度に設定
  • 対象期間(3事業年度)終了後に株式を交付

取締役会の実効性評価

取締役会の実効性評価の概要

当社のガバナンスおよび取締役会の実効性をさらに高めるために、2015年度以降、毎年取締役会の実効性評価を実施し、その結果の概要を開示しています。2018年度からは、外部専門家を第三者機関として活用し、前期において課題として認識された事項に関する取り組み状況の検証をおこなうとともに、今後の課題を抽出し、継続的な改善に取り組んでいます。

2022年度の取締役会実効性評価
  • 評価対象
    • 取締役会全体(指名委員会、報酬委員会の活動内容を含む)
  • プロセス
  • 評価項目
    • 実効性評価の主たる評価項目は以下のとおりです。

・全体評価                         ・指名委員会、報酬委員会の役割、運営状況
・取締役会の構成                      ・監査役の役割
・取締役会の事前準備                    ・コーポレートオフィサー制度
・取締役会の運営
・取締役会での審議

  • 前年度の実効性評価で課題とされた項目に対する取り組み

  1. 執行側と取締役会の役割分担、意思決定権限の明確化
    • ・コーポレートオフィサー制度を導入、コーポレートオフィサーズ・ミーティングを設置
    • ・取締役会の付議基準を見直し、決議事項の一部をコーポレートオフィサーズ・ミーティングに権限委譲
    • ・コーポレートオフィサーが取締役会に毎回出席し、コーポレートオフィサーズ・ミーティングでの審議内容や重要な業務執行に関する事項について説明
    • ・オフサイトミーティングでコーポレートオフィサー制度導入後の振り返りを実施し、今後の検討課題を確認

  2. 中長期的な成長と企業価値向上に向けた継続的な議論
    • ・中期経営計画の進捗をはじめとする中長期の成長戦略について、CEOが取締役会で継続的に報告
    • ・オフサイトミーティングを2度開催し、中期経営計画の達成に向けた重要施策とそのロードマップ、ダイバーシティ等の人材戦略や資本政策、リスクマネジメントなどの重要テーマを取り上げて、重点的に討議を実施
    • ・オフサイトミーティングにBUGM(ビジネスユニット・ジェネラルマネージャー)が同席し、中長期の成長戦略に向けた執行状況について、社外役員と意見交換

  3. 取締役会メンバー同士や、任意の委員会との情報共有
    • ・指名委員会について、後継者計画に関する議論の進捗と今後の進め方などの活動状況を取締役会に報告
    • ・取締役会以外の場で取締役会議長と社外役員による情報交換の会議を開催
2022年度の評価結果の概要

当社取締役会は、取締役会の役割・責務を、総じて高い実効性を担保しながら適切に果たしており、指名委員会・報酬委員会を含め有効に機能していると認識しております。外部専門家の分析・評価結果においても、当社の取締役会は「フラットかつ自由闊達な議論」「アジャイルな実行力」「執行の推進力と結束力」といった強みによって支えられて、実効的に機能していることが確認されました。
一方、外部専門家の分析・評価結果を踏まえ、当社取締役会は、今後ますます半導体の重要性が高まる中、より長期的な視点で、将来の事業環境を見据えた戦略的な議論のさらなる充実を図っていくことを共有しました。

今後の取り組み
当社が中長期的にグローバルNo.1となるために、取締役会の監督機能及び執行側の経営・執行機能のさらなる強化に向けて、以下の各事項に継続的に取り組むとともに、定期的に進捗をレビューすることで、その実効性をさらに高めてまいります。

  • 中長期戦略や成長課題に沿ったアジェンダの計画的な設定と長期目線に立った議論の充実を図る
  • 執行側の最高意思決定機関であるコーポレートオフィサーズ・ミーティングの実効性をさらに高める
  • 取締役会の審議状況の分析や審議ポイントのさらなる明確化を図るとともに、取締役会やオフサイトミーティング以外の場での社外役員に対する情報提供機会の拡充を進める

スキルマトリックス

当社は、「製品競争力」「顧客対応力」「生産性向上」と事業活動全体を支える「経営基盤」をマテリアリティ(重要分野)として定義しています。
取締役・監査役が、「グローバルビジネス」「ガバナンス」「サステナビリティ」のほかに、指名委員会および取締役会において定めた、以下のようなスキルを発揮することにより、各マテリアリティの中期目標を達成し、中長期的な利益の拡大と継続的な企業価値の向上を実現します。

期待するスキル項目の定義
企業経営
企業経営の経験(代表取締役、会長・社長経験者)
半導体市場
半導体市場に関する知見
製造・開発
当社及び他の製造業における製造・開発に関する知見・経験
営業・マーケティング 当社及び他の製造業における営業・マーケティングに関する知見・経験
財務会計・資本市場との対話 財務会計、M&Aに関する知見、または、資本市場との対話についての知見・経験
法務・リスクマネジメント 法務、コンプライアンス、リスクマネジメントに関する知見

取締役会の多様性の状況

資本市場との対話

当社では、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、経営層が率先してIR(Investor Relations)・SR(Shareholder Relations)活動に取り組んでいます。IR活動においては、四半期ごとの決算説明会や中期経営計画説明会にCEOおよび各担当役員が登壇し、事業戦略や成長のストーリーを共有しています。また、当社では投資家さまとの深い議論ができるよう、CEO直属の組織としてIR専門部署を設置しています。SR活動においても、当社役員を中心に主要な投資家さまや議決権行使助言会社との建設的な対話を実施しています。株主総会前における議案の説明に留まらず、年間を通して対話をおこない、コーポレートガバナンスやサステナビリティに関する方針や環境・人権・多様性への取り組みなど、さまざまなテーマに関して対話を重ね相互理解を深めています。投資家さまとの対話で得られたご意見などは、定期的に経営層および取締役会に報告しています。

資本市場との対話 IR活動
  • 機関投資家さま向け個別ミーティング624回*、海外ロードショー3回*
情報の提供 決算説明会

中期経営計画説明会
  • 同時通訳や字幕を活用した配信

  • 説明会から1営業日以内のアーカイブ配信、2営業日以内の質疑応答集の開示
定時株主総会
  • 招集通知のウェブサイト掲載や早期発送
資料の開示
 
IR関連
  • 有価証券報告書、統合報告書、ファクトブック(各年1回)
  • 四半期報告書、決算短信、決算説明会資料、コーポレートアップデート(各年4回)

2022年度

経営基盤