人と職場

昨今、企業においては、労働生産人口の減少や働き方の多様化への対応、またさまざまな価値観を持つ人材の登用など、社会における新たな要請に応え、人や職場の観点からもサステナブルなオペレーションを展開していくことが重要になってきています。東京エレクトロンでは、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティ&インクルージョンを推進することにより、多様な働き方や人材一人ひとりの個性や価値観を尊重し、個々の持つ能力を発揮することでもたらされる新たな価値の創出を大切にしています。またグローバルな人事制度と評価システムの運用、人材開発プログラムの強化、健康と安全の推進などにより、働きがいを感じ、会社に誇りをもつ従業員の育成に努めています。

人事マネジメント

人事マネジメント体制

当社は、従業員の働きがいや意欲を高め、会社と従業員がともに成長することを目指して、定期的にグローバル・エンゲージメント・サーベイを実施しています。会社や仕事に対しての誇りや職場環境への認識・評価といった設問を通して現状を把握し、地域や職場の特性を踏まえながら、改善サイクルを継続することで職場環境の充実につなげています。

2018年度は、前年に導入したグローバル人事制度を支える新たな評価制度を策定するとともに、ダイバーシティ&インクルージョン、キャリア形成、ワーク・ライフ・バランス、健康と安全の4つのテーマに注力し、従業員がいきいきと働くことができる環境づくりを進めました。


ダイバーシティ&インクルージョン

体制と取り組み

海外売上高が8割以上を占め、極めて早い技術革新が求められる環境で事業を展開する当社が、イノベーションを創出し成長を続けるためには、多様な個性と強みをもった人材が、それぞれの能力を発揮しながら活躍できる企業であることが不可欠です。当社は、性別や国籍、年齢や経歴、障がいの有無、ライフステージの状況にかかわらず、誰もが安心して働くことができる職場、高いモチベーションをもってチャレンジし、成長できる職場を創出することで人材の多様性を競争力につなげていく環境づくりを積極的に進めています。

2018 年度はダイバーシティ推進チームを立ち上げました。ダイバーシティの一つの要素であるジェンダーダイバーシティに関して女性従業員やマネージャーを中心とした従業員の意識調査を実施し、約8割が回答しました。時間的な制約のある方など、さまざまなバックグラウンドをもつ従業員が当社で活躍し続けるためには、どのような職場づくりや働き方、能力開発の支援が必要であるかなど、より、現場の視点で活発に議論することで、ダイバーシティ推進の土台を構築しました。2019年度はダイバーシティ&インクルージョン推進の専任部隊を発足させ、ジェンダーに限らず、外国人や障がい者など世界中の多様な人材がライフステージなどの影響を最小限に抑え、より一層活躍して成果を出せるような環境の推進を人材戦略の中核に据えて、展開させていきます。

また、当社では多様な従業員がお互いをより良く理解することで活躍できる職場を実現するために、ハラスメント防止教育や啓発活動に注力しています。2018年度は特にパワーハラスメントの課題意識を浸透させるため、役員、マネジメント層の約1,100名を対象に顧問弁護士による対面のセミナーを開催し、約9割が受講しました。さらには障がいをもつ従業員が安心して就労できる環境整備と雇用促進に取り組み、2018 年度の障がい者雇用比率は、国内グループ会社で2.04% となっています。

女性エンジニア交流会

当社では女性エンジニアへのネットワークづくりの支援と学びや気づきの機会を提供することを目的に、赤坂本社と国内各拠点をTV 会議システムでつなぎ「女性エンジニア交流会」を2017年度より開催しています。2019年2月に開かれた第三回では、外部講師を招き、女性としてのキャリアに関するセミナーの他、若手女性エンジニアや女性のマネジメント層による講演などをおこないました。男性も含めた約100名の参加者からは、「外部からの意見による視野の広がり」「他エンジニアとの情報交換・コミュニケーションの構築」といった効果を実感したとの意見が寄せられました。今後は、エンジニア以外の職種にも対象を広げていく予定です。

キャリア形成

人材開発体系

当社では、従業員自ら自律的なキャリアを形成して自己実現することを目指し、社内共通教育機関として「TEL UNIVERSITY」を設置しています。ここでは、世界で通用する知識・スキルを習得するプログラムに加えて、階層や目的に応じたプログラムを展開しています。

*1 OJT: On the Job Training
*2 WBT: Web Base Training

人材開発の取り組み

リーダー育成

当社では中長期的な企業価値向上を実現する経営後継者を発掘し、計画的に育成するサクセッションプログラムを実施しています。2018 年度は、次世代の経営者候補として選抜されたメンバーを対象にした研修に加えて、社外研修への派遣を実施し、幅広い視野の獲得と社外のネットワークづくりの構築を支援しています。各人への期待や育成ニーズに合わせた実践的なプログラムを展開しています。

マネージャー育成

従業員一人ひとりが価値を創造していくためには、マネージャーの存在が重要です。2018年度は、新任のマネージャーを対象に集合型研修を実施し、第三者からのアセスメントなども取り入れ、部下の育成や自己の振り返り、人事評価など、マネージャーに必要な実践的なスキルやマインドセットの醸成をおこなっています。

ステップアップ活動

当社では若手従業員の自律を目的として、入社2年目の夏から約半年間にわたり、ステップアップ活動を実施しています。実際の仕事において、若手従業員自らがテーマと目標を設定し、活動構想を企画して、上司や周囲の協力を得て進めることにより、学びや成長への気づきを生み出す機会となっています。

ライフサポート

当社では、安心して会社生活を送り、能力を十分に発揮してもらうために、従業員にさまざまなプログラムを提供しています。51 歳以上の従業員を対象として、定年退職にあたって必要な知識や情報を提供し、退職までの過ごし方、退職後のマネープランなどを学ぶライフデザインセミナーを毎年開催しています。その他の年代の従業員にも、家族の介護や心の健康など、身近な問題をテーマとしたセミナーを開催し、さまざまな支援に取り組んでいます。

ワーク・ライフ・バランス

基本スキルアップの取り組み

当社は、『革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体とFPD産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニー』をビジョンとして掲げています。この実現には、従業員一人ひとりのワークとライフを調和させ、従業員と企業双方の成長に相乗効果を生み出すことが欠かせません。

当社では従業員がワーク・ライフ・バランスをとりながら、自分の基本スキルを向上させ成長できる環境づくりを進めています。従業員のレベルや目標、タイミングに合わせてビジネススキルを学ぶことができる教育プログラムを充実させ、提供しています。自身に求められるビジネススキルを把握できるスキルマップ、学びの重要性や学び方をまとめた能力開発ガイド、提供された講座の内容をまとめたコースガイドを提供し、一人ひとりの主体的な学習を支援しています。

グローバル人事制度

2017年度より導入したグローバル人事制度は、従業員一人ひとりが自身に求められる役割とキャリアを考え当社の企業価値向上に主体的に貢献することを目指しています。その実現のため個々の役割と責任を明確化し、個人ごとに設定した目標の達成度に応じて絶対評価をして、納得性の高い報酬支給をおこなう仕組みを運用しています。

従業員の自律的なチャレンジを評価することで、処遇の透明性をより高めるとともに、失敗を恐れず積極的にチャレンジする人が活躍できる、夢と活力のある組織風土の醸成をはかっています。

休暇取得の促進

当社では、従業員が十分な休暇をとりながら働き続けることができるように、長時間労働の是正や、休暇制度の充実とその取得の推進に取り組んでいます。 2018 年度は年次有給休暇取得率70%という目標を掲げ、半期5日間の計画休暇の取得を推進するなど、取得率向上に向けたマネジメントを推進するとともに、年次有給休暇の取得状況を定期的にモニタリングし、計画的な取得への意識啓発などをおこないました。その結果、取得率は国内67.2%、海外80.9% になりました。

また、独自の休暇制度として、リフレッシュ休暇制度を導入しています。これは、心身のリフレッシュを図り、従業員の就業意欲を高めることを目的に、勤続10 年以上の従業員に対して、2週間から1カ月の特別休暇(有給)を付与する制度です。2018 年度は、国内で605名、海外473名がリフレッシュ休暇を取得しました。

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育児・介護に関する制度

当社では、育児・介護に携わる従業員がライフスタイルやライフステージに合わせてフレキシブルな働き方ができるよう、法で定められている制度の他、特に国内では独自の支援制度を設け、従業員の働き方の充実を図っています。

育児休業期間の延長を最長で子どもが満3歳に達する日まで認める他、育児による勤務時間短縮の措置を小学校卒業までの子どもを養育する従業員にまで拡充し、子どもの看護休暇や子育て応援休暇も設定し、国内での復職率は93.5% となり、国内女性従業員の41% がワーキングマザーとして活躍しています。また、介護休暇を5日目まで有給とし、介護対象者1名につき3回まで、通算して1年間を介護休業として取得可能とするなど、介護制度の充実も進めています。


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新しいワークスタイル

当社では、従業員の新しいワークスタイルのあり方を継続して検討しています。フレックス勤務を導入している他、通勤時間をなくし、有効な時間の活用を可能にする在宅勤務制度について、東京エレクトロン本社で試行しています。

健康経営の推進


従業員が充実したライフワークを実現すると同時に、最大限にその能力を発揮して事業の発展に貢献するためには、一人ひとりが健康でいきいきと働けることが重要です。当社では、従業員が安心して働くことができるよう、制度の整備など環境の構築に努めています。

こうしたさまざまな取り組みが認められ、東京エレクトロン株式会社として「健康経営優良法人2019~ホワイト500~」*に認定されました。今回の認定を一つの契機に、当社は従業員の健康増進と生産性向上に向けて、グループ各社とともにグローバルな取り組みを今後も推進していきます。

*健康経営優良法人: 地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度。

健康と安全

健康へのサポート体制

当社は、従業員の健康に配慮した体制を構築しています。法令に基づき各種健康診断を実施している他、長時間労働の従業員に対し担当の産業医による面接指導をおこなっています。また従業員だけでなく家族の健康相談や産業医による健康相談窓口を設置し、希望者には社外の産業カウンセラーによるカウンセリングも提供しています。またマネジメント層を対象にしたラインケア*セミナーも定期的に開催しています。

2018年度は、サポート体制を強化するため、TELグループ各社を担当する産業医の連絡会議を開催し、現状の課題を共有しました。

*ラインケア: 職場のメンタルヘルス対策の一つであり、管理監督者が中心となり職場で従業員からの相談に対応し、職場環境の改善などを図ること

健康宣言

2012年に発表した健康宣言のもと、Eat・Rest・Walk・Talk の観点から、従業員の運動習慣の改善をテーマとした取り組みを推進しています。例えば、Eatの面では、リニューアルした府中事業所などの従業員食堂において、健康メニューを提供しています。また国内9拠点では体組成測定会など、日々の健康づくりを支援するアクティビティを実施しています。


ストレスチェックの実施

国内では、総合的なメンタルヘルス対策を実施しています。厚生労働省が推奨する質問票を使用した従業員のストレスチェックを年1回実施し、高ストレスと判定された従業員は、法で定められた産業医・保健師との面談をおこなっています。希望者には産業医・保健師との健康相談が実施できるようにし、従業員のメンタルサポートを徹底しています。また、組織分析を実施し、比較的負荷の高い組織への対応をおこなっています。2018 年度の国内での受検率は92.2 %でした。

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セルフケアの仕組みづくり

当社では従業員が自身の健康診断結果を手軽に確認できる他、血圧や体重、体脂肪率など、日々の健康管理データ、さらには健康年齢*を把握できる、ヘルスケアプラットフォーム「Pep Up」を導入しています。この仕組みを利用してウォーキングイベントの開催や、運動・消費カロリーの管理に役立つ活動量計の配布おこなっています。

*健康年齢: 従業員の健康診断結果に基づいて算出された、生活習慣病リスクを表す指標。実際の年齢と比較して、プラス・マイナス何歳かが表示され、自分の健康状態が何歳相当かを知ることができる

安全管理体制

当社は、「Safety First」をスローガンとして掲げ、継続的な安全推進活動を実施しています。OHSMS*に準じたマネジメントシステムを用いて安全衛生管理をおこなう他、PDCA を展開し、労働災害の潜在的危険を低減することによって、安全衛生管理水準の向上に努めています。さらに、これらの課題をEHS会議や製造会社社長会で共有し、全社的な取り組みとして推進しています。

*OHSMS: Occupational Health and Safety Management System。安全衛生管理水準の向上を図る経営の仕組み

安全への取り組み

当社の各事業所では、安全衛生委員会を毎月開催し、職場の安全・従業員の健康に関する対応を協議する他、安全巡視を実施しています。さらに、製造拠点でも各部の代表者による安全巡視を月1回以上おこない、自主的に問題を解決する体制を構築しています。

当社の製造拠点では、作業を始める前に作業員全員で作業内容やリスクについて共有し、一人ひとりが安全についての意識を高め、事故の防止に努めています。また、作業中に想定外の状況となった場合には作業を一時停止して対策を実施する、いわゆる「ストップワーク」や、安全管理担当者によるハザードへの対処の指導にも力を入れています。

当社では安全な職場づくりのために2つの教育プログラムを世界共通で展開しています。1つは全従業員を対象とする「基礎安全」の教育です。入社時に導入教育として、その後は3年に1回のペースで内容を更新して教育をおこない、累計で5万名以上が受講しています。もう1つは、製造現場やクリーンルーム内の作業者に向けた「上級安全」の教育です。対象者には、毎年受講することを義務付けています。安全に関するルールは各国の法律に準ずる部分があるため、海外への転勤があった場合には、差分に関する教育を本人が理解できる言語で実施し、教育の標準化を目指しています。

その他、事故撲滅の取り組みとして、危険予知トレーニングやウェブ教育を国内外の拠点で展開しています。また、お取引先さまに対しても安全に関する情報を提供し、事故防止に向けた取り組みを支援しています。

このような安全な職場づくりに継続的に取り組んだ結果、2018 年度のTCIR*は0.20となり、目標である0.5 以下を維持しています。

*TCIR: Total Case Incident Rate。労働時間20万時間当たりの人身事故発生率

事故報告システム

安全に関する事故が発生した場合、事故報告システムによって関係者、責任者へと共有され、問題の解決と再発防止策の立案までをフォローされる体制を展開しています。

2018年度は、新しく開発した事故報告システムTIRS「TEL Incident Report System」の運用を開始し、報告内容の精度のさらなる向上を目指しています。

その他のマテリアリティ