人と職場

企業においては、人や職場の観点からも、働き方改革への対応やさまざまな価値観をもつ人材の登用など、社会における新たな要請に応え、サステナブルなオペレーションを展開していくことが重要です。東京エレクトロンでは、人は企業における成長の源泉であるという認識のもと、従業員一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方を促進し、またそれぞれの個性や価値観を尊重しながら個々のもつ能力を発揮することでもたらされる新たな価値の創出を大切にしています。グローバル共通の人事制度を展開し、国や地域をこえた適材適所の人材配置や、公平で透明性の高い人事評価を実践するとともに、人材開発プログラムの強化や健康と安全の推進に取り組むことにより、活力に満ちた従業員の育成に努め、夢のある職場づくりを実現します。

人材マネジメント

人材マネジメントの考え方

当社にとって「企業の成長は人」であり、従業員は価値創出の源泉です。従業員一人ひとりが働く意欲を高め、それが会社全体の生産性向上につながることにより、会社と従業員がともに成長することを目指しています。具体的には、①キャリア形成支援やチャレンジの促進、スキルアップやリーダーシップ開発機会の提供などを通じた従業員の育成とエンゲージメントの向上、② IT を用いた業務効率化やスマートワークの推進などによる働く環境整備を通じた生産性の向上、③採用時のブランド訴求力や教育機関との関係強化、国内外インターンシップの推進などを通じた優秀な人材の獲得、を柱としています。これらの取り組みを効果的に展開するため、人事部門がグローバルレベルで各部門を支援する体制を整えています。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

体制と取り組み

当社では、新たな価値を創出し成長し続けることにより、グローバルに事業を展開し、社会における変化や多様化するニーズに応えていくことが重要です。そのためには、性別・障がい・国籍などの属性だけでなく、働き方やライフステージの相違などの多様性が存在する状況において、一人ひとりが能力を発揮し、高いモチベーションを維持しながらチャレンジできる環境が不可欠です。「誰もが働きやすく、高いモチベーションをもって働くことができる職場」をすべての従業員に提供すべく、D&Iを尊重し、推進しています。

2019年7月にはグローバルD&Iカウンシルを発足し、同年12月に開催した国内外のメンバーが参加する会議においては、当社グループ全体のD&Iのビジョンやスローガンを策定しました。当社グループのD&Iは、性別のみならず、より包括的な取り組みであることをこの会議でも取り上げ、再認識しました。

また、多様な従業員が互いをより良く理解し活躍できる職場を実現するために、ハラスメント防止教育や啓発活動をグローバルに展開しています。2020年1月には、赤坂本社でゲストトークやパネルディスカッションを含む「D&Iトーク」イベントを開催し、多くの従業員が参加しました。このイベントの様子は国内外の各拠点に配信し、当社グループ全従業員へのD&Iに関する意識浸透を図ることができました。さらに、Employee Resource Group(ERG)を発足し、D&I推進に関心をもつ従業員がコミュニティへの貢献や企業文化の改革に向け、自発的に企画・運営をおこなう活動に対して会社が支援する取り組みも進めています。今後は2022年までの3カ年計画を策定し、研修プログラムの拡充やイベントの開催など、国内外の各拠点の実情に即した取り組みを展開していくことで、当社グループ全体においてD&Iのさらなる推進を図ります。

人の成長

グローバル人事制度

2017年度より導入したグローバル人事制度では、人材マネジメントを効果的に実践するため、従業員一人ひとりの役割と責任を明確にしています。各職務に対応する研修プログラムと連携し、当社グループに存在するさまざまな業務で求められるスキルや、習得すべき知識、そして、より上位のレベルで求められる業務内容などを公開することにより、従業員の自律的なキャリア形成や成長を支援しています。また、絶対評価をベースとする評価制度や、人事システムを取り込んだグローバルに展開する人事プラットフォームの活用により、国や地域を跨いでアセスメントを実施し、公平で納得感の高い処遇を実現することで、多様な人材が活躍できる職場の構築に努めています。

TEL UNIVERSITYの人材開発コンセプト

当社では、社内共通の教育機関として「TEL UNIVERSITY」を設置し、従業員が自身の成長のために主体的にキャリアを築き、自己実現することを支援しています。従業員一人ひとりに寄り添い、生涯を通じての自己成長と豊かなキャリア形成をサポートし、組織と個人が互いに信頼しあい、成長できる基盤をつくることを目指します。TEL UNIVERSITY は、「革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体とFPD産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニー」という当社が掲げるビジョンを従業員が実現することに寄与しています。以下に挙げる4つの取り組みにより、会社の発展につながる従業員の成長に注力しています。

1つ目は、「パーソナライズされた学習機会の提供」です。従業員一人ひとりの成長はそれぞれ異なるため、各自のニーズやタイミングにより自在に学習できる仕組みとして、オンデマンド教育*の実践に注力しています。集合研修のみならずウェブ教育などを積極的に活用し、どの拠点からも学習できる機会を提供しています。

2つ目は、「キャリア形成の支援」です。グローバル人事制度による従業員のレベルや目標に応じた基本的なスキルの早期習得に向け、プログラムの拡充を図っています。学びや経験の積み重ねや、自身のキャリア形成の構築について、従業員がより具体的にイメージできるような情報やツールの提供に取り組んでいます。

3つ目は、「リーダーの育成」です。将来を担う次世代リーダーの育成においては、中長期的な企業価値の向上を実現する後継者を早い段階から発掘し、計画的に育成するサクセッションプログラムをグローバルに展開しています。選抜された次世代経営者の候補メンバーには、社外研修への参加により、社外ネットワークの構築や幅広い視野を培うことを通じて、将来を見据えた成長の機会を提供しています。

4つ目は、「グローバルな学習機会の提供」です。業務に関連したスキルの習得とともに、より広い見識をもつために、社内のみならず社外セミナーへの積極的な参加を従業員に推奨しています。2020年度には、社外研修に加え、海外への留学制度も検討しています。また、コアとなるプログラムに関しては、国内外を問わず、当社グループで統一されたコンテンツやガイドラインによる学習を可能とすべく、グローバルスタンダード化を進めています。

*オンデマンド教育: いつでもどこからでも自分の都合に合わせて学習できる教育プログラム

人材開発体系

当社では、従業員が世界に通用する知識やスキルを習得するため、レベルや階層、目的に応じたプログラムを展開しています。

また、技術スキルの習得のために、スキルアップトレーニングを継続的に開設し、技術ワークショップなどを開催することにより、当社のコア技術の最新動向に関する知識の習得や、リテラシー向上などの機会を提供しています。

*1 OJT: On the Job Training
*2 WBT: Web Based Training

ワーク・ライフ・バランス

新しいワークスタイル

当社では、ワーク・ライフ・バランスを取り入れた働き方を推奨し、継続的にその環境づくりをおこなっています。フレックス勤務の他、在宅勤務制度の導入により、通勤時間を削減して労働時間を最大限に活用するなど、従業員のライフスタイルに対応した効率的な仕事の仕方を推進しています。

休暇取得の促進

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当社では、適切な労働時間の管理や休暇の取得が従業員の生産性向上にも寄与すると考え、長時間労働の是正や、休暇制度の充実とその取得の推進に取り組んでいます。

2018年度より、年次有給休暇取得率70%以上を年次目標に掲げ、従業員に対して計画的な取得への啓蒙活動をおこなっています。また、20194月より法令で義務化された年5日間の年次有給休暇の取得を徹底するなど、取得状況の定期的なモニタリングや、取得率向上に向けたマネジメントを推進しています。その結果、2019年度の取得率は日本72.6%、海外81.2% となりました。

また、独自の休暇制度として、リフレッシュ休暇制度を導入しています。これは、心身のリフレッシュを図り、従業員の就業意欲を高めることを目的に、勤続10年以上の従業員に対して、勤続年数5年ごとに2週間から1カ月の特別休暇(有給)を付与する制度です。2019年度には、日本で901名、海外514名がリフレッシュ休暇を取得しました。

育児・介護に関する制度

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当社では従業員それぞれのライフスタイルを尊重し、一人ひとりが活躍できる環境の整備に力を入れています。従業員が育児・介護など、さまざまなライフイベントに合わせ、フレキシブルな働き方ができるように法で定められている制度に加え、充実した仕組みを独自に構築しています。

日本においては、育児休業期間を最長で「子どもが満3歳に達する日」まで延長することを認める他、育児による勤務時間短縮の措置を、小学校卒業までの子どもを養育する従業員にまで拡充しています。また子どもの看護休暇に加えて、独自の子育て応援休暇を設定するなど、支援の充実を図っています。日本では女性従業員の42%がワーキングマザーとして活躍しています。介護両立支援としては介護休暇を5日目まで有給とし、介護対象者1名につき3回まで、通算して1年間を介護休業として取得可能とするなど、制度の充実を進めています。

ライフサポート

当社では、従業員がいきいきと働き、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の実現に向けて、さまざまな支援をおこなっています。50歳以上の従業員に対しては、定年後の働き方を考えるために、必要な情報やマネープランを見直すセミナーなどの機会を定期的に提供しています。また、全年代の従業員には、家族の介護や相続などの身近なテーマに関する支援をおこない、ライフサポートの充実に取り組んでいます。

健康と安全

健康経営の促進

従業員一人ひとりが充実したライフワークを送り、最大限のパフォーマンスを実現することは、当社の今後の発展においても重要です。当社では、従業員が健康で働きやすい環境を構築するため、制度のさらなる整備に取り組んでいます。法令に基づいた各種健康診断の実施や、長時間労働者に対し、担当産業医による面接指導などをおこなっています。従業員のみならず、その家族においても産業医による健康相談窓口を利用することができ、希望者には社外の産業カウンセラーによるカウンセリングの機会も提供しています。また、マネジメント層を対象にしたラインケア*1セミナーの定期的な開催や、必要に応じて当社グループ各社の健康担当者や医療従事者との連絡会議をおこない、健康に関するサポートの強化に取り組んでいます。

さらに、「コラボヘルス*2」の考えに基づき、東京エレクトロン健康保険組合と連携し、健康診断の検査データを活用し、従業員個人の状況に応じた保健指導や効果的な予防・健康づくりを実践する「データヘルス*3」の取り組みを積極的に展開しています。その結果、2019年度は特定保健指導*4の実施率が上昇するなど、従業員の健康リテラシーの向上に貢献しています。

また、2019年度には2018年度より対象範囲を広げ、国内グループ会社全体で「健康経営優良法人2020~ホワイト500~*5」に認定されました。当社は今後も従業員の健康維持や増進に向けて、グローバルレベルでさまざまな取り組みを展開していきます。

*1 ラインケア: 職場のメンタルヘルス対策の一つであり、管理監督者が中心となり職場で労働者からの相談に対応し、職場環境の改善などを図ること
*2 コラボヘルス: 健康保険組合などの保険者と企業が積極的に協力し合い、労働者やその家族の健康増進を効果的および効率的におこなうこと
*3 データヘルス: 医療保険者が電子的に保有された健康医療情報を活用し、分析した上で加入者の健康状態に即しておこなわれる、より効果的・効率的な保健事業を指す
*4 特定保健指導: メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者および予備群の減少や、生活習慣病やがんなどの早期発見・早期治療などを目的としておこなう保健指導
*5 健康経営優良法人: 地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度

健康宣言

当社では2012年に発表した健康宣言のもと、EatRestWalkTalk の観点より、健康課題に応じたさまざまな取り組みを推進しています。具体的には、体組成測定会*や健康相談会、ウォーキングイベントの実施、また社員食堂におけるヘルシーメニューの提供や禁煙指導など、日々の生活から従業員の健康づくりへの意識を高め、健康宣言の実践につながるサポートをおこなっています。

*体組成測定会: 生活習慣病予防や自身の身体の状態を把握するため、体組成計で、骨格筋量、体脂肪量を計測する機会

ストレスチェックの実施

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従業員のメンタルヘルスマネジメントとして、厚生労働省が推奨する質問票を使用したストレスチェックを年に一度、日本で実施しています。その結果、産業医または保健師が高ストレスと判定された従業員や希望者との面談をおこなっています。また組織分析により、比較的負荷の高い組織へ改善を促すなど、従業員のメンタルサポートの徹底に努めています。なお、2019年度のストレスチェックの受検率は92.9%でした。

セルフケアの仕組みづくり

当社では、健康管理の一つとしてヘルスケアプラットフォーム「Pep Up」を導入しています。従業員が自身の健康診断結果から血圧や体重、体脂肪率、また健康年齢*などを手軽に確認することができ、健康に関するセルフケアに役立っています。「Pep Up」を通じて、各自の健康状態に関連した情報の提供や、ウォーキングイベントの開催をおこなう他、運動や消費カロリーなどの管理をおこなえる活動量計を従業員に配布しています。

*健康年齢: 健康診断結果に基づいて算出された、生活習慣病のリスクを表す指標。実際の年齢と比較して、プラス・マイナス何歳かが表示され、自分の健康状態が何歳相当かを知ることができる

安全管理体制

当社は、「Safety First」をスローガンとして掲げ、継続的な安全推進活動を実施しています。OHSMS*に準じたマネジメントシステムを用いて安全衛生管理をおこなう他、PDCAを展開し、労働災害の潜在的危険を低減することによって、安全衛生管理水準の向上に努めています。さらに、これらの課題をEHS会議や製造会社社長会などの社内会議で共有し、全社的な取り組みとして推進しています。

*OHSMS: Occupational Health and Safety Management System。安全衛生管理水準の向上を図る経営の仕組み

安全への取り組み

現場の安全巡視

当社の各事業所では、安全衛生委員会を毎月開催し、職場の安全・従業員の健康に関する対応を協議する他、安全巡視を実施しています。さらに、製造拠点でも各部の代表者による安全巡視を月1 回以上おこない、自主的に問題を解決する体制を構築しています。


危険予知・ストップワーク

当社の製造拠点では、作業開始前に作業員全員で作業内容やリスクについて共有し、一人ひとりが安全についての意識を高め、事故防止に努めています。また、作業中に想定外の状況となった場合には作業を一時停止して対策を実施する、いわゆる「ストップワーク」や、安全管理担当者によるハザードへの対処の指導にも力を入れています。


安全教育

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当社では安全な職場づくりのために2つの教育プログラムを世界共通で展開しています。1つ目は、全従業員を対象とする「基礎安全」の教育です。入社時に導入教育として、その後は3年に1回のペースで内容を更新して教育をおこない、2019年度は6,000名以上が受講しています。2つ目は、製造現場やクリーンルーム内の作業者に向けた「上級安全」の教育です。対象者には、毎年受講することを義務づけています。安全に関するルールは各国の法律に準ずる部分があるため、海外への転勤があった場合には、追加で必要な教育を本人が理解できる言語で実施し、教育の標準化を目指しています。

その他にも、事故撲滅の取り組みとして、ウェブ教育や危険予知トレーニングを国内外の従業員に対して実施しています。また、本質安全設計*1の考え方を設計、製造、ならびにサービス業務にまで展開するため、装置安全教育をウェブ教育のみならず、半年に一度各事業所に外部講師を招いたセミナー形式で開催しています。お取引先さまやお客さまに対しても、安全に関する情報を適宜提供することで、TEL の事故防止に向けた取り組みを推進しています。


このような安全な職場づくりに継続的に取り組んだ結果、2019年度のTCIR*20.23となり、目標である0.5未満を維持しています。

*1 本質安全設計: サステナビリティレポートP.25参照
*2 TCIR: Total Case Incident Rate。労働時間20万時間当たりの人身事故発生率

事故報告システム

安全に関する事故が発生した場合、事故報告システムによって関係者や責任者で共有され、問題の解決と再発防止策の立案までがフォローされる体制を展開しています。

2018年度から、新しく開発した事故報告システムTIRS(TEL Incident Report System)を運用し、報告内容の精度のさらなる向上を目指していきます。

その他のマテリアリティ