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インタビュー

設立に込めた想い

世界トップクラスの研究者と出会うことで、憧れが夢になり、チャレンジへと育つ。20年先、30年先のフロントランナーをつくるために。

「知のフォーラム」は、東北大学が日本の大学で初めて本格導入する訪問滞在型研究センターである「知の創出センター」で実施される研究プログラムです。人類の課題や世界動向を踏まえた多様な分野の中から戦略研究テーマを設定し、そのテーマを牽引するノーベル賞級の研究者を広く世界から招いて、「知の館」で1~3カ月間じっくり研究を進めるという日本初の滞在型のプログラムとなっています。
東京エレクトロンは、知のフォーラムの「人が集い、学び、創造する、世界に開かれた知の共同体への挑戦」という設立趣旨に賛同し、2013年の立ち上げ期から積極的に支援しています。
今回、知の創出センター長の伊藤貞嘉教授と、立ち上げから関わられた小谷元子教授に、同フォーラムの構想と社会的意義、そして設立に込めた想いを伺いました。

「知のフォーラム」は、第一級の研究者と、
若い世代が出会い、新しいアイデアを生み出す場。

小谷 知のフォーラムは、次世代のリーダーとなる若い人たちが最先端を走っている研究者と出会い、インキュベートされていく「場」です。1テーマ3カ月間のプログラムに、世界中からさまざまな研究分野、年齢、経歴の方が集結し、課題解決に向けて議論します。期間中には研究集会や個別指導があるほか、多くの人々が集まって講演会やセミナーも行います。2015年3月には、中核施設となる「東北大学知の館(TOKYO ELECTRON House of Creativity)」が完成しました。
3階には講演会やセミナーが開ける大きなホールがあり、東北大学に限定せず、日本中、世界中からたくさんの方が来て、最先端の知識を得るための研究集会ができる場所です。一方で、1階はオープンスペースです。学生や若い研究者がノーベル賞受賞者など世界トップクラスの研究者と、インフォーマルな形で自由にディスカッションできる場になります。そして2階には、研究者がゆったりと過ごせる滞在エリアと、くつろいで議論ができるサロンがあります。良質なアイデアは、良質な空間と贅沢な時間の中で生まれるものだと考え、滞在中の研究者には、知の創出を促す良質な時間と空間が確保されています。

伊藤 今の研究者は、研究以外の活動や作業にも時間を割かなければいけません。研究活動にだけ没頭する、というまとまった時間を持つことが難しくなっているのが現状です。そういう意味で訪れた研究者にとって、ゆっくりと研究活動にのみ時間を注ぐことのできる知のフォーラムは貴重な存在だと思います。

小谷 今、社会にある課題は、一つの研究分野に閉じこもっていては到底解決できない複雑な難題ばかりです。違う分野に精通する人たちや違う文化を持っている人たちが出会って議論することによって、問題や解決方法が見出されてくる。そのためには、一週間のワークショップだけでなく、何カ月間も一緒にいて、意見交換や議論が行われることがとても大切です。知のフォーラムでは、それを実現するための場所と時間を提供しています。

“本物”と身近にふれ合うと、大きな感動が得られる。
次の世界を切り拓くリーダーを育てるのが目標。

小谷 2013年からパイロットプログラムを実施しています。その中で、ノーベル物理学賞を受賞したDavid Gross先生やSteven Weinberg先生に講演をしていただきました。歴史に残る方々が直接お話しをされて力強いメッセージを与えてくださったことは、若い人たちにとって非常にインパクトがあったと思います。
若手研究者にとって、ノーベル賞は遠い存在です。しかし、ここでノーベル賞受賞者と気さくに話をすることで、世界の最先端が身近に感じられる。そういうものに自分がコミットして社会を変えていこうという意識が芽生えることが、非常に大切だと考えています。

伊藤 私は講義でよく、「本物と会うと感動するよ」と伝えています。ノーベル賞を取るような研究者は、その功績にたどり着くまでには大変な苦労をしています。問題に直面したときにどのようにして解決したか。そういう話をじかに聞くと、感動するんです。そして、そういう出会いによって人生が変わった人はたくさんいます。

小谷 若い時に、漠然としたところから形に作りあげる経験をするのは、とても大切です。出来上がった論文や教科書を読むと、あまりにも完成度が高くて、自分には関係ないことのように見える。でも、実際は素朴なアイデアがあって、日々の議論の中でだんだん形になっていく。その発見と具体化の過程にコミットできるかどうかが重要なのです。

伊藤 国際的に活躍できる人材、次の世界を切り拓くリーダーを生み出す場が知のフォーラムです。「あの人のようになりたい」という憧れがまずあって、それから夢になって、夢に到達するまでの段階を自分の力で切り拓いて行かなければ、本当の意味のリーダーにはなれません。単に技術や知識ではなく、スピリチュアルなところがとても大切。その部分を育てる場をつくることが目標です。

ゆったりとした時間が流れ、粘り強い気質の東北、
パイオニアを生み出してきた東北大学だからこそ。

小谷 今の日本は石橋をたたいて渡るところがあって、新しいアイデアにじっくり取り組んで、パイオニアとして研究領域を切り拓くという点が弱いような気がします。でも、東北大学は本当のパイオニアを大勢生み出している大学です。女子学生を最初に受け入れた大学ですし、留学生に学位を出したのも、留学生が大学教員になったのも日本で最初だった。意欲があって能力のある人には機会を与えてきた大学です。

伊藤 共学なんてけしからん、と国が言っていた時代に、初代総長は女子学生を入学させていますからね。私は宮城出身ですが、東北人は一途で粘り強くて、どこまでもがんばる気質があると思います。そういう素地がある人は、いい人とのめぐり会いがあって、いい環境があれば、爆発的に伸びるだろうと思っています。

小谷 私は東京出身ですが、東北大学に来て一番感じたのは、あくせくせずにテーマをきちんと追求できる時間が流れているな、ということでした。それを許してくれる野心的な大学なのです。ですから、知のフォーラムのようなチャレンジ精神に満ちた取り組みが東北発であることは意外ではなくて、むしろ東北だからこそできるのだと考えています。

未来への貢献を、企業が支援する意義は非常に大きい。
感動を生み、誇りの持てる社会を目指して。

小谷 20年後、30年後の社会に貢献したいという漠然とした取り組みを、企業である東京エレクトロンが支えてくださることは、素晴らしいことだと思います。こういう事業こそ、国や大学ではなく、企業が支える国であってほしいと思っていますが、その最初のモデルになってくださいました。短期的・直接的な見返りを期待せずに、日本の文化や、日本が世界のリーダーになるための支援を後押ししてくださる。本当にありがたいことです。

伊藤 企業はいい製品をつくり、いいサービスをして、利益を上げながら社会に貢献する。直接利益を生まないものをどう考えるかが非常に大切だと思います。本当に豊かな社会とは、他の人と感動を生むような社会だと考えます。企業にとって大きな意義のあることはその部分に関わることではないでしょうか。

小谷 私は、豊かな社会とは、自分に誇りを持てる社会だと考えています。人間が知識を得ると、人間の限界が広がります。空を飛べるようになると行ける場所が増える。知識は人間を自由にしてくれる。そのこと自体が人間の誇りなのだと思います。物質的な意味ではなく、誇りを持って心豊かに暮らせるような社会を築くことが大切と思います。

伊藤 私の教室では、合い言葉は「社会貢献」、経営理念は「尊敬と友情」、努力目標は「自己改革」です。社会貢献するために、お互いを尊敬できて、みんなのために一生懸命がんばって、自分はもっとよくなる努力をずっと継続できるような社会になればいいと思います。「知のフォーラム」はその大きなきっかけになると確信しています。


副センター長 前田 吉昭氏と

【東京エレクトロンより】
知のフォーラムは東京エレクトロンの想いを具体化する取り組み。
次世代の技術革新へ、加点主義のチャレンジを。

東京エレクトロングループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、未来の世代を育成する取り組みを推進しています。また、当社が製造拠点を置く東北において、地域の振興と活性を応援することは我々の大事な役割であると考えています。
今回の知のフォーラムは、この二つを具現化する事業であり、その趣旨に賛同し全面的に支援することになりました。ここには、減点主義ではなく、加点主義のチャレンジが必要であるという想いもあります。

東京エレクトロンは「People, Technology, Commitment」をコーポレートメッセージとして掲げていますが、その中心にあるのは人です。また、社員の行動規範であるTELバリューでは、大切にしたいこととして、「チャレンジ」「チームワーク」「誇り」などをあげています。
知のフォーラム事業に込められた想いは、私たち東京エレクトロンの考え方と親和する点が多く、パートナーとなれたことをうれしく思っております。

TELは東京エレクトロン株式会社の商標です。

Profile


伊藤 貞嘉
東北大学理事(研究担当)
知の創出センター長
大学院医学系研究科・医学部教授(腎・高血圧・内分泌学分野)

1986年に東北大学にて医学博士を取得。米国ヘンリーフォード病院シニアスタッフ、東北大学講師(第二内科)を経て、1997年より東北大学教授(第二内科)に就く。食塩や肥満と、高血圧や腎障害、心血管病との関連等を研究。2012年より理事(研究担当)、2013年より知の創出センター長(兼務)。


小谷 元子
東北大学副理事(研究担当)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構長
大学院理学研究科教授(数学)

1983年東京大学数学科卒業,90年東京都立大学で博士号取得。99年東北大学助教授,2004 年同教授。独のマックスプランク研究所,仏の高等科学研究でも研究。2005年に猿橋賞受賞。2012年より原子分子材料学高等研究機構(AIMR)機構長