Introduction
マン・マシン

人と技術はどうつながっていくのか?”ヒューマンインターフェース”

ヒューマンインターフェースの役割

世界最初のコンピューター。それは、第二次世界大戦中に弾道計算という軍事目的で開発された、床面積100m2、総重量30tという巨大な代物。特別な訓練や教育を受けた、一部の専門家にのみ操作することが許され、一般の世界には固く閉ざされていた。当時は、その巨大な箱の中で何が行われているのか全く分からない、「魔法」のような存在だったのだ。

今、コンピューターは社会に大きく開かれ、人々はスマートフォンやタブレットPCなど最先端の機器を通し、その技術を意のままに使えるようになっている。そして、それは、技術と人の結節点にあるインターフェースの進化によって、もたらされたと言えるだろう。

優れた技術を誰もが自由につかえるよう、インターフェースは、技術と人の垣根をなくし、技術と人をつないできたのだ。

進化を促した人間の欲求

ヒューマンインターフェースは、どのようにして進化を遂げてきたのか。その歴史を紐解く上で、大きなヒントになるのが、人間の技術に対する飽くなき欲求だ。ここでは、以下の3つの欲求によって、インターフェースの進化の歴史を整理してみる。

1. 直感的に分かるように操作したい。
2. いつでもどこでも使えるようにしたい。
3. 五感を使った感覚的な臨場感を体感したい

具体的には、「直感的に分かるように操作したい」という欲求は、マウス、キーボード、ディスプレイ、アイコンなどのGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェース)の開発のきっかけになったと考えられる。

また、「いつでもどこでも使えるようにしたい」という欲求が、場所と時間の制約を超えるモバイルマシンやスマートフォン、タブレットに繋がっていった。

そして、「五感を使った感覚的な臨場感」という欲求は、CG、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、3Dなどの体感的なインターフェイスを、ゲームやメディア・アートといったジャンルと結びつきながら発展させたのだ。

人と技術は、どうつながっていくのか?

1990年代以降、人は、音声やジェスチャーでコンピューターに指示を与えられるようになり、ヒューマンインターフェースは、マウスやキーボードなどカタチあるモノから、より感覚的で、身体的なものへと変化を遂げてきている。今後は、触覚や味覚、嗅覚など五感をつかったモノも登場し、人は技術を意識することなく、身体の一部のように扱うことができるようになるだろう。

本特集では、人と技術の境目がなくなっていく中で、「今後、人と技術はどうつながっていくのか?」その未来を占い、人と技術の間にあるヒューマンインターフェースの可能性をレポートする。

No.002人と技術はどうつながっていくのか?

CROSS × TALK

テクノロジーとアートの
境界面から人間について考える。
情報科学者 AR・AH研究者 暦本 純一 ×
インタラクティブデザイナー 真鍋 大度

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感覚・体験を共有する
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エイドリアン・チェオク

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コンピューター科学者、人工知能学者
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アートとエンジニアリングの間から見る未来
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ヒューマンインターフェースの進化

人間の技術に対する欲求を実現するように、半世紀を越えインターフェースは進化してきた。

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