TOKYO ELECTRON LIMITED

投資家向け情報

2020年3月期 本決算説明会 質疑応答集

新型コロナウイルスの影響により、競合他社が業績予想未達となった一方、TELは業績予想を達成できた。その要因を教えてほしい。これからTELの業績にも同様の影響が現れるということはないか?

武漢地域においては、都市封鎖によりFPD事業に実際に影響があった。一方、その他の制約があった地域においては、現地従業員および駐在員によって、前倒しで装置を立ち上げ、業績予想を達成することができた。

新型コロナウイルスの影響により競合他社の装置の生産、出荷または設置作業が制約されることで、TELが予定通り装置を生産、出荷できたとしても、売上計上が遅延するという可能性はないか。

顧客は半導体需要に対して投資計画を予定通り進めるため、主要なSPEメーカーと緊密に連携している。また、米国では半導体はエッセンシャル事業に指定されている。このため、1四半期程度の遅れは生じるかもしれないが、現時点で大きな影響にはならないと見ている。

FY2020末時点で新型コロナウイルスの影響により装置の設置完了ができず、売上計上できなかった案件の規模を教えてほしい。また、渡航・面談の制限があるなか、どのように事業を継続しているか。

FY2020のFPD事業の売上予想と実績の差分程度が設置完了できなかった案件とご理解いただきたい。
渡航制限がある地域については、現在は、現地従業員と駐在員で対応している。また、新型コロナウイルスの第2、3波の可能性も視野に、現地法人を強化しつつ、カメラ等を利用したリモートサポートの提供を進めている。さらに、今後の装置需要の増加に向けて、駐在員の増員も検討している。

現時点で顧客の投資計画に変更はないとのことだが、新型コロナウイルスの影響によりマクロ経済がどの程度減退すると、投資計画が見直されると想定しているか。

マクロ経済への影響を今まさに分析している。その影響を見極めるために、今回の決算発表においては業績予想の発表を見送った。

NANDとDRAMの投資ではどちらの回復が強いか?最近、データセンター投資が活発化しているので、DRAM投資が前倒しされる可能性はないか。3か月前の見方と比較して教えてほしい。

NAND投資のほうが強くなると予想。DRAMも回復が進んでいる。新型コロナウイルスの影響のもと、顧客各社はまず当初の投資計画の実行に集中しているが、それに続き、投資の追加や前倒しも期待している。

景気の減退局面では、まずOSATが投資を減らし、次いでファウンドリが投資を調整するが、現時点でそのような動きはない。その理由をどのように分析しているか?

従前から申し上げているIoT、AI、5Gの普及に加え、現在、世界のデータトラフィックが急増し、通信インフラの重要性が増している。それらを支える半導体は不可欠であり、5Gスマートフォン、データセンター向けを含む様々な半導体の需要は強い。

CY2020後半からCY2021の事業環境について、アプリケーション別に教えてほしい。

新型コロナウイルスの影響を注視する必要はあるが、顧客投資計画によれば、CY2020後半からCY2021にかけて、引き続きWFE*1市場は成長していくと予想している。堅調なロジック/ファウンドリ投資と、回復基調のNAND投資に加えて、DRAM投資も回復していくと見ている。

NAND投資が回復しているとのことだが、NAND向け売上のQ4実績は3か月前の予想に比べ100億円程度低くなっている。これは、中国NAND顧客において装置立ち上げ遅延があったからではないか?

FY2020は、都市封鎖の影響により、一部中国顧客において装置立ち上げに多少の影響があった。一方、ロジック/ファウンドリ顧客の前倒し要請に対応することで、業績予想を達成できた。中国市場は少しずつ落ち着いてきており、市場回復に向けて現地の従業員も業務を再開している。現在、装置立ち上げ計画の詳細を検討している。

SPE各社の受注が好調であるが、一部メーカーでは部品調達に懸念があるようだ。TELはそのような問題はないか?

部品調達、サプライチェーンについては的確に管理しており、現時点で装置出荷に影響はない。

FY2021の業績予想の発表を見送った背景を教えてほしい。装置立ち上げ遅延以外に、業績に大きな影響を与えるリスクがあるのか?また、研究開発費、設備投資の規模は高い水準となる見込みだが、CY2021のWFE市場をどのように見ているか?

新型コロナウイルスのマクロ経済への影響を見極めるため、業績予想の発表を見送った。装置立ち上げ遅延によるFY2021業績への影響は軽微とみている。
一方、成長するWFE市場に対して当社の技術革新力を維持するためには、強固な財務基盤のもと、成長投資を継続する必要があり、研究開発費については1,350億円規模を想定している。

業績予想の発表を見送った一方で、研究開発費については前年比12%程度の増加を見込んでいる。これは、FY2021の年後半に売上が前年比減少となることがあったとしても、FY2022まで見据えれば装置需要の増加を引き続き見込んでいるためか?FY2022に向けて市場成長を期待できる材料があれば教えてほしい。

積極的な研究開発投資を継続するのは、市場成長を見込める材料があるためとご理解いただきたい。中期経営計画の達成に向けて、FY2020からの3年間で4,000億円の開発投資を実行していく。

FY2021の装置別売上高の成長率について伺いたい。WFE投資のミックスの影響により、高い成長が期待できる装置はあるか?

Q3決算説明会において、CY2020 WFE市場成長率10%後半という競合他社の見方に違和感がないと申し上げた。新型コロナウイルスの影響を注視する必要はあるが、その見方に変更はない。今期FY2021は堅調なロジック/ファウンドリ投資に加えて、メモリ投資も期待できる。従って、エッチング装置、コータ/デベロッパなど、各製品の成長が期待できる。また、メモリ投資の回復に伴い、成膜装置、ウェーハプローバの成長も見込める。

Q4のフィールドソリューション売上高が特に大きいが、その背景を教えてほしい。顧客の動向に変化があったのか?また、FY2021のフィールドソリューション売上高はどの程度の成長を見込めるか。併せて、FY2020末時点のインストールベース(納入済装置台数)も教えてほしい。

Q4の売上増加について、特に大きな動向の変化はない。フィールドソリューションは計画通り進捗している。FY2020の当社の売上高は前年比減収となったが、フィールドソリューションの売上高は前年比増加した。FY2020末時点のインストールベースは72,000台を超えた。

FY2021のFPD事業の見通しについて教えてほしい。

まずは中国武漢地域での装置立ち上げが重要。今期は、OLED向け投資にけん引され、売上の増加を期待しているが、定量的な説明は差し控えたい。

GAA(Gate All Around)やFinFETにおける、ガスケミカルエッチング装置の現時点での商談状況、将来展望について教えてほしい。

ガスケミカルエッチング装置は、クリティカルレイヤーのエッチングに用いられ、メモリ、ロジック/ファウンドリで採用されている。今後も様々なアプリケーションに適用されることを期待。個社からの引き合い状況についてはコメントを差し控えたい。

米国商務省が2020年4月27日に発表した輸出管理措置の影響について伺いたい。TELの中国顧客への出荷にどのような影響があるか、またどのような対応を検討しているか教えてほしい。

現在、輸出管理措置の影響を精査している。

WFE (Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

本内容は、質疑応答のサマリーです。