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投資家向け情報

2024年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答集

WFE*¹の見通しについて、御社のTAM*²に特化した場合のFY2025の成長率を教えてほしい。先日、SEAJ*³は日本SPE*⁴メーカーの半導体製造装置売上がFY2025に前年比27%増と言及していたが、御社も同様の成長率を期待しているのか?

来期の業績予想については、期末の決算説明時にご報告申し上げるが、市場については基本的にSEAJの見方とは大きな違いはない。FY2025のWFEは市場拡大が見込めるCY2025の1-3月期の投資も含むため、大きな成長を期待している。

CY2024とCY2025について、それぞれアプリケーション別の成長率の見通しは?また、中国の成長率についても教えてほしい。

CY2024のDRAMの成長率は30~40%ほど。NANDは調整が継続し、ほぼフラットの状況。CY2025にはPCやスマートフォンの需要回復が見込まれるため、在庫の調整が進み、NAND投資が倍増すると予想している。CY2024のロジック/ファウンドリは微増。AIサーバーが牽引役となるが、顧客の工場稼動率に余裕があるため、本格的な設備投資はCY2025となると見込んでおり、2桁の成長を予想する。中国の比率は、CY2024は全体の約4割。中国の半導体自給率を高めるため、投資計画は継続するとみている。

DRAMの回復について、HBM*⁵が牽引役になると思うが、HBMが前工程に与える影響はどれくらいか?また、CY2024の成長率30%~40%の内、HBMが占める割合はどれくらいか?

HBM向けの数字が具体的に見えるのはボンディング装置の売上。一方、前工程はHBM向けと通常のDRAM向けには同じ装置が使用されるため、顧客が状況に合わせてキャパシティをアロケーションしており、足元の状況で構成比や貢献度を算出するのは適切ではない。ボンディング装置については当初の想定の倍以上の引き合いをいただいている。なお、前工程装置の投資は、昨今の傾向から最先端のDRAMの需要が回復するCY2024後半以降、増加が期待できる。

ロジック/ファウンドリの成熟ノードが活況とのことだが、CY2024のロジック/ファウンドリに占める成熟ノードの割合はどれくらいか?また、CY2025はどのように考えているのか?

ここ最近のアプリ別の投資比率は、メモリが約30%、ロジック/ファウンドリが約60%、残りが約10%とみている。CY2024は、 WFE全体の40%程度が成熟ノードのロジック/ファウンドリと見込んでいる。CY2025は、先端ノードが増加し、CY2024よりも成熟ノードの比率は低くなると予想している。

売上総利益率について、FY2024 Q3実績が下期予想を大きく上回った背景には中国の影響があるか?
また、差引するとQ4は売上が増加する一方、売上総利益率が落ちる計画となっている。その確度と来期の見込みについて教えてほしい。

FY2024 Q3は中国の影響もあるが、売上総利益率の高い製品の構成比が高かった。Q4も引き続き利益率は高い水準だが、一部原価性開発費や在庫廃棄処理等、一過性費用を織り込んだ。
今後も継続的に付加価値の高い製品を創出し、唯一無二の最先端装置を提供するとともに、コスト低減を推進する。なお、POR*⁶獲得は順調に進捗している。中期経営計画に向けて、今後も利益率を上げていくことができると考えている。

1-3月期のSPE新規装置売上予想は前四半期比20%増を見込んでいる一方で、欧米のSPEメーカーは減少を見込み、CY2024の売上は後半偏重と予想している。御社のCY2024の売上は、前半偏重か後半偏重か教えてほしい。

CY2024の売上のイメージは他社と同様に後半偏重型を想定している。足元の売上のトレンドが異なるのは、他社の受注残高が多かったことによる売上への影響が起因している。

フィールドソリューションのFY2024 Q4の売上高は、差引で考えると増加する見込みだが、その背景と来期の見方を教えてほしい。

一般的に、顧客の工場稼動率が改善するにつれて、パーツ・サービス売上は増加する。今は顧客の工場稼動率は低いが、今後徐々に回復することを想定している。活発な生産が始まると、パーツ・サービス売上とともに改造売上も増加していくと見込んでいる。

スライドのP19「未来に向けた成長投資」でご説明された研究開発費、設備投資、人材採用における、市場前提と戦略について教えてほしい。また、研究開発を含む設備投資は、国外でおこなう想定があるのか?

新製品の開発やSAM*⁷の拡大を踏まえ、今後5年間の成長投資を計画した。中期経営計画の先を見据えて具体的な目標値を算出している。研究開発には、国外の顧客の近くでおこなうものもあり、そのための投資も必要。

人材計画について、現在の1万7,000人から1万人増員するにあたって、人材の確保は可能か?

新卒採用のエントリー数は直近では2万人を超えている。新卒、中途合わせて、毎年国内で1,000人、海外で1,000人の採用をおこなう。業界のリーディングカンパニーとして、学生の教育支援もおこない、Global、Generation、Gender(3G)のバランスを考慮しつつ、人材確保に力をいれていく。
なお、5年間で1万人の新規採用を計画しているが、同時に定年退職等で減少する人員もおり、純増は6,500人程度と考えている。

人員が増加することで固定費比率は増加するのか?

CY2030に半導体市場が今の倍の1兆ドルになり、顧客のキャピタルインテンシティ*⁸と当社のシェアが変わらなければ、売上が倍近くになると想定しており、固定費が増加しても、利益率は改善できると試算している。拠点数や工場の拡大に伴って、装置台数は増加するものの、DXやロボティクスソリューションを推進し、インシデントを減少させるオペレーションによる固定費の削減も考えている。

極低温エッチング装置は300層の3D NANDで使われる可能性はあるのか?また、いつから売上が計上されるのか?

300層に適用される可能性はあるが、400層以上をターゲットにしている。売上の寄与はCY2025からを想定。

WFE (Wafer Fab Equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

TAM:Total Available Market

SEAJ(Semiconductor Equipment Association of Japan):一般社団法人 日本半導体製造装置協会

SPE:半導体製造装置

HBM (High Bandwidth Memory):高帯域幅メモリ

POR:Process of Record

SAM:Served Available Market

キャピタルインテンシティ:半導体売上に対する半導体製造装置の投資額の割合

FY2024は2023年4月~2024年3月の会計年度を指しています。

FY2025は2024年4月~2025年3月の会計年度を指しています。

本内容は質疑応答のサマリーです。スライドに同期した音声配信はこちらから。