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医療からスピーカーまで、音波を自在に操るメタマテリアル

2017.4.3

小さなブロックで構成される音響メタマテリアル。音波を屈折や反射を自在にコントロールできる。Copyright © 2017, University of Sussex

光学分野で近年注目されているキーワードとして「メタマテリアル」がある。これは、「電磁波に対して自然界にはない振る舞いをする、人工的に作られた物質」のこと。光を含めた電磁波をとんでもない方向に屈折させたり、反射させたりできる。メタマテリアルは、ナノサイズの金属粒子を特定の配列にするといった手法で作られていてすでに分解能の高いアンテナなどへの応用も始まっている。将来的には着るだけで身を隠せる「透明マント」のようなものまで実現できるとも言われている。
こうしたメタマテリアル的な振る舞いを音波について実現することに、サセックス大学とブリストル大学の研究チームが成功した
この、いわば音響メタマテリアルは、小さなブロックで構成されている。3Dプリンターで出力されたブロックは、音波の進行速度を遅らせる螺旋構造を備えており、16種類ほどのパターンがある。さまざまなパターンのブロックの組み合わせ方によって、音波の進行方向を直角に曲げたり、特定の方向にだけ進ませるといったことができる。音波をうまく集中させれば、小さな物体を浮遊させることまでできてしまう。
音響メタマテリアルの応用範囲は非常に幅広い。中でも期待されるのが医療機器への応用だ。超音波を特定の場所に集中させれば、体内の奥深くにある腫瘍を破壊するといったことも可能だ。
現在、研究チームでは音響マテリアルをダイナミックに再構成する研究に取り組んでいる。これが可能になれば、医療診断や建物の亀裂診断などに使える安価なイメージングシステムが実現できるという。

(文/山路達也)

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