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タイツが体を補助する人工筋肉に変わる?

2017.4.17

繊維に電気活性物質をコーティングして作られた人工筋肉。電圧を変化させることで、伸縮する。 Photo credit: Thor Balkhed

比較的近い将来に実現しそうなSF的アイテムとしては、パワードスーツがよく話題に上る。特殊な外骨格を着込むことで、数倍の力を出せるというもので、軍事や介護での開発が進んでいる。介護や作業支援用のものとしては、CYBERDYNE社のHALなどが有名だ。
こうしたパワードスーツは、モーターや圧縮空気によって駆動されるのが一般的だが、ユニークな手段で人工筋肉を備えたパワードスーツを実現しようという研究もある。スウェーデンのリンショーピング大学、ボロース大学の研究チームは、ごく普通の繊維を人工筋肉として使えるようにする研究を進めている。
この人工筋肉のポイントは、特殊な電気活性物質を普通の繊維にコーティングしていること。電圧によって、電気活性物質の体積が変化し、それによってコーティングされている繊維の長さも変化する。
編み物が趣味の方はご存じだろうが、同じ毛糸を使っても編み方を変えることで、できあがった編み物の伸縮度合いはまったく変わってくる。開発中の人工筋肉も、編み方によって伸び方や出力が大きく異なるのだ。
研究チームはすでにごく単純なロボットを試作し、人工筋肉でごく小さな物体を持ち上げることに成功している。従来の繊維製造技術を使って製造できるため、機械的な仕組みの人工筋肉よりも大幅に低コスト化できる可能性がある。また、衣服の下に着られるランニングタイツのようなデバイスを作り、高齢者や身体障害者の歩行を補助するといった応用も検討としているという。
繊維を使った人工筋肉は、モーターを使ったものに比べれば出力は小さくならざるをえないが、違和感なく日常的に使えるメリットは大きい。スポーツでのフォーム矯正やリハビリなど、大きな市場を作る可能性もありそうだ。

(文/山路達也)

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