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ウイスキーの違いがわかる、人工の舌

2017.9.4

ウイスキーのブランドや産地をピタリと当てる人工の舌が開発された。壜の中身を入れ替えて提供しているインチキな店も一発でわかる?
ウイスキーのブランドや産地をピタリと当てる人工の舌が開発された。壜の中身を入れ替えて提供しているインチキな店も一発でわかる?

生命とは何かという問いは、古代から大勢の人間を悩ませてきた。
ウイスキーのわずかな味の違いから、ブランドや産地、熟成年まで言い当ててしまう。そんなウイスキー通なみの味覚を備えた、人工の舌がドイツのハイデルベルグ大学Uwe Bunz博士らの研究チームによって開発された
これまでの味覚センサーとしては、慶応義塾大学の開発したレオがある。レオは、人間の舌にある味を感じる器官(味蕾)に相当するセンサーを使ってサンプルの電気信号を測定、5つの基本味(塩味、酸味、甘味、旨味、苦味)を定量的なデータとして出力する。
一方、ハイデルベルグ大学の研究チームが開発した人工の舌は、原理がだいぶ異なる。組成が微妙に異なるポリマー染色液が入った何種類ものチューブに、サンプルを数滴垂らすと染色液が蛍光を発する。サンプルによってどのチューブがどの程度発光するかは異なり、その発光パターンによってサンプルが何かを識別する仕組みだ。
おわかりのように、この「舌」はウイスキーがどんな味なのかを教えてくれるわけではない。あらかじめ登録されたサンプルのパターン、いわば「味の指紋」を検出する装置と考えればわかりやすいだろう。
Bunz博士によれば、装置の価格は10,000ユーロ程度、ポリマー染色液のコストは数セント程度になる見通しだという。低コストながら判別に要する時間は短く、実験では32のウイスキーサンプルの分析を同時に開始し、15分で結果を出力。正確さは99%であった。この手法はウイスキー以外の飲料や、薬などにも応用できるという。
ブランドものの高価な酒や薬は、粗悪な偽物が大量に出回る。人工の舌はそうした偽物の摘発で活躍することになりそうだ。同時に、企業がインチキをしているかどうかも白日の下に晒されることになるかもしれないが。

(文/山路達也)

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