Introduction
パブリック・社会

2020年の通信・インフラ

2020年開催の東京オリンピックに向けて、競技場をはじめとする施設建設だけではなく、インフラ作りも始まっている。1964年の東京オリンピックの時は、新幹線と高速道路を作った。2020年は携帯高速通信インフラの5Gが有力。5Gに求められているのは、10Gbpsという高速の通信速度だけではない。低遅延、低消費電力も同時に要求される。このため社会全てが変革を迫られることになる。小売り業者はO2O(Online to offline)やBluetoothビーコン、デジタルサイネージを活用し、顧客を囲い込む。スタジアムやコンサートホールなど、人々が1ヵ所に集う場所では、モバイル通信から切り離したP2P(peer to peer)通信で観客へ一度にサービスを提供するようになる。2020年の通信とインフラを考察する。

NTTドコモは、ノキアネットワークスやエリクソンを始め、国内外の通信機器メーカー、半導体メーカー、計測器メーカーなどと5Gの実験研究を始めている。2017年には商用化に向けた実験結果を出し、2020年には一部で実用化を始めたいと考えている。もちろん本格的な実用化はその先になるだろうが、東京オリンピックの年は実用化を世界にアピールする絶好のチャンスとなる。

通信を利用してビジネスを活性化しようとする動きは増えてきている。例えば、街の商店街では、Bluetoothビーコンを用いて、客のスマホに今日の特売品情報が表示される仕組みを導入している。また、ビーコンは地下街のナビとして使う実験も始まっている。一方、O2Oは、商店に来た客をトレースして次の買い物へと誘導することができ、リピータ来客数を積極的に増やすことができる。

さまざまなモノがインターネットにつながるIoTは、2020年には260億個、あるいは500億個のデバイスがつながるという予想もある。ウェアラブル端末やスマートウォッチなどの小さな応用から、工場やオフィスでセンサ端末としてIoTを使う応用まである。

No.010 特集:2020年の通信・インフラ

CROSS × TALK

社会向けICTをオリンピックで実現
前篇 後編
坂村 健 × 為末 大

Expert Interview

ビーコンの活用で、地元の商店街が
新しい価値を持つようになる
スマートリンクス 開発責任者
まちなかBeacon普及協議会

市川 博康

2020年、第5世代のモバイル通信
目指す
NTTドコモ先進技術研究所5G推進室
室長兼主席研究員

中村 武宏

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