No.018 特集:スマートコミュニティと支える技術

No.018

特集:スマートコミュニティと支える技術

連載01

半導体チップの再生可能エネルギーへの応用

Series Report

第1回
再生可能エネルギーの仕組みと半導体の応用例

2018.09.03

文/津田建二

再生可能エネルギーの仕組みと半導体の応用例

再生可能エネルギーというエネルギー分野は、半導体とは全く関係がないと思われがちだが、実は半導体チップにとっても新しい市場となってくる。今までの電力エネルギーは、需要を上回る供給能力を備えることで、停電などの供給不足にならないように対処していた。しかし、これでは余剰電力が無駄であり、電気料金が高くなる原因の一つにもなっている。そのため、ピーク需要に合わせて供給能力を高めるのではなく、その時々の需要に応じて電力を供給できるようにテクノロジーで解決することが、低コスト化すなわち電気料金の値下げにとって重要なのだ。電気料金の値下げは、日本の国際競争力向上と直結する。そのテクノロジーこそが半導体技術なのである。この連載では、再生可能エネルギーの仕組みをまず解説し、連載第2回では再生可能エネルギーに使われる半導体を紹介、連載第3回では電力系統を賢く制御して電力コストを削減するために必要な仕組みと半導体を議論する。

再生可能エネルギーの代表的なものとして、太陽光発電、風力発電、水力発電がある。このうち風力と水力は、それぞれ風の力、水の流れる力を利用してモータ(発電機)を回し、電気を起こすことが知られている。そのため、風が吹かない、水が流れない、といった状況では発電できない。昔ながらの自転車には簡単な発電機が備え付けられており、ペダルをこぐと発電してライトを点灯させる。こうした自転車では、交流電力を発生させ、交流のままライトを光らせていた。

電気を溜めない太陽電池

ところが、太陽光発電は原理が全く違う。かつてはソーラー(太陽の)セル(電池)を直訳して、太陽電池と呼ばれていたが、電池といっても電気を溜めるわけではない。一般に電池には、使い捨ての乾電池(一次電池)と、充電できる蓄電池(二次電池)があり、いずれも電気を溜める能力があるため、電気の池と書いて「電池」と呼んでいた。しかし、太陽光発電は電気を溜めないので、「太陽電流」というべきかもしれない。

話は横道にそれたが、太陽光発電は、半導体のpn接合を利用したもので、光を当てるといわゆるリーク電流として電流が流れる。[図1]のように、半導体のpn接合のp側にプラス、n側にマイナスになるように電圧を加えると電気が流れ(順電流)、その逆にp側にマイナス、n側にプラスを加えると電気は流れない(逆電流)。光を当てると流れるのは、実は逆電流なのだ。pn接合に電圧を加えない状態では、通常は電気が流れない。しかし、光を当てると流れるのである。太陽光発電というのは、電圧を加えない状態で光を当てると電気が流れることを利用するエネルギー源だ。

[図1] 半導体のpn接合に光を当てると電流が流れる
作成:津田建二
半導体のpn接合に光を当てると電流が流れる

同じ再生可能エネルギーといっても、太陽光は直流電力、風力や水力は交流電力を発生させる。これらの電力を家庭内で使うのであれば、交流の100Vに変換しなければならない。しかも交流の周波数は、西日本では60Hz(1秒間に60回、プラスとマイナスを交換する)、東日本では50Hz(同様に1秒間に50回)と違っている。だからこそ、ソーラーパネルや風車、水車で発生した電力を、そのまま家電製品に使うことはできない。

そこで、ソーラーパネルなら直流の電圧を100Vの50Hz/60Hzの交流に変換し、風車や水車なら発生した交流電圧を100Vの50Hz/60Hzに変換しなければならない。この役割を担うのがインバータ、あるいはパワーコンディショナーと呼ばれる装置だ。実はここに半導体が十数個以上使われている。もちろん前述したように、太陽光発電にも半導体は使われている。

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