No.009 特集:日本の宇宙開発
Scientist Interview

H3ロケットはこれまでのロケットとどこが違う?

 

──H3ロケットは、これまでのH-IIAロケット、H-IIBロケットと比べてどこが違うのでしょうか。

見た目は似ているのですが、並べてみると大きさが違うのがわかります。H-IIAロケットが全長53m、H-IIBロケットが56.6mなのに対して、H3ロケットは約63mです。一回り大きいんですね。

またいちばんのコンセプトの違いは、H3ロケットの場合、固体ロケットブースタ(SRB)がない状態で飛べることです。H-IIAロケットはSRBがないと飛ぶことができません。

──SRBはロケット本体の外に付けられる小型のロケットですね。

H-IIAロケットでSRBを2本付けた状態と、H3ロケットでSRBを付けていない状態とで、ほぼ互角の能力が出せるようになっています。ロケットの第1段のエンジンの数が、H-IIAロケットでは1基であるのに対して、H3ロケットでは3基束ねています。エンジン1基の推力も、H-IIAロケットに比べてH3ロケットは1.4倍です。

──SRBの本数等によって、色々な重さの衛星に対応できますね。

H3ロケットでは、SRBが2本や4本のバージョンが可能です。またロケット本体の1段目のエンジンを2基にすることもできます。組み合わせによってバージョンが何種類かあります。これまでのロケットはすりあわせで作っているところがあり、ちょっとした構成要素の見直しをするにも、色々なところに影響が及ぶ設計になっていました。H3ロケットでは、各部をモジュール化することによって、たとえばSRBの数を変えても本体にあまり影響を与えないような設計にしています。その点は従来と大きく違うところです。

──SRBの取り付け部分も変更されていますね。

H-IIAロケットでは、電柱ほどの太さの棒を使ってSRBを取り付けています。H3ロケットでは、もっと簡単な取り付け構造を採用しました。SRBは推力が大きく、真ん中のロケット本体を持ち上げる役割があるので、結合部には大きな力がかかります。相当気を使った設計になるとは思いますが、今チャレンジしているところです。打ち上げ準備期間を短縮するために、そのような工夫を色々と行っています。

──整備期間の短縮はコスト削減につながりますね。

そうです。ロケットを整備するエンジニアが種子島に行って作業する時間と手数の問題は、コストに大きく影響しますから。

──製造の過程も違うと聞いています。

H3ロケットでは、ロケットの製造時にライン生産の概念を導入することも、これまでと大きく違います。従来は受注生産に近い形で作られていましたが、H3ロケットでは注文がなくても同じペースでロケットを作っていきます。ミッションが決まった段階で、必要なオプションを追加するイメージです。

の図
[図2] H-IIA、H-IIBロケットとH3ロケットの比較。H3ロケットは従来より一回り大きくなる。
CREDIT:JAXA

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