No.009 特集:日本の宇宙開発
Scientist Interview

従来と異なる方式のエンジンを新たに開発

 

──H3ロケットの1段目のエンジンも新しく開発されますね。

ロケットの1段目に使うLE-9というエンジンを新たに開発します。このエンジンは、H3ロケット開発の目玉です。

──従来のエンジンとはどこが違うのでしょう。

エンジンの構造がシンプルになることで信頼性が高くなり、しかもコストが安くなるというのがメリットです。コストは半額くらいのイメージですね。エンジンを3基取り付けますから安くする必要があります。

大型のロケットは、基本的にターボポンプ*1を使って燃料をタンクからエンジンの燃焼室に送ります。そのターボポンプを動かすためのタービンを回す方式が、従来のH-IIAロケットのエンジンとは異なっています。H-IIAロケットのエンジンLE-7Aでは「二段燃焼サイクル*2」という方式でしたが、H3ロケットでは、より構造がシンプルな「エキスパンダ・ブリード・サイクル*3」という方式になります。

世界のロケットで、失敗の半分くらいはエンジン周りにあるといわれています。そこの信頼性を高めるのは肝心です。信頼性の高い簡素なものを作るために「エキスパンダ・ブリード・サイクル」を採用することにしました。

──エキスパンダ・ブリード・サイクルにすることのデメリットはないのでしょうか。

ロケットの性能指標の一つである燃費が下がるというデメリットはあります。ただロケットのシステム全体としてバランスをとることで、デメリットの部分をカバーするようにします。そういった考えの下で、コストも大幅に下がるということで、エンジンの方式を変えるという選択をしました。

の図
[図3] H-IIA/IIBロケットの第2段エンジン(LE-5B、LE-5B-2)はエキスパンダ・ブリード・サイクル方式が採用されている。H3では第1段、第2段ともにエキスパンダ・ブリード・サイクル方式のエンジンとなる。
CREDIT:JAXA

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