No.009 特集:日本の宇宙開発
Scientist Interview

種子島宇宙センターの改修は最小限に

──H3ロケットの開発に伴って、種子島宇宙センターの設備も少し変更されますね。

変更が大幅にならずによかったなと思っています。当初、いちばん頭を悩ませていたのは整備組立棟*4でした。H3ロケットはH-IIAロケットなどと比べて大きいので、整備組立棟を新たに建設する必要があるだろうと考えていました。新しく作るとなると費用が相当かかります。最終的には、ロケット全体が何とか棟内に収まるようにできたのですが、これは幸いでしたね。ただし建物は同じですが、中での整備や点検の方式は大きく見直します。

──発射地点(射点)*5は、従来のものが使われます。

はい。H-IIBロケットの打ち上げで使っている射点を使えます。射点には、燃料を充填するための配管があったり、打ち上げ時の噴煙が通り抜けるトンネルのようなものがあったりします。シミュレーションを行った結果、噴煙の量も何とか処理できる範囲内だとわかり、新しく作り直さなくてすみました。

使えるものは、もったいないから使うというのが基本です。どうしても新しくしないといけないのが、ロケットの発射台まわりですね。発射台本体と、ロケットを整備組立棟から射点まで移動するための台車のようなものは、新しく作ります。

──打ち上げ当日の管制などを行う発射管制棟は、これまで発射地点のすぐ近くにありました。それが遠い場所に移されるそうですね。

H-IIAロケットなどでは、打ち上げ当日は発射管制棟の地下、いわばシェルターの中で、100〜150人くらいの人たちが管制業務を行っています。打ち上げ当日の燃料充填以降は3km以内の範囲の人払いをするので、管制棟内の人たちは缶詰になるわけです。そうなると、一時的な作業にあたる人も、最初から最後までずっとそこにいる必要が出てきます。

なぜ射点の近くに作られたかというと、やはりいざという時にロケットに近い方がよいだろうという考えからだったと思います。ただ今まで運用してきて、その必要が必ずしもないことがわかってきました。ですから発射管制棟を3kmの外に出すことにしました。それによって、必要に応じて人が出入りできるようになります。

──そのあたりは、これまでH-IIAロケットを長く運用をしてきたからこそ出てきた考え方ですね。

H-IIAロケットは現在28機打ち上げられています。それまでのロケットは、日本のロケット技術力を高めることを主眼にしており、一つのモデルでせいぜい10機程度の運用でした。10機の運用で次のロケットを打ち上げることになると、最初の2機くらい運用したら、もう次の開発に入ってしまうわけです。今回はそうではありません。H-IIAロケットの運用の経験が、しっかりとH3の開発に生かされています。

種子島宇宙センターの吉信射点エリアの空撮の図
[図4] 種子島宇宙センターの吉信射点エリアの空撮。射点は現在H-IIBで使われている射点を改修して利用する。
CREDIT:JAXA

Copyright©2011- Tokyo Electron Limited, All Rights Reserved.