No.008 特集:次世代マテリアル
連載01 身近な世界にまで広がり続ける半導体
Series Report

第1回
テレビやコンピュータからクルマ、電車、
医療機器、エネルギーなどへ拡大

 

  • 2015.02.27
  • 文/津田 建二

かつて、半導体の利用は、コンピュータやテレビ・ラジオなどの電子機器にとどまっていた。それがいま、クルマや電車、医療機器、エネルギー、化学、機械など様々な領域に広がっている。そして、この広がりはさらに農業や植物栽培、バイオ技術、宇宙開発、などにも及ぼうとしている。本連載では、第1回はその広がりの様子、第2回はなぜ広がってきたのか、第3回は将来に向けてどのような世界が開けるか、について考察していく。

半導体(semiconductor:セミコンダクタ)とは、半分導体という意味であり、電気をよく通す導体と、通さない絶縁体との間に位置するsemi-conductor(セミ-コンダクタ)と記述されていた。今では一つの言葉として市民権を得て、ハイフンがとれている。元々、半導体は材料を意味していたが、半導体という言葉には、今やIC(集積回路)チップの意味も含まれている。ICは、シリコン結晶の表面に無数のトランジスタを構成するための電子回路を刻んだもの。この電子回路は、計算機にも、携帯ゲーム機にも、テレビやデジタル音楽プレーヤーにもデジタルカメラにもスマートフォンにも、デバイスと呼ばれる全ての機器に変身する。ここでは、半導体がどのように身近な存在になっているかを見ていく(図1)。

半導体産業の特長の一つの図
[図1] 半導体産業の特長の一つは拡大し続けている点だ 出典:津田建二著「知らなきゃヤバイ! 半導体、この成長産業を手放すな」日刊工業新聞社刊

目に見えない電流が高い機能を生む

私たちの身近にある電子機器(デバイス)は全て半導体の塊だと言っても言い過ぎではない。かつて、大学で講義した時、経営学部の学生たちに「エレクトロニクスや半導体とは何だと思うか」と聞いたことがある。多くの学生の答えは、「自分とは関係のない、よくわからないモノ(こと)」であった。半導体エレクトロニクスは目に見えない。少なくとも半導体や電子部品が載っているプリント回路基板を見ても、人の目には何がどう働いているのか、わからない。計測器を使ってようやく電圧や電流を知ることができる。エレクトロニクスは目に見えにくいテクノロジーだといえよう。だから、「よくわからないモノ」という回答が続出したのだろう。ところが、講義を終えてアンケートのコメントをいただくと、「半導体がこれほど身近に使われていることを初めて知った」という声が多かった。

半導体は私たちの生活を間違いなく豊かにしてくれている。携帯電話やスマホ、音楽プレーヤー、テレビでさえ薄型の液晶は当たり前になり、我々の生活を変えた。テレビはブラウン管から液晶になり、音楽機器はレコードからCDやデジタル音楽プレーヤーに変わった。これらを実現した原動力こそ、半導体である。

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