No.008 特集:次世代マテリアル
連載01 身近な世界にまで広がり続ける半導体
Series Report

タブレットの性能は昔のスパコン

パソコンやタブレットも半導体がなければ実現できなかった。コンピュータは昔、大きく広い部屋に設置されていた。とても個人が持ち運べる機械ではなかった。しかも能力は絶大である。最近のスマホは4年前のパソコンと同じ能力を持つという(参考資料1*1)。また、iPad 2の性能は1985年のスーパーコンピュータCray-2と同じ4GFlops/Wだという実証例もある(参考資料2*2)。

さらにデジカメは、従来のフィルムカメラの精度や性能を超えた。ミラーレスのデジカメの市販品でさえ3000万画素以上の高解像度カメラがある。ミラーレスではないコンパクトカメラでさえ1600万画素はあり、しかも12倍、14倍の光学ズームが搭載されており、太陽下、逆光、夜間など様々なシーンでの撮影が素人でもできる。左右ステレオで録音しながらビデオ撮影もできる。何よりも撮影に失敗して気にいらない写真をすぐに消すことができるなど、フィルムカメラではできない機能が搭載されている(図2)。しかも3~4万円で入手できる。ひとえに半導体が、色合いの処理やシャッター、センサ、記録、ズーム調整などさまざまな機能を実現しているのである。

デジカメの図
[図2] 安価ながら1眼レフフィルムカメラ以上の機能があるデジカメ

テレビが薄く軽くなると家庭の各部屋に1台置いても邪魔にならない。インテリアの一つの道具にもなる。実は、半導体はアナログテレビの時代から使われていた。一昔前のブラウン管テレビには、すでにトランジスタやICが使われていたが、ディスプレイには真空管が用いられていたため、BOX型の形状をしていた。それが、半導体の進化と共に、液晶ディスプレイが可能になり、薄型テレビが誕生したのである。デジタル放送になった今では、コンピュータと同じ回路規模のデジタル方式になり、半導体なしでテレビは作れなくなっている。

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