No.008 特集:次世代マテリアル
連載01 身近な世界にまで広がり続ける半導体
Series Report

今やっとユビキタス時代が始まった

携帯電話は個人を特定できるようになり、人と待ち合わせする時にはなくてはならない道具になった。胸ポケットやズボンのポケットに入る携帯電話は、半導体ICがなくてはとても実現できなかった。この中にメールアドレス帳や電話帳、カレンダー、などが入りテレビやカメラなどの機能も付いているが、これらは全て半導体が機能を受け持っている。

さらにiPhoneが2007年に登場し「スマートフォン」という言葉が生まれた。スマホは携帯電話から進化したものではあるが、今はコンピュータが小さくなったモノと捉える方が適切になってきた。というのは、アプリをダウンロードしてスマホに搭載すると、機能をいろいろ追加できるからである。さまざまなアプリケーションソフトウエアをインストールして機能を追加するパソコンと同じといえる。

実は、スマホになって初めて、本当の意味で「いつでもどこでも」コンピュータ通信ができる時代になった。いつでもどこでもインターネットにつなげられる「ユビキタス」という言葉は10年以上も前から言われてきたが、スマホ以前のパソコンはどこかに座って操作しなければならなかった。これに対してスマホは、歩きながらでも、カバンを持ったままでも、片手さえ使えれば、いつでもどこでもインターネットとつながり、YouTubeやメール、ブラウザを見ることができる初めてのユビキタスデバイスになった。「歩きスマホ」はむしろ社会問題になるほど一般的になった。まさに今がユビキタス時代である。半導体をたくさん購入する企業のトップがサムスンで、2位がアップルという順序になった(図3)。かつての半導体購入額の大きい企業は、HPやデルなどのパソコンメーカーであった。

半導体購入額ランキング2013の図
[図3] 半導体購入額ランキング2013  半導体購入者はスマホメーカーが主流に
出典:Gartnerのプレス発表資料を基に津田建二が図示した

今やあたり前になった、スイカやパスモなどのICカードは、まさに半導体だけで機能していると言っても言い過ぎではない。無線を受けてカード内の電子回路を動かし、瞬時に料金を徴収する。切符としての機能だけではない。買い物や食事をした時の料金も支払える。お金の代わりを果たす。この機能を行う電子回路こそ半導体ICに他ならない。

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