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人類が初めて月の大地を踏みしめたのは、1969年7月21日のことだった。「アポロ11」の月着陸船から降り立ち、その第一歩を刻んだニール・アームストロング宇宙飛行士は「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」という言葉を残した。それから約半世紀。私たちはいま、宇宙に新たな一歩を刻み込もうとしている。アメリカ航空宇宙局(NASA)などが進める「アルテミス」計画は、アポロ計画以来となる有人月着陸と、月の持続的な探査を行い、将来の有人火星探査に向けた足がかりとなることを目指している。さらに、実業家のイーロン・マスク氏は自ら立ち上げた企業で、人類の火星移住という壮大な野望を実現すべく、巨大な宇宙船とロケットの開発を進めている。アームストロング氏に続く、私たち人類の月へ、そして火星へ向けた新たな歩みとはどんなものなのだろうか。
アルテミス計画は、NASAが中心となって進めている有人月探査計画である。アルテミスとは、ギリシア神話に出てくる女神の名前で、アポロン(英語読みではアポロ)とは双子の関係にある。
実現すれば、アポロ計画以来、約半世紀ぶりに月にふたたび人が降り立つことになる。しかし、単なるアポロ計画の焼き増しではなく、アルテミス計画にはさまざまな新しい点がある。
アポロ計画では、1回あたりのミッション期間は長くとも2週間程度で、また1972年の「アポロ17」ミッションを最後に打ち切りとなってしまった。
一方、アルテミス計画は、宇宙飛行士が入れ替わり立ち替わり月を訪れ、持続的に探査すること目指している。そのため、ロケットで宇宙船と月着陸船を飛ばして帰ってきたアポロ計画とは異なり、アルテミス計画では月のまわりを回る宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設。宇宙飛行士はこのゲートウェイを拠点に探査活動を行う。さらに将来的には、月面に基地を建設することも目指している。
月はただ着陸すればいいというものではなく、どこに降りて何をするかで、得られる科学的成果などが大きく変わってくる。
アポロ計画では着陸や通信のしやすさから、すべてのミッションで、つねに地球のほうを向いている月の表面側に着陸した。得られた成果は大きかったものの、科学者からはもっと別のところを探査したかったという声もあった。
アルテミス計画では、月の南極付近に着陸し、活動することが計画されている。月の南極には、永遠に太陽の光が当たらない永久影ができている領域があり、そこには水(氷)が埋蔵されていると考えられている。科学的に興味深い場所であること以上に、水は人が生きるうえで必要不可欠なものであり、電気分解すれば水素と酸素を取り出せるため、人が生きるための空気やロケットの推進剤(燃料と酸化剤)にもなる。
水がなければわざわざ地球から持ち込まなくてはならないが、もし月で現地調達できるなら、持続的な探査や将来の月面基地建設に大いに役立つと期待されている。
アポロ計画は当時、アメリカがソヴィエト連邦との冷戦関係にあったことから始まったもので、その目的は”競争”だった。
一方、アルテミス計画には日本や欧州宇宙機関(ESA)、カナダが参加し、各国が”協力”して、アポロ計画以上の成果を創り出すことを目指している。
たとえばゲートウェイのモジュールのひとつ「I-HAB(International Habitation Module)」はヨーロッパと共同開発することになっており、日本は宇宙飛行士が生きるのに必要不可欠な環境制御・生命維持システムや、バッテリー、熱制御、カメラなどを開発という重要な装置の開発を担当する。
また、ゲートウェイへの生活必需品や実験装置といった補給物資の輸送でも、日本が開発中の無人補給船「HTV-X」を使うことが計画されている。
アポロ計画はNASAが主導して進められたが、アルテミス計画では民間の宇宙企業も主導的な役割を果たす。
たとえば月への補給物資の輸送や、月に降り立つための月着陸船の開発、そして月を歩くための宇宙服の開発などは、ベンチャーや日本も含めた、さまざまな企業が関わっている。むしろ、アルテミス計画は民間企業の存在なしでは成立し得ない。
NASAはかねてより、「民間にできることは民間に任せる」という方針のもと、2000年代から宇宙開発の民間への開放、促進、調達といった、いわゆるアウトソーシングを進めてきた。たとえば、国際宇宙ステーション(ISS)への物資や宇宙飛行士の輸送では、民間企業に開発資金や技術を提供し、ロケットや補給船、宇宙船を開発させ、完成後はNASAが運賃を支払って利用するという「COTS(Commercial Orbital Transportation Services)」という計画を実施。その結果、イーロン・マスク氏率いるスペースXなどが開発や運用に成功し、そして民間による宇宙ビジネスが活性化した。
そしてNASAは、アルテミス計画でも同じやり方を踏襲。ゲートウェイのモジュールの打ち上げに始まり、ゲートウェイが運用される軌道を調査する小型探査機、水(氷)があるとされる南極付近を探査する探査車、月面に物資を送り届ける輸送機、そして宇宙飛行士がゲートウェイと月面とを往復する際に乗り込む月着陸船など、多くの要素を民間企業が開発、運用することになっている。
月面に物資を届ける輸送機の開発では、日本の企業もかかわっているほか、自動車メーカーのトヨタとJAXAは月面車「ルナ・クルーザー」の共同開発を行っている。
民間企業はNASAからロケットの打ち上げや探査機の運用をビジネスとして請け負うことで利益を上げることができ、さらにその技術を別の宇宙ビジネスに応用することもできる。一方、NASAにとっては、民間が行うことが難しい先進的な技術の研究・開発や、安全性の審査などに注力することができる。民間とNASAが二人三脚のように歩むことで、お互いにとってWin-Winな関係を創りつつ、月へ、そして火星へ、より早く、安く、安全に赴くことができると期待されている。
アポロ計画で月に降り立った宇宙飛行士は、アメリカ人の白人男性だった。
一方、アルテミス計画は、計画に参加する各国の国籍を持つ宇宙飛行士はもちろん、女性宇宙飛行士も多数参加するほか、ヨーロッパでは障がいを持つ人も宇宙飛行士に選ばれる予定で、まさに多様性が大きく発揮され、本当の意味で”人類”が月に降り立つ、象徴的な出来事になる。
そして、アルテミス計画で最も重要なのは、有人月探査を足がかりに、有人火星探査の実現を目指しているという点である。
人類はこんにちまで、地球のまわりを回る国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙での長期滞在や、それが健康面などに与える影響について研究している。これまで、ひとりの宇宙飛行士が連続で宇宙に滞在したのは約1年。しかし、火星へ行って帰ってくるとなると最短でも2〜3年はかかる。通信や医療などが不十分な中、人間がそれだけの飛行に耐えられるかはまだわかっていない。さらに、火星に降り立って生活しようというのならなおのことで、どんな課題があり、その解決のためにどんな技術が必要になるのか、まだ多くのことがわかっていない。
そこで、まず月を探査することで、地球から遠く離れた場所で生活したり探査したりする技術や知見を培い、いわば予行練習を行ったうえで、有人火星探査に生かそうというのである。
アメリカはもともと、アポロ計画中にも有人火星探査の構想があり、またアポロ11の月面着陸から20周年の1989年にも、新たな有人月、火星探査の構想が持ち上がった。しかし、いずれも膨大な予算が必要なことなどから実現はしなかった。
その後、2004年にジョージ・W・ブッシュ大統領が新宇宙政策を発表。2020年にふたたび月に宇宙飛行士を送り込み、その次に火星を目指すことが定められ、NASAはそれを受け「コンステレーション計画」をスタートさせた。
しかし、技術的課題や予算不足などからロケットや宇宙船の開発が遅れ、2020年の有人月着陸という目標も無理があるという非難にさらされた。
こうした中、バラク・オバマ大統領は2010年、コンステレーション計画の中止を決定。ただ、コンステレーション計画で無理のあった点を見直し、より確実に、意義のある形で火星を目指すというもので、宇宙船の開発などは継続し、2030年代半ばまでに宇宙飛行士を火星の軌道に送り込むという目標も掲げられた。
だが、計画はさらに二転三転する。2017年にはドナルド・トランプ大統領が新たに月と火星を目指す宇宙政策を発表。2024年までに有人月着陸を、そして2030年代に有人火星探査を目指すことが決定され、そして2019年にアルテミス計画と命名され、現在に至っている。
アルテミス計画の根幹をなすのが、月へ向けて最大約27tの物資を運べる巨大ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」と、最大4人の宇宙飛行士を乗せて地球と月を往復できる「オライオン(Orion)」宇宙船である。
ちなみにSLSは、NASAがかつて運用していたスペース・シャトルのロケットエンジンなどを数多く流用して造られている。また前述のような流れから、その開発はオバマ政権時代から行われてきた。オライオンもまた、ブッシュ政権時代から開発されてきた。まさにアメリカが長年培ってきた技術と歴史の集大成といえる。
アルテミス計画はまず、2022年以降に、無人の試験飛行ミッション「アルテミスI」を行うことが計画されている。アルテミスIはSLSにとって初めての打ち上げであり、無人のオライオンを月へ向かう軌道に投入する。
その後、オライオンは月を回る軌道に入り、約1か月間さまざまな試験をこなしたのち、11月に地球に帰還することになっている。
これが成功すれば、2024年には有人の試験飛行ミッション「アルテミスII」を実施。4人の宇宙飛行士が乗ったオライオンをSLSで打ち上げ、月でUターンし帰還。打ち上げから帰還までは約10日間の予定で、宇宙船の機能や宇宙飛行士の居住性などを試験する。
また同年中には、ゲートウェイの建設も始まり、宇宙飛行士が生活したり宇宙船がドッキングしたりするための最初のモジュールが月を回る軌道へ打ち上げられる。さらに、月着陸船も送られ、ゲートウェイにドッキングする。
そして、これらアルテミスのミッションと、ゲートウェイの最初のモジュール、月着陸船の打ち上げが成功し、すべての準備が整えば、いよいよ有人月着陸ミッション「アルテミスIII」に挑むことになる。現時点で、実施は2025年以降に予定されている。
4人の宇宙飛行士が乗ったオライオンは、SLSで打ち上げられたのち、ゲートウェイに到着。そこで2人が月着陸船に乗り込み、月の南極に舞い降りる。ゲートウェイに残った2人は、月面で活動する宇宙飛行士の支援を行う。
月面には約1週間程度滞在し、月着陸船でゲートウェイに戻り合流。そして4人はふたたびオライオンに乗り込み、地球へと帰還する。打ち上げから帰還までは1か月ほどと予定されている。
その後は、ゲートウェイに宇宙実験室などのモジュールがドッキング、追加されるとともに、新しい宇宙飛行士が次々とゲートウェイや月を訪れ、深宇宙で長期間滞在するための技術の研究・開発や実証試験などを実施することになっている。
アルテミス計画は現在、ゲートウェイの建設や月の南極の探査を行うことまでが具体化されている。その先はまだ検討段階だが、月の南極に恒久的な基地を建設し、探査や生活を行うことが考えられている。
そして同計画の究極の目標として、2030年代に有人火星探査を行うことが検討されている。もっとも、まだ月にすら到達できていないこと、また火星に行くのは月以上に技術的なハードルが高いこと、さらに予算も限られているため、実現するかどうかはまだ未知数である。
一方、NASAとは別に、独自に有人火星飛行を敢行しようとしている人物がいる。電気自動車メーカーのテスラや宇宙企業スペースXを率いる、実業家のイーロン・マスク氏である。
マスク氏が思い描くのは、ただ科学的な探査のために数人の宇宙飛行士を送り込むようなものではない。彼が目指すのは人類の火星移住である。
マスク氏が、この人類の火星移住構想と、そのための巨大な宇宙船を開発することを発表したのは、2016年にメキシコで開催された「国際宇宙会議2016」の壇上でのことだった。
「Making Humans a Multiplanetary Species(人類をいくつもの惑星へ播種する)」と題されたこの講演で、マスク氏はまず「人類が地球に住み続ける限り、戦争や伝染病、小惑星の衝突などによって、滅亡する危険がある」と指摘。そして「だが、もしほかの惑星、天体にも人類が住めるようになれば、たとえ地球が滅びても、人類という種は生き続けることができる」と語った。
そして、「それを実現するため、巨大なロケットと宇宙船を開発し、一度に100人規模の人間を火星に送り込み、そして40~100年かけて、火星に人口100万人以上の自立した文明を築く」と表明したのである。
マスク氏がこうした想いを抱いたのは幼少の頃であり、宇宙企業スペースXを起業し、CEOを務め続けている最大の動機でもあるという。
そして現在、スペースXは「スターシップ(Starship)」宇宙船と、それを打ち上げる「スーパー・ヘヴィ(Super Heavy)」ロケットを開発している。両者を合わせた状態での大きさは、直径が9m、全長は120mにもなり、スーパー・ヘヴィには33基ものロケットエンジンを装備。地球の上空数百kmを回る地球低軌道に100t以上の質量を打ち上げる能力を誇るなど、まさに何もかもが規格外のロケットである。
スターシップはまた、ただ巨大で強大な打ち上げ能力をもつだけでなく、マスク氏が考える、火星移住を実現するために必要な能力を兼ね備えている。
単に火星に行って帰ってくるだけなら、従来からあるようなロケットや宇宙船でも実現は可能である。しかし、そのようなロケットと宇宙船で、都市を築くほどの人数を送り込もうとすると、膨大なコストがかかってしまう。
そこでマスク氏は、ロケットと宇宙船を繰り返し再使用できるようにし、コストダウンを図ることが必要と主張。じつはスペースXは、打ち上げたあとに機体を垂直に着陸させて回収し、再使用できる「ファルコン9」ロケットを実用化し、すでに100機を超える成功を収めており、その技術は折り紙つきである。それをさらに進化させ、ロケットや宇宙船全体を旅客機のように運用できるようにすることで、打ち上げコストの大幅な低減を目指すとしている。
マスク氏によると、スターシップ/スーパー・ヘヴィの1回あたりの打ち上げコストは100万〜1000万ドル、また1人あたりの火星までの運賃は20万ドル程度を目指すという。
また、機体を垂直着陸させる技術は、大気がほとんどない月や、大気が薄い火星への着陸にも応用できるというメリットもある。
次に重要になるのが、ロケットにどのような推進剤(燃料と酸化剤)を使うかである。
ロケットの推進剤にはさまざまな種類があり、たとえばSLSや日本のH-IIAロケットでは液体水素と液体酸素を、ファルコン9 ではケロシン(ロケット用の高純度の灯油)と液体酸素といった組み合わせが使われてきた。
これらは、それぞれのロケットがもつ目的にとっては最適ではあるものの、火星に行くことを考えると、必ずしも最適ではない。たとえば液体水素は、水から生成できるため火星でも入手性は高いものの、極低温にしなければならないためコストが高いうえに扱いづらく、さらに密度が低いため宇宙船の構造が大きくなってしまう。一方ケロシンは、火星で生成ができないうえに、コストもやや高く、また煤が出るため、前述したロケットの再使用にもあまり向いていない。
そこでマスク氏は、燃料にメタン、酸化剤に液体酸素を使うことを考えている。メタンはコストが安く、扱いやすく、また煤が出ないのでエンジンを再使用しやすい。さらに密度も高いため、宇宙船の構造を小さくできる。性能もケロシンより良いなど、言うなればケロシンと液体水素のいいとこ取りをしたような性質をもっている。
またメタンは、液体水素と比べて沸点が高いこと、液体酸素とほぼ同じ温度で保管できることなどから、宇宙空間での長期の保管、そして軌道上での補給にも適している。
液体酸素は酸素そのものなので性能が高く、また水から取り出せるため、入手性も高い。
大きな宇宙船に最適な推進剤を積んでただ飛ばしただけでは、火星移民は難しい。なぜなら、地球から火星まで行って、さらに帰ってくるためには大量の推進剤が必要になるためである。
たとえばアポロ計画では、地上から打ち上げ、宇宙空間を月まで飛行・着陸し、そして地球に帰ってくるまでに必要な推進剤のすべてを、打ち上げの時点で積み込んでいた。ただ、これが成立したのは比較的近い月に向け、わずか3人の宇宙飛行士を飛ばせばよかったからであり、もし火星への飛行でも同じやり方を採用するとなると、ロケットは途方もないほどの大きさが必要になってしまううえに、人や物資を運べる余裕はほとんどなくなってしまう。
そこでマスク氏は、人が乗ったスターシップと、人の代わりに推進剤を詰め込んだタンカー仕様のスターシップを別々に打ち上げるとしている。スターシップは、地球を回る軌道に乗るのに必要十分な推進剤のみで飛び立つ。そして、タンカーと軌道上でドッキングし、推進剤をもらってタンクを満タンにしたのち、火星へ向けて旅立つ。
スターシップ/スーパー・ヘヴィは、地球低軌道に100t以上の打ち上げ能力をもつが、推進剤の補給を受けることで、100t以上の物資を積んだまま、火星などへ飛んでいくことができる。打ち上げ頻度が増えたり、軌道上でのドッキングなど複雑な運用を行う必要があるなど、手間はかかるものの、一度にすべて打ち上げるよりは現実的な大きさのロケットと宇宙船で火星まで、それも大量の人員や物資を積んだ状態で行けるようになる。
そして、最後に重要なのが「火星での推進剤の現地生産」である。
タンカーを活用して火星には行けたとしても、火星から帰ってくるのにも推進剤は必要になる。そして、それを地球から持っていくのはやはり現実的ではない。
そこでマスク氏は、地球からは火星に行くまでに必要なだけの推進剤のみを持っていくことにし、火星から地球へ帰ってくるのに使う推進剤は、火星で現地調達することを考えている。
火星の大気には二酸化炭素があり、そして地表や地下には水があるといわれている。そこで、まず水を電気分解して水素と酸素を取り出し、そのうち水素を二酸化炭素と高温・高圧状態に置き、金属触媒と反応させることで水とメタンが得られる。これを「サバティエ反応」という。こうして生成したメタンと、電気分解で得られた酸素を、火星から帰還するためのスターシップの推進剤に使用するのである。これが可能という点でも、メタンは最適な推進剤といえる。
また、サバティエ反応のもうひとつの生成物である水も、電気分解して水素と酸素に分けて使うことができ、さらにこうした一連の流れをつなぎ合わせることで、無駄のない推進剤生成サイクルを造り出すことができる。
もちろん、あらかじめ推進剤生産のための設備を地球から持ち込む必要はあるものの、一度持ち込めば壊れない限りは使い続けることができる。
現在スターシップとスーパー・ヘヴィは開発、試験中の段階で、早ければ2022年中にも初の宇宙への試験飛行が試みられることになっている。また2023年以降には実業家の前澤友作氏らを乗せた月への飛行や、2024年以降には無人での火星飛行も予定されている。
また、スターシップはアルテミス計画の月着陸船としても使われることになっており、アルテミスIIIで、月の南極に舞い降りる姿を見ることになる。その技術はまた、火星への飛行に向けた大きな礎となるだろう。
アポロ計画で人類が月に降り立ち、そして立ち去ってから半世紀。ついに人類は月に新たな一歩を踏み出し、そして火星に向けた未知なる道へも歩み出そうとしている。
NASAやJAXAといった世界各国の宇宙機関、そしてスペースXに代表される世界の民間宇宙企業の協力によって、いつか私たちが”火星人”になる日も、そう遠くないのかもしれない。