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1904年、2極真空管発明
電球を発明したT.A.エジソンは、当時は直流だった白熱電球の研究中に、中で加熱した金属から、もう一方の電極にプラスの電圧をかけたときだけ電流が流れる「エジソン効果」を観測していました。その原理を真空管として実用化したのがJ.A.フレミング。これが、その後、電子回路の中で重要な位置を占めるようになる2極真空管の発明です。
※写真はイメージです。
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1946年、世界初の汎用コンピュータ「ENIAC」発表
総重量約30トン。約18,000本の真空管を使った史上最大の電子機械であるENIACは、約160m2の部屋に収められていました。
そのENI AC の回路素数は合計約11万個。
これに対して現在のマイクロプロセッサに組み込まれているトランジスタは数千万個に達し、しかも手の平に乗るサイズ。
これが、電子回路が真空管から半導体に代わった効果なのです。 -
1948年、接合型トランジスタ発明
1947年末に、AT&Tベル研究所のJ.バーディーンとW.ブラッテンが、最初のトランジスタである点接触型トランジスタを発見。
W.ショックレーらはさらに研究を重ね、翌年の48年6月に、機械的に安定した接合型トランジスタの発明を発表しました。
トランジスタはその後、多数の素子を一つにまとめた集積回路(IC)が発明され、素子の集積度が1000〜10万個以上に高めた大規模集積回路(LSI)へと進化していきます。※写真はイメージです。
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1955年、日本初のトランジスタラジオ発売
それまで真空管を使っていたラジオ放送の受信機を、半導体素子であるトランジスタに代えて小型・軽量・低消費電力化したのがトランジスタラジオ。東京通信工業(現SONY)によって、1955年「TR-55」が発売されました。このトランジスタの製造工程での歩留まり向上を目指す研究で「量子トンネル効果」の発見につながります。
※写真はイメージです。
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1957年、エサキダイオード発明
トランジスタの高速化を目指した研究を進めていた江崎玲於奈は、1957年、2種類の半導体の間の絶縁層を10nm以下にした構造を人工的につくり、半導体内での電子の「トンネル効果」を発見しました。
この「トンネル効果」の活用によって誕生した最初の電子デバイスが「エサキダイオード」です。
後のLSI技術への、ひとつの大きな芽となりました。※写真はイメージです。
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1959年、「キルビー特許」出願
「キルビー特許」とは、テキサス・インスツルメンツ社のJ.S.キルビーが発明した半導体集積回路の基本特許。
2001年に特許の期限切れを迎えるまで、TI社に莫大な特許収入をもたらしました。
特許の成立が遅れた日本では、一部の製品に多額のライセンス料が課せられました。※写真はイメージです。
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1965年、「ムーアの法則」発表
LSIの集積密度は1.5年で2倍、3年で4倍、15年で千倍に高まる。
1965年、インテル社の創業者のひとりG.ムーアが、コンピュータ製造業における歴史的な長期傾向に基づいた将来予測として提唱したこの理論は「ムーアの法則」と呼ばれ、半導体業界やコンピュータ産業を中心に浸透。
実際の歴史も、ほぼこの法則通りの経過を辿ることとなりました。 -
1971年、Intel 4004発売
Intel 4004は世界初のシングルチップマイクロプロセッサです。
日本のビジコン社からの電卓用LSIの開発依頼に対して、インテル社のT. ホフは汎用の論理デバイスとして提案し、ビジコン社の嶋正利とインテル社のF.ファジンが中心となって完成。
そして、このマイクロプロセッサの汎用性に着目したインテル社が販売権を獲得することとなりました。※写真ご提供/電卓博物館
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世界初の“パーソナルコンピュータ”「Apple Ⅱ」発売
一般に世界で最初のパーソナルコンピュータは、Altair 8800であるといわれています。
しかし、Altair 8800は自らを“ミニコンピュータ“と謳い、他に“マイクロコンピュータ“、“ホームコンピュータ“などの名称がありました。
それに対してアップル社のS.ジョブズは“パーソナルコンピュータ“と命名。
Apple Ⅱのヒットとともに、その名称は定着しました。※写真はイメージです。
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1980年、フラッシュメモリ発明
情報を1ビットごとではなく一括消去することで、コストを1/4以下にするという着想から生まれた、書き換え可能で、電源を切ってもデータが消えない不揮発性の半導体メモリ。
1980年、フラッシュメモリは桝岡富士雄(当時:東芝社員)によって発明され、いまや、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、ICカードなど、身の回りのいたるところで不可欠のものとなっています。※写真はイメージです。
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1983年、ファミリーコンピュータ発売
半導体技術の進化は、家庭の娯楽スタイルにも革新をもたらしました。1983年、任天堂が8ビットCPU搭載の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売。
人気の自社ソフト「スーパーマリオブラザーズ」で爆発的なヒットを記録しました。その勢いに乗り、1990年には16ビットCPU搭載の「スーパーファミコン」も発売されています。
その後、手のひらにのるモバイルゲーム機の登場とともに家庭用ゲーム機の高性能化はとどまることをしりません。※写真はイメージです。
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1991年、カーボンナノチューブ発見
半導体の進化はもはや、ナノテクノロジーの進展を抜きに語ることはできません。
1991年、飯島澄男によるカーボンナノチューブの発見は、その象徴的な出来事。
銅の1,000倍以上の高電流密度耐性、銅の10倍の高熱電動特性による優れた放熱性などにより、半導体のよりいっそうの微細化において、シリコン以後の素材として期待されています。※写真はイメージです。
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1993年、青色発光ダイオード実用化
発光ダイオードは低電力で駆動できる光源であることから、ディスプレイへの応用が期待されていました。そして1993年、日亜化学と中村修二により青色発光ダイオードが実用化されると、光の三原色(赤・緑・青)の発光素子が揃い、RGBによるフルカラー表示が実現。最新のDVDレコーダーなどになくてはならないものとなっています。
※写真はイメージです。
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1995年、シャープが液晶テレビ「ウインドウ」発売
液晶を使ったテレビとしては、エプソンが世界で初めて液晶ディスプレイ(反射型1.2型)を使用したテレビ付きデジタル時計を1982年に販売。
'84年にはTFTカラー液晶(透過型1.2型)を採用したポケットテレビを販売しています。
しかし、比較的大型の液晶テレビはシャープの10.4 インチTFT(Thin Film Transistor/薄膜トランジスタ)搭載の「ウインドウ」が最初のものとなりました。※写真はイメージです。
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2002年「地球シミュレータ」が世界最速35.86TFLOPSを記録
日本の科学技術庁(当時)が主導した「地球シミュレータ」は、地球規模の気候変動や地層・地殻変動メカニズムなどを解明するためのベクトル型並列スーパーコンピュータ。2002年6月にLINPACKベンチマークで実効性能35.86TFLOPS(テラフロップス)を記録。
1秒間に約36兆回の浮動小数点演算を行う処理能力で、第2位のIBM ASCI Whiteに5倍の差をつけて世界ランキングTOP500で約3年間トップを獲得しました。
当時、米国は最初に人工衛星を成功させたソ連(現ロシア)に対するスプートニクショックになぞらえ、コンピュートニクショックと呼び、国家事業として3年後にスパコンNo.1の座に返り咲きます。※画像はTOP500サイト
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2004年、グラフェンを得る実験成功
ポストシリコンを担う機能デバイスとして注目されているのが、炭素原子シート「グラフェン」。その存在は、1940年代に予言されていましたが、実際にはA.ガイムとK.ノボセルフがセロハンテープにグラファイト(黒鉛)のかけらを貼り付けて剥がすことで得たのが最初。
高効率な太陽電池や高感度なタッチパネルへの応用が期待されています。※写真はイメージです。
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2007年、アップル社がiPhone発表
2007年1月9日、S.ジョブズが発表したiPhoneは、携帯電話を取り巻く世界を一変させることとなりました。
彼が「世界最高のポインティングデバイス」と呼び、iPhoneに採用したのは、人間の指。そして、マルチタッチ式のタッチパネルを組み込んだ3.5インチのワイド液晶ディスプレイによって、多機能性と操作性を両立させたのです。※写真はイメージです。
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2010年、アップル社がiPad発表
Macintosh、iPod、iPhoneに続く第四の革命的デバイス。
それは、2010年1月27日にS.ジョブズによって発表されたiPadでした。
彼によるとこれは、ラップトップとスマートフォンの間に位置するマルチタッチ情報デバイス。
ジョブズが構想するメディア統合戦略の主役であり、コンシューマー市場攻略の切り札となるものでもありました。※写真はイメージです。
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2011年11月、「京」が世界最速10PFLOPS達成
文部科学省を中心に開発が進められている次世代スーパーコンピュータ「京」は、2011年6月にLINPACKベンチマークで8.16PFLOPSを記録し、「地球シミュレータ」以来、日本勢として久々にTOP500リストで第1位を奪還したのに続き、11月には10PFLOPSを達成、1秒間に1京回という浮動小数点演算を行う処理能力で、再び首位を獲得。2012年3月現在も、その地位を保ち続けています。
LINPACK(リンパック)は、コンピュータ上で線形代数学の数値演算を行うソフトウェアライブラリ。世界の高速コンピュータの性能値を、TOP500でランキングする際に、使用されています。※画像はTOP500サイト
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2013年、Google Glassの製品テスト開始
VR・ARは、現実世界において人が感知する情報にコンピュータによって作り出された人工環境を知覚させる技術です。
VRが、CGなどで作り出された人工環境(仮想世界)を現実世界に知覚させるのに対し、ARは、現実世界に映像やCGを重ねて、現実を拡張して人工環境を表現します。
2000年代に入り、パソコンやスマートフォンの普及に伴いVR・ARは一般消費者向けのサービスに利用されるようになりました。
2013年、Googleによる拡張現実ツール「Google Glass」の製品テストが始まり、スマートフォンや眼鏡型・時計型のウェアラブル・コンピュータへの応用が広がっています。※写真はイメージです。
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2015年、坂村健が「ITU150周年賞」を受賞
様々なモノ(物)にマイクロ・プロセッサやセンサーを仕込み、インターネットにつなげることは1980年代から議論されてきました。
コンピュータ学者の坂村健はこのような状況をユビキタス・コンピューティングと呼び、オープンアーキテクチャ・TRONを提唱しました。
2014年頃から、IoT(モノのインターネット)と呼ぶのが一般的になりました。
IoTによって、産業は大幅な効率改善や事業領域の拡大が見込まれています。
2015年、国際電気通信連合(ITU)は坂村健に「ITU150周年賞」を授与しました。※写真はイメージです。
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2016年、AlphaGoがプロ囲碁棋士に勝利
1956年、ダートマス会議でこの研究分野をAI(人工知能)と定義しました。
1980年代に商用データベースが開発されるようになり、AI研究への投資が活発になりました。
近年、コンピュータの処理能力が格段に向上したことで、人間では取り扱いが不可能だったビッグデータの相関関係やパターンをリアルタイムに認識できるディープ・ラーニングを用いたAIが登場しています。
2016年には、DeepMind社が開発したAI「AlphaGo」が当時世界最強のプロ囲碁棋士に勝利しました。※写真はイメージです。
加速度的に進化を続けてきた半導体
T.A.エジソンの電球、G.ベルの電信電話、G.マルコーニの無線通信、F.ブラウンのブラウン管など、その後のITの基盤となる技は19世紀末までに出現していました。そして、それらの技術を飛躍的に発展させる原動力となったのが半導体。
ここでは、半導体の原点である真空管の誕生から、エポックメイキングな発見・発明の歴史を通して半導体の進化の足跡を辿り、これからの発展を俯瞰します。