No.022 特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた:我々はどこから来て、どこへ向かうのか

No.022

特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか。

本間教授に聞く!史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

クロストーク ”テクノロジーの未来を紐解くスペシャルセッション”

本間教授に聞く!
史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

本間 希樹
国立天文台 水沢VLBI観測所所長
国立天文台 教授、総合研究大学院大学 教授、
東京大学大学院 教授
永田 美絵
コスモプラネタリウム渋谷
チーフ解説員

Digest Movie
ダイジェスト・ムービー

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その正体はおろか、存在するかどうかさえ謎に包まれていた天体「ブラックホール」。しかし人類はついにその姿を捉えることに成功。しかも、その偉業には日本人研究者が大きな貢献を果たした。2019年4月10日、日本を含む国際研究チームは、ブラックホールの“影”こと、「ブラックホール・シャドウ」を撮像することに成功したと発表。ブラックホールの存在を、初めて画像で直接的に証明したのである。
この世紀の大成果を成し遂げた、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)の日本チームのリーダーである国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長の本間希樹さんと、コスモプラネタリウム渋谷のチーフ解説員を務める永田美絵さんの対談を通じて、はたしてブラックホールとはどんな天体なのか? 撮像できたブラックホールとはどのようなものなのか? そして、この研究の先になにが待ち受けているのか? といったことについて、まさにブラックホールに吸い込まれるように迫ってみたい。

(構成・文/鳥嶋真也 写真/川合穂波〈アマナ〉)

天文の道を志したきっかけ

本間希樹教授

── 本間さんは天文学者、永田さんはプラネタリウム解説員と、それぞれ天文のお仕事に携わっておられますが、どうしてこの道を目指そうと思われたのですか?

本間 ── 子供のころから夜空を見上げたり、流星群を観測したり、星が好きでした。横浜育ちなので、あまりたくさんの星は見えなかったのですが、「夜空の向こうにどんな世界が広がっているのだろうか?」という、そんな宇宙のロマンに想いを馳せていました。

永田 ── なにかきっかけになった天文現象はありましたか?

本間 ── はっきりとは覚えていないのですが、なにか大きな流星群が来ると話題になったとき、深夜に出かけて、外で寝転がって空を見ていた記憶がありますね。あとは彗星。中学生のころにやってきた「ハレー彗星」はあまりよく見えませんでしたが、そのあとにやってきた「ヘール・ボップ彗星」(図1)や「百武彗星」はきれいに見えました。そのころはすでに大学院生で、宇宙を目指して勉強をしていたころだったので、とても感動しました。

[図1]1997年3月、東京大学大学院理学系研究科附属 天文学教育研究センター木曽観測所で捉えたヘールポップ彗星の画像
©NAOJ(国立天文台)
ヘールポップ彗星

── ちなみに、永田さんはなぜプラネタリウム解説員になったんですか?

永田 ── 私も小さいころから夜空や星を見るのが好きでした。大きなきっかけとなったのは、皆既月食を見たことでした。地球や月、太陽といった天体がそれぞれ動いているんだということが、知識だけではなく実際に見てわかったことに感動しました。それから、学生時代にアメリカの惑星探査機「ボイジャー」が、太陽系のいろいろな惑星を探査したことにも感動しました。私はとくに土星が好きだったので、ボイジャーが撮影した画像を見たときはうれしかったです。そこから、「将来は星に関する仕事がしたい」と強く思うようになりました。

本間希樹教授と永田美絵氏

本間 ── でも、天文の仕事ってなかなか狭き門ですよね……。

永田 ── 最初は近所にあったプラネタリウムに通って、どうやったらプラネタリウムの解説員になれるのか聞きました。それから、学校の先生に「天文の仕事がしたい」と相談したら、プラネタリウムの方にかけあってくださって、そこから進路に関する情報をいただくことができました。

その後、大学のときにプラネタリウムで解説員のアルバイトをする機会があり、さらに卒業後、当時渋谷にあった「五島プラネタリウム」で、解説員の募集が偶然あり、運良く就職することができました。いろんな人の縁、巡り合わせがあっての結果でした。

本間 ── プラネタリウムの解説員はなかなか募集がないんですよね。運もあったのでしょうが、なによりも最初に、永田さんの一途な想いがあったからだと思います。

国立天文台・水沢VLBI観測所
国立天文台・水沢VLBI観測所

インタビューの行われた国立天文台 水沢VLBI観測所

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