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本間教授に聞く! 史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

本間 希樹
国立天文台 水沢VLBI観測所所長
国立天文台 教授、
総合研究大学院大学 教授、
東京大学大学院 教授
永田 美絵
コスモプラネタリウム渋谷チーフ解説員
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本間教授に聞く!
史上初、ブラックホール撮像成功までの道程
後編”宇宙人に恥ずかしくない未来”をつくる、未知への探求心とチームワークの力

本間 希樹
国立天文台 水沢VLBI観測所所長
国立天文台 教授、総合研究大学院大学 教授、
東京大学大学院 教授
永田 美絵
コスモプラネタリウム渋谷
チーフ解説員
2020.02.28
本間教授に聞く!史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

Digest Movie
ダイジェスト・ムービー

Digest movie

その正体はおろか、存在するかどうかさえ謎に包まれていた天体「ブラックホール」。しかし2019年、人類はついにその姿を捉えることに成功した。
この大偉業にかかわった国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長の本間希樹さんと、コスモプラネタリウム渋谷のチーフ解説員を務める永田美絵さんの対談の前編では、ブラックホールとはどのような天体なのか? どのようにして撮像したのか? そして今後の研究の展望などに迫った。
後編では、ブラックホールにまつわるさまざまな疑問や、宇宙人はいるか? という話題、そして科学や天文学の魅力と、夢や明るい未来を叶えるための鍵などについて語っていただいた。

(構成・文/鳥嶋真也 写真/川合穂波〈アマナ〉)

ブラックホールにまつわるさまざまな謎

本間希樹教授

── 前編では、ブラックホールの概要から、ブラックホール・シャドウの撮像成功の舞台裏、そして今後の研究の展望などについてお話いただきました。続いて、ブラックホールにまつわるさまざまな謎や疑問について伺っていきたいと思います。

永田 ── プラネタリウムで解説していると、よく来場者から「ブラックホールの中はどうなっているのか?」という質問をいただくのですが、実際に入ったらどう見えるんでしょう?

本間 ── きっと想像を絶する光景だと思います。その光景を見ながらだんだん落ちていって、そして真ん中にある、「特異点*1」と呼ばれる、潰れた黒い点が見られるはずです。

永田 ── よく「体が引き伸ばされてしまう」とか、怖い話を聞くのですが……?

本間 ── 体が引き伸ばされてしまうのは、小さなブラックホールなんです。(前編で触れた)「はくちょう座X-1」のような、太陽の質量の10倍くらいしかないような小さなブラックホールだと、体がスパゲッティのようになって引き伸ばされ、そしてバラバラになってしまいます(図1)。

でも、今回撮像できたような巨大ブラックホールの中なら入ることができます。その中ではいくつもの大発見ができるでしょう。でも、もちろん、一度入ったら外には出られませんし、通信もできないので、他の人にその様子を伝えることはできません。人生最期のときには入ってみたいですね(笑)

[図1] ブラックホール「はくちょう座X-1」の想像図
ブラックホール自体小さな天体だが、このブラックホールは太陽の質量の10倍ほどと、特に小さなブラックホールに分類される。
©NASA/CXC/M.Weiss
ブラックホール「はくちょう座X-1」の想像図

永田 ── ブラックホールの反対に、「ホワイトホール」という天体があるという話もありますよね。

本間 ── 理論的にはありえます。アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論を解くと、何でも吸い込むブラックホールと、その逆で一方的に物を吐き出すホワイトホールは、セットで出てくるものなのです。

永田 ── もしホワイトホールが存在したとしたら、どのように見えるんでしょうか?

本間 ── ブラックホールに物が落ちるのは無限の時間がかかって見えるのですが、ホワイトホールはその逆で、逆に無限の時間がかかって物が出てくるように見えるはずです。でも、実際にそれを見ることができたとしたら、「ビッグバンより以前にそのホワイトホールが存在していた」ということを意味しますので、非常におかしなことになります。だから現時点では、多くの研究者は「ホワイトホールとは数式上の存在で、実際にはないのではないか」と考えています。

でも、アインシュタインも一般相対性理論を生み出したあと、ブラックホールという天体が存在しうるということがわかっても、その存在を信じませんでした。あまりに奇妙な天体なので、「ブラックホールなど存在しない」とする論文を書いたほどです。ですが、それから100年経った今、実在することがわかりました。ホワイトホールでも同じように、今は誰も信じないけれど、いつか見つかって、「昔はその存在を信じない人もいたんだよ」と笑い話になるかもしれません。

永田美絵氏

永田 ── ちなみに、ブラックホールって人工的に作ることはできるんですか?

本間 ── 極小の、ミクロなブラックホールは作れる、という人はいます。加速器という装置を使い、粒子をすごい速度でぶつけて新しい粒子を作るときに、とても小さなブラックホールができるという説です。でも、私はできるとは思っていません。

宇宙にある粒子には、地球上の加速器で作れるよりもはるかに大きなエネルギーを持っているものもあります。加速器で作り出せるくらいのエネルギーでブラックホールが生まれるなら、この宇宙にはすでに数多くのミクロなブラックホールが存在するはずで、私たちはそれに吸い込まれて生きていけないでしょう。でも、実際にそんなことは起きていないので、おそらく加速器で作り出せる程度の小さなエネルギーで、ブラックホールは作れないのではないかと思っています。

永田 ── 前編で、巨大なブラックホールは銀河の中心にあるという話が出ましたが、その銀河同士が衝突するのではないか、その様子がいつか見れるかもしれない、と言われていますよね。

本間 ── そうですね。宇宙自体は膨張しているのですが、いくつかの銀河が集まったグループというのがあり、そのグループの中の銀河同士は重力で引かれ合っているので、だんだん近づいていき、衝突することがあります。私たちのいる天の川銀河(図2)も、いつかアンドロメダ銀河(図3)*2と衝突すると言われています。

永田 ── すると、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールと、アンドロメダ銀河の中心にある巨大ブラックホールは合体して、さらに巨大になるんですか?

本間 ── そうなると思います。ブラックホールはとにかくなんでも吸い込んで、一方的に成長していくだけなのです。

永田 ── そうなると地球はどうなるんでしょう?

本間 ── おそらく地球への影響はないと思います。銀河の中の星々はとても離れていて、すかすかの状態なので、もしアンドロメダ銀河と衝突しても、夜空に見える星が増えるくらいで、大きな影響はないと思います。

[図2] 私たちが住む天の川銀河の想像図
その真ん中には、「いて座A*」と呼ばれる、巨大(超大質量)ブラックホールが存在すると考えられている
©NASA/JPL-Caltech
私たちが住む天の川銀河の想像図
[図3] アンドロメダ銀河
X線画像と光学画像を合成したもの
©X-ray: NASA/CXC/SAO/R. Barnard, Z. Lee et al.; Optical: NOAO/AURA/NSF/REU Program/B. Schoening, V. Harvey and Descubre Foundation/CAHA/OAUV/DSA/V. Peris
アンドロメダ銀河

次世代の超大型電波望遠鏡の建設がはじまった。

永田 ── そして今、「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)*3」よりも大きな、「SKA(Square Kilometer Array)」という望遠鏡の建設も進んでいるんですよね(図4)。

本間 ── SKAは次世代の超大型電波望遠鏡です。南アフリカとオーストラリアをはじめ、世界10カ国以上が参画し、国際協力で造っています。SKA(Square Kilometer Array)というのは「1km × 1kmの集光面積をもった巨大な望遠鏡」という意味で、南アフリカには直径15mの電波望遠鏡を2000台並べ、オーストラリアには小さな望遠鏡を何百万台も並べることで実現させます。日本はまだ正式なメンバーではないのですが、SKAを使い、次の10年間の天文学の最前線を切り開くことを目指しています。

永田 ── 完成したら何が見えるようになるんですか?

本間 ── まずブラックホールは重要な観測テーマです。でも、それよりおもしろいのは、宇宙人を探すことができる、ということです。南アフリカに造る2000台の望遠鏡を使えば、たとえば数光年先の星にある地球系外惑星で、テレビやラジオ、通信といった電波を使った活動が行われていれば、その漏れ出た電波が捉えられる、言い換えれば隣の星のテレビを見ることができるんです。そこまでの性能に到達するには10年くらいの時間がかかるでしょうが、私たちが生きている間に近くの惑星の人工電波の有無がわかる可能性は高いです、まぁ多分ないのだとは思いますが…

[図4] SKA(Square Kilometer Array)の想像図
©SKA 2020
SKA(Square Kilometer Array)の想像図

宇宙人はいる!?

本間希樹教授

永田 ── 宇宙人!? すごいですね……。ちなみに本間先生は、宇宙人(地球外知的生命体)はいると思いますか?

本間 ── いると思っています。そう思うほうが楽しいですし、いつか地球と似たような惑星でそのような存在が見つかる可能性はあると思います。

ちょうど、2019年のノーベル賞物理学賞の受賞テーマのひとつが、太陽系外にある惑星の発見についてでした。この発見がもたらされたのは1995年、私が大学生のときで、それまでは太陽系が唯一知られている惑星系だったので、ほかの星にも惑星があることがわかり、とても驚きました。今では4000個ほどの系外惑星が見つかっています。地球と似た系外惑星はまだ見つかっていませんが、いつか“第二の地球”のような系外惑星が見つかる日が来るでしょう。

そもそも、この宇宙には無数の恒星があって、そこにいくつもの惑星が回っているのですから、地球だけ特別な天体だと考えるほうが難しいのです。

永田 ── もし宇宙人と会えたらどうしたいですか?

本間 ── 宇宙のことを教えてほしいですね。はるばる宇宙を旅して地球にやってくる宇宙人がもしいたら、私たちよりはるかに科学・技術は進んでいるはずですから、宇宙についても、きっとより多くのことを知っているはずでしょう。ブラックホールの中だって見ているかもしれません。

永田 ── プラネタリウムの解説をやっていると、よく来場者から「宇宙人がいるとしたら、良い者なのか? 悪い者なのか?」と聞かれます。私は、「わざわざ遠い宇宙からやってくるのだから、きっと良い人たちだと思いますよ。」と答えていますが、本間先生はどう思いますか?

本間 ── どうでしょう、難しい質問ですね……。たとえば、太陽は今から約50億年後に燃え尽きるといわれていて、そうなると地球に生命は住めなくなります。もしそのとき、人類がほかの星に移住しようとしたら、私たちは単に自分たちが生き延びようとしているのだけれども、その星の人にとっては侵略者として映るかも知れません。

でも、もし地球までやってくることができる宇宙人がいたら、おそらく何億年、何十億年もの文明や科学技術の蓄積があるのでしょうから、平和主義者だと思います。逆に言えば、そうでなければ、それだけ長く文明を築くことはできないはずなので。

永田 ── それは私たち人類も同じですよね。環境問題や人口爆発など、解決しなければならないさまざまな問題があって、そして少なくとも50億年後には太陽が燃え尽きるとわかっている以上、一致団結してそうした危機を乗り越える方法を考えるべきであって、人類同士で争っている場合ではないですよね。

本間 ── そうですね。また、それは宇宙人がいるかどうかを考えるにあたって、非常に重要な視点だと思います。もし、地球人が50億年後まで発展できるなら、他の宇宙人もそれくらい発展できると考えられますから、この宇宙に宇宙人はたくさんいるということになります。でも、これから地球人が1000年で滅びるとして、他の宇宙人が、地球人と同じような知性や文明の進化を辿るとするなら、宇宙人もそれくらいしか生きられず、お互いに会えるチャンスも小さくなります。逆に言えば、宇宙人がたくさん見つかれば、地球人も何億、何十億年も生き続けることができ、見つからなければ、地球人の未来も暗い、ということを示しているのかもしれません。

つまり宇宙人がいるか、どれくらいいるか、ということを調べることは、私たち地球人の未来を間接的に占っていることになるのです。

未来への想い ――「みんなが同じ夢を持てるか?」

永田美絵氏

永田 ── まさに私たちが一致団結できるかどうかが重要なんですよね。今回のブラックホールの撮像でも、世界中の天文学者が協力したからこそ、この素晴らしい成果を生み出せたんですよね。また、今から120年前にも、ここ国立天文台水沢キャンパスを含む世界各国が協力して、地球の緯度変化を研究したという歴史もあります。天文学について勉強していると、とにかくこうした国や人種を越えて協力した例が多く、「人類は一致団結できるのか」という問いに対する、楽観的な見通しと言えると思います。本間先生たちはどのようにして一致団結できたのでしょうか?

本間 ── まずリーダーは大事ですね。EHTでは米国に、プロジェクト全体をまとめるリーダーがいました。彼のリーダーシップがあることで、プロジェクトが成功に導かれたのは事実です。

でも、それ以上に大事なことは、「みんなが同じ夢を持っていた」ことです。「どうにかしてブラックホールを見たい」という願いが、120人の団結を生み、撮像成功というゴールに到達できたのだと思います。どれだけトップが聖人君子だったとしても、みんなが同じ夢を持っていなかったら頓挫したでしょう。EHTのプロジェクトに参加して学んだのは、「チームワークにとって大切なのは、共通の夢を持ち、共通のゴールを目指すこと」ということです。

永田 ── 国や人種に関係なく、あるいは戦争や紛争が起きている中でも、「ひとつのことを解き明かしたい」という想いで集まって協力できるのが素晴らしいですよね。

本間 ── 私たちの相手は宇宙ですからね。宇宙から見たら、地球なんて“点”でしかありません。その点の中で、国境なんかのことで争っていたら、宇宙人から笑われます。広いマインドを持って、平和の下でやっていくことが大切です。そうした、いわば「宇宙からの視点」を提供するのが私たちの使命だと思っています。

永田 ── 今年(2019年)は、子どもたちやプラネタリウム来場者からブラックホールの質問をいただくことが本当に多かったんです。でも、じつはブラックホールのことって、教科書には載っていないんですよね。でも、子どもたちはみんな知っている。それは、それだけ多くの人たちが関心を持って、このニュースを聞いていたということだと思うんです。そこから、本間先生のように、「広い視野をもって、世界中のみんなが協力して、謎や課題を解決していこう」という志が伝わっていると思います。

本間 ── そうした子どもたちが、天文学や他の科学分野の研究者などを志してくれれば、未来はより良い社会になっていくのではないかと思います。

科学の魅力と、本間先生の知的好奇心の源

本間希樹教授と永田美絵氏

永田 ── 本間先生にはこれまでじつに多くのことを教えていただきました。そんな本間先生の、知的好奇心、探究心の源っていったい何なのでしょうか?

本間 ── やはり“好き”であることですね。それに尽きます。子どものころから、星空を見て、そこに広がる世界に何があるのか、つねに不思議に思い続けてきました。

そして、新しい謎が次々と生まれることが楽しいですね。これからも、科学の分野で謎が尽きることはないでしょう。私はそれを解き明かし続けていきたい。その想いがとどまることはありません。

たとえば、今回のブラックホール・シャドウの撮像でも、ブラックホールがこう見えるだろうということは、アインシュタインの一般相対性理論から予想できるので、まずスーパーコンピュータを使ってシミュレーションをしました。その結果と、実際に撮像できたブラックホールとはよく合っていました。それはそれで嬉しかったですし、理論が間違っていなかったことが確認できたのはよかったことでもあります。

しかし、その一方で、ちょっとがっかりもしたのです。理論とまったく同じだったということは、そこで「めでたしめでたし」で終わってしまうのです。多くの物理学者が期待していたのは、アインシュタインの一般相対性理論が間違っていると解釈できる、“予想外の結果"が出てくることでした。つまり、逆に予想外のことが出てきたほうが、次の新たな研究につながっていくので、嬉しいと思えるものなのです。

永田 ── そんな科学の謎や、それを追究することは、人類に何をもたらすのでしょうか?

本間 ── 携帯電話などに代表されるように、科学は世の中を豊かに、そして便利にしているのは事実です。でも、私たちのやっている天文学は、そう言うのが難しい分野です。もし「ブラックホールの研究が何の役に立つのですか?」と聞かれたら、「役に立ちません」と答えるしかない(笑)。

でも天文学は、みんなが普段意識していないことを意識させてくれる、そういう点で役立っていると思います。私たちは地球のことだけ知っていれば十分生きてはいけますが、地球の外がどうなっているのか、ブラックホールがどうなっているのか、銀河がどうなっているのか、といったことを解き明かすことは、人々の知的好奇心を刺激し、私たちが何者なのかという根源的な問いに答えることになるのだと思います。

永田 ── まさに「我々はどこから来て、どこへ向かうのか」ということを解き明かす、そして考えていく研究ですね。

本間 ── そうですね。じつは、「ブラックホールの研究が何の役に立つのですか?」と聞かれたとき、私は半分冗談、でも半分は本気で、「宇宙人に会ったときに恥をかかないため」と答えているんです(笑)。もしいつか宇宙人に会ったとき、ブラックホールについて何も知らなければ、宇宙人に「レベルが低いね」って笑われてしまうでしょう。

私たちの研究が、人類の知識を進歩させることに少しでも貢献できればいいな、と思いますし、むしろ人類が他の宇宙人に会いに行って、その人々が抱えている問題を解決し、救うくらいのことができればいいと思います。

[図5] 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト(Center for Computational Astrophysics,CfCA) 天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイⅡ」
©NAOJ(国立天文台)
天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイⅡ」

夢を叶える鍵は「一途な想い」

── 最後に、科学を目指す若い方へのメッセージをお願いします

本間 ── 宇宙でもいいし、もちろん宇宙じゃなくても何でもいいので、何かに興味や好奇心を持ってほしいですね。そして興味を持ったことに対して、自分で行動を起こそう、それを徹底的に掘り下げて何かやってみよう、とすることが、何かを生み出す原動力となるはずです。まずは好きなものを見つけて、それを大切にしてほしいですね。

天文学者という仕事は、仕事の数やポジション(ポスト)の数も少ないのですが、その中で生き残っていくためには、絶対にそれを続けたいという想い、そういう「一途な想い」がとても大事でした。

永田 ── 私の場合もそうでした。「宇宙に関わる仕事をやりたい」と言い続けていたら、学校の先生が協力してくださったり、たまたまプラネタリウム解説員の空きが見つかったりと、縁がつながって道が拓けていきました。今では「何度生まれ変わっても解説員をやりたい、それが私のミッション」とさえ思っています。

本間 ── 若い方の皆さんにも、そんな一途に想いを貫けるようなものを抱いてほしいと思います。

── ありがとうございました。

1939年から1987年まで天文緯度の観測に使われた
浮遊天頂儀
1939年から1987年まで天文緯度の観測に使われた浮遊天頂儀
1899年に地球の緯度変化の国際共同観測を
北緯39°8'上の世界各地で行うことが決まり、水沢に緯度観測所が設立された。
1899年に地球の緯度変化の国際共同観測を北緯39°8'上の世界各地で行うことが決まり、水沢観測所が設立された。

[ 脚注 ]

*1
特異点: ブラックホールの中心にあるとされる、重力が無限大となり、通常の物理法則が成立しない場所のこと。
*2
アンドロメダ銀河: 地球からおよそ250万光年のところにある銀河。今から約40億年後に、天の川銀河と衝突すると言われている。
*3
イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT): 波長の短いミリ波帯(主に1.3mm)を用いて、地球直径に匹敵する1万kmもの基線長でVLBI観測を行う望遠鏡。これにより、視力300万という史上最高の解像度を達成している。今回のブラックホールのデータが集められた2017年の観測では、APEX(チリ)、ALMA(チリ)、IRAM 30m望遠鏡(スペイン)、ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(ハワイ)、大型ミリ波望遠鏡(メキシコ)、サブミリ波干渉計(ハワイ)、サブミリ波望遠鏡(アリゾナ)、南極点望遠鏡(南極)の計8局が参画した。
Profile
本間 希樹氏

本間 希樹(ほんま まれき)

国立天文台 水沢VLBI観測所所長
国立天文台教授、総合研究大学院大学教授、東京大学大学院教授

アメリカ合衆国テキサス州生まれ、神奈川県育ち。平成6年東京大学理学部天文学科卒、平成11年同大学院博士課程修了。同年国立天文台COE研究員。
その後、助教、准教授を経て2015年より現職。専門は電波天文学で、超長基線電波干渉計(VLBI)を用いて銀河系構造やブラックホールの研究を主に行っている。著書に『巨大ブラックホールの謎』(講談社ブルーバックス)、『国立天文台教授が教える ブラックホールってすごいやつ』(扶桑社)など。2017年よりNHKラジオ『子ども科学電話相談』の回答者も務めている。

永田 美絵氏

永田 美絵(ながた みえ)

コスモプラネタリウム渋谷 チーフ解説員
NHKラジオ『夏休み子ども科学電話相談』天文担当。

東京新聞のコラム『星の物語』を連載中。主な著書に『星座の見つけ方と神話がわかる星空図鑑』(誠美堂出版)、『ときめく星空図鑑』(山と渓谷社)、『星と宇宙の不思議109』(偕成社)、『はじめよう星空観察』(NHK出版)、『宙ガールバイブル』(双葉社)などがある。そのほか「星座切手シリーズ」の星空解説文も担当。
美絵 (みえ、11528 Mie)での小惑星登録もある。
日々、宇宙や地球の素晴らしさを伝え続けている。

Writer

鳥嶋 真也(とりしま しんや)

宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。

国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。主な著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、論文誌などでも記事を執筆。

Webサイト:http://kosmograd.info/
Twitter:@Kosmograd_Info

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