No.024 特集:テクノロジーは、これからのハピネスをどう実現できるのか

No.024

特集:テクノロジーは、これからのハピネスをどう実現できるのか

Expert Interviewエキスパートインタビュー

コロナ禍で変わる幸せの感じ方

太田 雄介氏

── コロナ禍で、人々の価値観が大きく変わってきました。幸福度の測定結果に何か変化は出ていますか。

確かに変わってきていますね。「ポジティブ感情」「ストレスの低さ」「情緒安定力」などといった要素の値が下がっています。こうした項目の値を上げるようなケアが必要かもしれません。

また、幸せにつながりやすい項目とそうでない項目が、変わってきています。「フレンドリー力」のような項目と幸福度の相関が若干落ちて、「信頼関係の構築力」のような項目との相関が高まっています。また、何とかなるだろうと考える「楽観力」や「おもしろがり力」などは、コロナ以降の方が相関は上がっています。

在宅勤務などで、一人ひとりの社員の様子に目が届きにくくなっていていると思います。こうした時期に、社員の幸せを考えてケアできているかどうかが、今後の企業の力の差になってくるのかもしれません。

テクノロジーは人を幸せにするための道具のひとつ

── これから、どのようなことに取り組んでいきたいと考えているのでしょうか。

幸福度診断を、さらにパワーアップさせていきていきたいと考えています。測っただけではなく、各項目の知見をさらに深く学べるようにしたり、測った後に幸福度を上げていくために役立つ情報を提供したりして、幸福度の向上ツールにしていきたいと思います。例えば、直近だと、診断結果を振り返る為の”幸せの振り返り”という機能を追加しました。

── 幸福度のような複雑な要因が絡み合う情報の解析は人工知能(AI)との相性がよさそうですし、毎日の行動や周囲の状況が変われば幸福度も変化するような気がします。スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスとの相性も良さそうです。そうした、新しいテクノロジーの活用も考えているのでしょうか。

データが数多く蓄積されてきているので、新しいデータ分析にも挑戦してみたいですね。センサーを体に装着して、日々の生活の中で自分の幸福度を記録していくと、より役立つ知見が得られると思います。この部分は、将来的な発展の余地です。

── テクノロジーは、人間の物質的豊かさを高めるために貢献できているのは確かだと思います。しかし、人間を幸福にしたのかと言えば、断言できないところもあります。テクノロジーの進歩によって、私たちは幸せになれるのでしょうか。

テクノロジーは、幸せになるための道具のひとつです。不幸にする形で使えば人を不幸にするし、幸せにする形で使えば幸せにできるのだと思います。

でも、現在のコロナ禍の状況下では、テクノロジーの進歩がなければネットを通じた会話ができなかったのですから、家の中で一人ぼっちで病んでしまう人がたくさん出てきたことでしょう。テクノロジーの進歩は、幸せを維持するために役立っており、人類を幸せにするために大きな効果を発揮するものです。

私たちは、テクノロジーを上手に活用できれば幸せになる人を増やせると信じて、はぴテックという名前の会社を作りました。幸福度を測るというのは、小さな一歩かもしれませんが、上手に活用していきたいと考えています。

はぴテック はぴテック

太田 雄介氏

Profile

太田 雄介(おおた ゆうすけ)

株式会社はぴテック CEO 兼 CHO(ハピネス)

慶應義塾大学体育会柔道部、同大学院 総合デザイン工学専攻卒業後、ITコンサルタントとして流通小売/製造/金融業の大手企業にてシステム開発・業務改革に従事。一部上場のITコンサルティング企業にて年間個人MVPも受賞。

発展しているにも関わらず、幸福度が下がっている世界に課題を感じ、もっとみんなが幸せになる、みんなが幸せに向き合う世界をつくる為に株式会社はぴテック(ハピテック)を創業。

柔道2段、経営管理修士(MBA)
慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究所 研究員
一般社団法人Well-Being Design 理事

Writer

伊藤 元昭(いとう もとあき)

株式会社エンライト 代表

富士通の技術者として3年間の半導体開発、日経マイクロデバイスや日経エレクトロニクス、日経BP半導体リサーチなどの記者・デスク・編集長として12年間のジャーナリスト活動、日経BP社と三菱商事の合弁シンクタンクであるテクノアソシエーツのコンサルタントとして6年間のメーカー事業支援活動、日経BP社 技術情報グループの広告部門の広告プロデューサとして4年間のマーケティング支援活動を経験。

2014年に独立して株式会社エンライトを設立した。同社では、技術の価値を、狙った相手に、的確に伝えるための方法を考え、実践する技術マーケティングに特化した支援サービスを、技術系企業を中心に提供している。

URL: http://www.enlight-inc.co.jp/

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