LAST ISSUE 001[創刊号] エネルギーはここから変わる。”スマートシティ”
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超伝導直流送電は電力網に革命をもたらすか?

送電ロスを大幅に減らす超伝導直流送電の最先端研究の現場から
次世代電力網の可能性を探る。

  • 2012.4.1
  • 文/山路達也

発電所から家庭や工場まで、長い距離を電力は送電されて来るが、送電ロスにより日本全体で6%の電力が失われている。2010年の日本の総発電量は9768億kWhであり、100万kW級の原子力発電所6基分の損失ということになる。現在、送電網には高圧交流送電が使用されているが、直流送電の場合は、3%に抑えられる。さらに、電気抵抗ゼロの超伝導技術を使用すれば送電ロスを大幅に減らすことが可能となる。超伝導直流送電の最先端研究の現場から、次世代の電力網の可能性を探る。

100年の時を経て、改めて注目される直流送電

超伝導直流送電の実践設備。
[写真] 超伝導直流送電の実践設備。中央左寄りに映っているのは、液体窒素を使った冷却装置である。

日本の系統電力は、プラスとマイナスが周期的に入れ替わる「交流」である(周波数が50Hzや60Hzというのは、このプラスとマイナスが1秒間に何回入れ替わるかを示している)。送電網が交流なのは常識と思われるかもしれないが、かつて交流送電と直流送電は激しく争っていた。かの発明王エジソンは直流送電を推したのに対し、ライバルのニコラ・テスラは交流送電を提案、最終的に交流送電が勝利を収めたわけだが、その大きな理由は送電ロスの少なさにある。

電力は「電圧×電流」で表されるから、電圧を高くすれば、電流が少なくても同じ電力を送れる。電線自体の抵抗で失われる電流のロスが少なくて済むため、無駄なく電力を送るには電圧を高くするのがいい。もちろん、高電圧のままだと家庭やオフィスで使えないから、最終的には変圧器によって電圧を落とす。交流は直流よりも変圧がはるかに容易で、結果的に送電ロスを抑えることができたのだ。

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