No.022 特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた:我々はどこから来て、どこへ向かうのか

No.022

特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか。

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

Series Report

なかなか発見されない系外惑星

系外惑星探しが始まったのは、たくさんの大型望遠鏡がつくられるようになった1940年代から。だが、系外惑星は簡単には見つからなかった。恒星は自ら光り輝く天体であるのに対し、惑星は光を発することはない。しかも、主星である恒星と比べるとはるかに小さいものだ。望遠鏡は基本的に光っている天体を見つける道具なので、光らない惑星を見つけるのはとても難しい。系外惑星の場合は、地球からとても遠い場所にあることに加えて、近くに10億倍も明るい恒星の光があるという事情もあるので、口径の大きな望遠鏡を使っても、系外惑星の直接観測は至難の業だった。また、当時の天文学者たちは、系外惑星についての知識がほとんどなかったので、どのような天体を探したらいいのかすら、よくわかっていなかった。それも、系外惑星がなかなか発見されなかった理由の1つとなった。

天文学者たちは、直接観測することが難しい系外惑星をどのように探したのだろうか。系外惑星は、恒星の周りを回っている。恒星が大きな重力によって惑星を一方的に引き寄せていると思っている人も多いだろう。だが、それは大きな誤解だ。惑星は恒星に引き寄せられていると同時に、恒星を引き寄せている。そのため、中心に位置する恒星を精密に測定してみると、ずっと同じ場所にじっとしているのではなく、惑星の位置によって微妙にふらついているように見える。天文学者たちは、そのような恒星のふらつきを観測することで、系外惑星を間接的に観測しようとした。

問題は恒星のふらつきをどのように観測するか。系外惑星探しが始まった初期の頃は、恒星の位置の変化を精密に測定することで、ふらつきを観測しようとした。1つの恒星をずっと観測して、微妙に位置が変化すれば系外惑星が存在する可能性がある。これはとても単純で簡単に聞こえる話だが、実際の観測となるととても難しい。なぜなら、惑星が恒星を引き寄せる力は、恒星が惑星を引き寄せる力と比べてとても小さいからだ。

恒星のふらつきはとても微小なうえに、地球の自転や公転、銀河の回転などの影響を受けて、恒星の見かけの位置そのものが変化する。その上、地上では大気のゆらぎがあるために、恒星のふらつきを観測したと思っても、それが本当に系外惑星の影響によるものなのか判断がつきにくい。そのような状況で、系外惑星発見のニュースが何度も伝えられたが、検証してみるとそのすべてが観測誤差であることがわかり、関係者をがっかりさせた。

新しい手法でも10年観測されず

1980年代に入ると、位置測定の代わりにドップラー効果で系外惑星を探す方法が使われるようになった。ドップラー効果というのは、音や光が発せられる際、発信源の物体が動いていることによって発生する変化のことだ。

道を歩いていて、救急車がやってきたときのことを思い浮かべてみよう。救急車が近づくときはサイレンの音が高く聞こえるが、遠ざかるときは低く聞こえる。この現象はドップラー効果によって起こるもので、救急車の走る速度が影響して、聞く人の耳に届くサイレンの音が高くなったり、低くなったりする。

ドップラー効果は光でも発生する。光の場合は、観測者に近づく物体から発せされる光は波長が短くなるために、青っぽくなり、遠ざかる場合は波長が長くなって、赤っぽくなる。つまり、惑星をもつ恒星の発する光を地球から観測すると、周期的に青っぽくなったり、赤っぽくなったりと変化するはずだ。もちろん、この変化も微妙なものではあるが、恒星の位置を精密に測定するよりは観測しやすい。この観測法はドップラー法(図2)と呼ばれている。

ドップラー法の登場によって、系外惑星が発見されると思われていたが、80年代も1つも発見されずに終わってしまった。そのため、多くの天文学者は系外惑星探しを諦め、太陽のように惑星をもつ恒星はほとんどないのではという雰囲気が漂い始めた。

[図2]ドップラー法の概要図
惑星がAの位置にあるときは主星もAの位置にあり、観測者に対して近づくため、波長が短くなり星の光が少し青くなる。逆に惑星がA’にあるときは主星もA’の位置にあり、観測者に対して遠ざかるため、波長が長くなり星の光が少し赤くなる。
 ©国立天文台
http://exoplanet.mtk.nao.ac.jp/instrument/ird
18世紀ごろは目に見える範囲が宇宙の全てと考えられていた。
Cross Talk

本間教授に聞く!史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

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前編 後編

Series Report

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

地球外知的生命体は存在するのか?

第1回 第2回 第3回

連載02

ブラックホール研究の先にある、超光速航法とタイムマシンの夢

過去や未来へ旅しよう!タイムマシンは実現できるか?

第1回 第2回 第3回

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