No.022 特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた:我々はどこから来て、どこへ向かうのか

No.022

特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか。

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

Series Report

第3回
地球外知的生命体は存在するのか?

2020.02.28

文/荒舩良孝

地球外知的生命体は存在するのか?

この宇宙には数え切れないほどたくさんの恒星が存在する。これまでの探査結果から推測する限り、これらの恒星のほとんどに、その周りを回る惑星が存在するだろう。この宇宙の中に無数に存在する惑星の中には、知的生命体が存在し、高度な文明を築いた星もあるかもしれない。数十年前であれば小説や映画のような架空の世界だけの話だと思われていた地球外知的生命体の探査に、科学者の手が届きそうになっている。系外惑星や地球外生命の探査についての動向に迫る本連載。第3回では、地球外知的生命体探査について解説する。

生命によって環境が変化してきた地球

この宇宙に地球が誕生したのは、今から46億年ほど前だと考えられている。誕生直後の地球には生命はまったく存在しておらず、大気の成分も現在とはまったく違っていたそうだ。その地球に生命が誕生したのは、今から約40億年前。最初の生命がどのようなものだったのかは、まだよくわかっていないが、細菌のような単細胞生物だったはずだ。そのような小さな生物から、たくさんの生物が生まれ、地球上に広がっていった。

そして、人類が誕生したのが今から700万年ほど前だといわれている。さらに現生人類であるホモ・サピエンス(ヒト)が地球上に登場したのが約20万年前。地球誕生から現在までを1年に置き換え、1月1日午前0時に地球が誕生したとすると、ヒトの登場は12月31日午後11時37分頃になるという。地球の歴史から見れば、ヒトはつい最近やって来た新参者といえるだろう。

地球の環境は、新参者のヒトの登場で大きく変わることになる。だが、地球の歴史を振り返ると、ヒトが登場する前から大きな変化はあった。誕生から20億年ほどの間は、地球の大気には、二酸化炭素、窒素、水蒸気がたくさん含まれており、酸素はほとんど存在しなかった。当然、その頃の地球には酸素を必要としない嫌気性(けんきせい)の細菌しかいなかった。だが、今から27億〜21億年前にシアノバクテリアが登場したことで、その構図が大きく変わることになる。

[図1]ストロマトライト
オーストラリアの最西端であるシャーク湾にあるストロマトライト。ストロマトライトはシアノバクテリアの活動によって形成された層状の堆積物で、シアノバクテリアが繁栄していた時代の痕跡として残されている。
©西オーストラリア州政府
ストロマトライト

シアノバクテリアは、光合成によって酸素を発生させた初めての生物で、大繁殖することで、地球上に大量の酸素を放出し続けた。酸素は周囲の物質と激しく反応する性質をもっている。そのため、細胞を傷つけやすく、地球初期にいた嫌気性細菌にとっては毒に等しいものであった。シアノバクテリアからの酸素の放出により、海洋の表層や大気中の酸素濃度が上がってくると、これまでいた嫌気性細菌は住処を奪われ、深海へと追いやられていった。

その後、酸素に強い生物が登場し、地球全体に広がっていく。地球の酸素濃度の増加は、新たな生物を生みだす原動力となり、多細胞生物も登場した。4億年ほど前には、多くの生物が海中から陸上へと生息範囲を広げ、陸上の様子を大きく変えていった。

その変化をさらに加速したのが、ヒトの登場だ。ヒトは、器用な手で道具をつくり、言語で仲間とコミュニケーションをすることで、他の生物よりも優位に立ち、地球全体に生息範囲を広げ、気候や地形などに左右されずに様々な場所で生活を送っている。道具は時を経るに従い高度になり、今や地球の気候にも影響を与えてしまうほどになった。

ヒトと他の生物の大きな違いは知能だといわれている。ヒトは、大脳を大きく発達させることで、知能を獲得し、文明を築き上げた。知能とは何かを定義するのはとても難しい。車いすの天才物理学者として有名だったイギリスのスティーブン・ホーキング博士(1942〜2018年)は、以前、地球外知的生命体について意見を求められたときに、「地球上に知的生命と呼ばれるに値するものなど存在するのですか」と冗談を口にしたが、私たちは知能についてあまりよく知らない。最近では、ヒト以外の動物も知的な活動をしていることがわかってきたが、ヒトを含めて、知能がどのように誕生したのか、ヒトの知能はどのように保たれているのかということについても、よくわかっていないというのが現状だ。

そのような状況の中で、この宇宙の中で知的生命体を探すというのは、とても難しい。だが、この宇宙の中に数え切れないほどたくさんの惑星が存在するのであれば、その中には、地球のように高い知能をもった知的生命体が誕生した惑星があってもおかしくはない。現在、多くの天文学者が、この宇宙に地球外知的生命体が存在するだろうと考える根拠は、まさにここにあるのだ。

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