No.022 特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた:我々はどこから来て、どこへ向かうのか

No.022

特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか。

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

Series Report

発見された系外惑星は常識外れ

このような諦めムードの漂っていた1990年代半ば、突然、系外惑星発見の報告が世界中を駆け巡った。発見したのはスイスジュネーヴ大学の天文学者ミシェル・マイヨールと、彼の元で学んでいたディディエ・ケローだ。2人はドップラー法によって、地球から約51光年先にあるペガスス座51番星の周りを回る惑星ペガスス座51番星b(図3)を発見した。

ドップラー法は、多くの天文学者が利用したにもかかわらず、10年以上、系外惑星が発見されることはなかった。それなのに、なぜ、マイヨールとケローは系外惑星を発見することができたのだろうか。実は、2人が発見した系外惑星は、太陽系の惑星を基準に考えると、常識外れなものだったのだ。

太陽系には、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星と8つの惑星が存在している。太陽に一番近い水星は、地球の時間で88日かけて太陽の周りを1周している。一番外側の海王星の場合は太陽の周りを1周するのに約165年かかる。太陽系の惑星を見る限りでは、惑星は恒星の周りをゆっくりと公転するので、ドップラー効果による光の変化の周期も長時間になると考えられていた。

しかし、マイヨールとケローが発見した系外惑星のペガスス座51番星bの公転周期は4.23日ととても短いものだった。これまで、多くの天文学者は、太陽系の惑星を参考にしすぎて、公転周期が短いものでも1年、長いものでは100年程度となるデータを探していて、それが系外惑星の証拠になると考えていた。

これまでの観測でも、マイヨールとケローが発見した系外惑星と同じようなデータはたくさん得られていたことだろう。しかし、これほど短い周期で変化するデータは、観測中に現れるノイズとして無視されてきた。つまり、太陽系の惑星を参考にしすぎていて、それらに合わないデータは、系外惑星ではないと切り捨てられていたために、系外惑星の発見が大きく遅れてしまったのだ。

[図3]惑星ペガスス座51番星bの想像図
©ESO/M. Kornmesser/Nick Risinger
惑星ペガスス座51番星bの想像図

マイヨールとケローの発見したペガスス座51番星bは、地球の約149倍もの質量をもつ巨大な惑星である。これほど大きな惑星が主星から約780万kmの距離で公転していたのだ。この距離は、太陽と地球の距離の20分の1程度しかない。ペガスス座51番星bがあまりにも太陽系の惑星の常識から外れていたので、「間違いではないか」という声も多くあがった。しかし、ペガスス座51番星bの存在は、アメリカの天文学者ジェフリー・マーシーによってすぐに確認され、太陽以外の恒星系で発見された初の惑星となったのだ。このニュースにより、多くの天文学者が観測に参加。数年のうちに新しい系外惑星がいくつも見つかり、2002年には発見数が100個を越えた。

さらに増加する系外惑星の発見

系外惑星を探す方法は、ドップラー法以外にもいくつか知られている。現在、系外惑星を探す方法の代表格となっているのがトランジット法(図4)だ。地球から恒星を観測したとき、惑星が恒星の前を通過すると、恒星からの光が惑星に遮られて少し暗くなる。トランジット法は、このような光の明るさの変化を観測することで系外惑星を探す方法である。この方法は、恒星の明るさの変化だけを観測すればいいので、ドップラー法よりも簡単にできるため、昔から知られていた。しかし、系外惑星が恒星と地球の間を通過するような軌道で動いていないと発見できないという欠点がある。しかも、太陽系の惑星を基準に考えると、トランジットが起きる頻度はとても少ない。例えば、木星と同じ軌道をもつ惑星の場合、トランジットが観測できるのは12年に1回しかないのだ。そのため、この方法は実用性が低いと思われていた。

だが、マイヨールとケローによって発見されたペガスス座51番星bは、4日ほどで恒星の周りを1周する惑星だった。しかも、同じような系外惑星がどんどん発見されていく。このような状況の中で、1999年にアメリカ・ハーバード大学の大学院生だったディビッド・シャルボノーは、トランジット法で系外惑星の発見に成功した。

[図4]トランジット法の概要図
観測する恒星と観測者との間を惑星が通過すると、恒星の光が遮られて暗くなる。恒星の明るさの変化を観測するだけなのでドップラー法よりも簡単。ただし、惑星の軌道が観測する恒星と観測者との間を通過しない場合、発見できない。
https://astro-dic.jp/transit-method/
トランジット法の概要図
Cross Talk

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