No.022 特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた:我々はどこから来て、どこへ向かうのか

No.022

特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか。

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

Series Report

見直された惑星形成理論

ペガスス座51番星bのように主星のすぐ近くに位置する巨大ガス惑星は「ホット・ジュピター(灼熱巨大惑星)」と呼ばれるようになった。ホット・ジュピターは近くに位置する主星からの熱を受けて、表面が高温になっていると考えられている(図3)。ペガスス座51番星bの発見を受けて、他の天文学者たちが過去の観測データを見直してみると、ホット・ジュピターを観測していたことが確認された。ほとんどの天文学者は、太陽系惑星の常識に囚われていたために、観測データから、ホット・ジュピターの存在を読み取ることができなかったのだ。

[図3]ホット・ジュピターのイメージ
至近距離から主星の熱を浴びるため、表面が高温になっていると考えられている。
©NASA/JPL-Caltech
ホット・ジュピターのイメージ

系外惑星がたくさん観測されるようになると、ホット・ジュピターの他にも、変わった惑星があることがわかってきた。それが「エキセントリック・プラネット」だ(図4)。太陽系の惑星の公転軌道はほぼ円に近く、ほぼ同じ平面上にある。しかし、エキセントリック・プラネットは公転軌道が、大きく歪んだ楕円軌道をしていた。その軌道は太陽系の彗星に近く、主星の近くにいる時期もあれば、遠く離れてしまうときもあるという、太陽系惑星を基準に考えると、まさにとても変わっている奇妙(エキセントリック)な惑星なのだ。

[図4]エキセントリック・プラネットの軌道
エキセントリック・プラネットであるHD96167 b の軌道を太陽系の惑星の軌道と比較したもの。
出典:岡村定矩 http://astro-dic.jp/extrasolar-planet-2/
エキセントリック・プラネットの軌道

ホット・ジュピターやエキセントリック・プラネットは系外惑星の中でも大きなものが多く、比較的見つけやすい。そのため、観測初期から、これらの惑星がたくさん発見されていた。これらの系外惑星は、太陽系惑星にはないタイプの惑星だ。いったい、どのようにしてつくられたのだろうか。

太陽系の惑星を中心にして考えられてきたこれまでの理論では、惑星は、現在存在している場所でつくられ、太陽からの距離はほとんど変わらないと考えられていた。太陽系が誕生したのは今から約46億年前のことだが、地球も、木星も、土星も、つくられた場所は、現在の位置とあまり変わらないというものだ。この考え方に従うと、ホット・ジュピターは、主星からとても近い位置でつくられたことになる。だが、主星の近くは、主星から放出される熱や光によってかなり熱せられるはずなので、核の材料となる氷の粒が存在することはできない。天文学者たちは、議論を重ねた結果、これまでの理論を修正して、惑星がつくられている途中やつくられた後に軌道が変化するものもあるという考え方を加えたのだ。

ホット・ジュピターとエキセントリック・プラネットのつくり方

ホット・ジュピターのつくられ方を整理すると、次のようになる。まず、氷の粒など、惑星の核になる材料が豊富な主星から遠い原始惑星円盤の外側の領域で、岩石や氷の核がつくられる。その核が大きな重力によって巨大ガス惑星になった後で、何らかの作用によって原始惑星円盤の内側に移動する。このとき、巨大ガス惑星を移動させるきっかけをつくるものは、他の惑星の重力、原始惑星円盤内に存在するガスなどが考えられているが、はっきりとは定まっていない。

だが、巨大ガス惑星が主星に近づきすぎてしまうと、そのまま主星に飲みこまれてしまう。これを防ぐ役割をしているものは、まだはっきりとはしていないが、例えば、原始惑星円盤内のガスが主星と離れている場合は、巨大ガス惑星がガスの切れ目で止まってしまうこともあり得るという。このようにして主星のすぐ近くにとどまるようになった巨大ガス惑星がホット・ジュピターになったと考えられている。

ただし、系外惑星探査が進んできて、たくさんの系外惑星が発見されてくると、ホット・ジュピターは数ある系外惑星の中のほんの一部であることもわかってきた。主星から離れた場所にも巨大ガス惑星がいくつも発見されており、太陽と同じような恒星の中で、ホット・ジュピターが存在している星は1%程度しかなかったという(図5)。

[図5]発見された系外惑星の大きさと公転周期
系外惑星の探査が進むにつれて、ホット・ジュピターだけでなく、主星から遠い巨大ガス惑星など、様々な系外惑星が発見されるようになった。
©NASA/Ames Research Center/Natalie Batalha/Wendy Stenzel
発見された系外惑星の大きさと公転周期

主星の近くにある巨大な惑星であるホット・ジュピターは、系外惑星の中でも観測しやすく、目立つ存在だ。特に、初期の頃は、観測技術もそれほど高くないので、観測しやすいホット・ジュピターがたくさん観測されたことで、注目を集めたが、系外惑星の中でも、ホット・ジュピターは少数派のようだ。

一方、エキセントリック・プラネットはどうだろうか。エキセントリック・プラネットの方も巨大ガス惑星が鍵を握っているという。太陽系の場合は、巨大ガス惑星は木星と土星の2つだけしかない。この2つの惑星はお互いに、相手の軌道運動に与える影響は小さなものとなり、安定している。原始恒星円盤にガスがたくさんあると、巨大ガス惑星が3つ以上つくられてもおかしくはない。

巨大惑星が3つできた場合は、誕生直後は円に近い軌道を回っていたとしても、お互いの重力によって、巨大惑星の軌道は複雑に変化していく。その変化が積み重なることで、巨大ガス惑星の軌道は楕円形に歪み、最終的にお互いに衝突してしまうという。コンピュータシミュレーションをしてみると、3つのうちの1つは惑星系の外に放り出されてしまうが、残りの2つは楕円に潰れた軌道で惑星系の中に残るという結果となる。エキセントリック・プラネットは、巨大ガス惑星同士の激しい衝突を示す痕跡なのかもしれない。

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