No.022 特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた:我々はどこから来て、どこへ向かうのか

No.022

特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか。

連載02

ブラックホール研究の先にある、超光速航法とタイムマシンの夢

Series Report

第1回
ブラックホール、ホワイトホール、ワームホールとはどんなもの?

2019.12.20

文/鳥嶋真也

ブラックホール、ホワイトホール、ワームホールとはどんなもの?

ブラックホール、ホワイトホール、そしてワームホール――。古今東西、さまざまなSF作品に登場してきたこれらの単語は、この宇宙に、いまの人類の科学技術ではまだわからない、多くの謎が潜んでいることを知らしめると同時に、いつかはその謎を解き明かせるのではないかという期待を、さらにそうした天体現象を利用し、光よりも速く移動したり、過去や未来に行ったりできるのではないかという好奇心を掻き立ててきた。そして、ブラックホールの撮像に成功したいま、私たち人類はその大きな第一歩を踏み出した。はたしてブラックホール、ホワイトホール、ワームホールとはどのようなものなのか。そして、その研究の先にどのような未来の可能性があるのか。これから3回に分けて、時間と空間を超える旅をみていきたい。

ブラックホールとはどんなもの?

ブラックホールほど、有名かつ、そしてその本当の姿が知られていなかった天体はなかっただろう。

たとえば2014年の映画『インターステラー』では、きわめてリアルなブラックホールが描かれ、また2009年の映画『スター・トレック』では、ブラックホールによって惑星が飲み込まれてしまう様子が描かれた。図鑑などで、黒い穴の空いたドーナツのような姿をしたブラックホールのイラストを見た人も多いかもしれない。

ところが、これらの図鑑や映画が作られたころは、じつは誰も、ブラックホールの本当の姿を見たことがなかった。人類がその姿を初めて見たのは2019年4月のことであり、それ以前に作られた図鑑や映画に出てくるブラックホールは、すべて想像上の姿だったのである。

そもそもブラックホールとはどのような天体なのだろうか。ブラックホールとは、非常に大量の物質が、極限まで狭い領域に押し込められた天体のことを指す。このため重力がとても強く、あらゆるものを吸い込むという特徴をもち、光さえも抜け出すことができない。そこから、「真っ黒(ブラック)」で、あらゆるものを吸い込む「穴(ホール)」として、「ブラックホール」と呼ばれている(図1)。

[図1]ブラックホールの想像図
©wallhere
ブラックホールの想像図

ブラックホールの研究の起源となる発想が生まれたのは、18世紀のことだった。当時のフランスの科学者ピエール=シモン・ラプラス(1749~1827)と、イギリスの天文学者ジョン・ミッチェル(1724~1793)はそれぞれ、ニュートン力学のひとつである万有引力の法則から、もし光も万有引力の影響を受けるのだとしたら、きわめて大きな重力をもつ天体からは光が抜け出せないのではないか、そしてそのような天体が存在しうるのではないか、と推測した。しかし、当時この考えは受け入れられず、いったん忘れ去られることになる。

Cross Talk

本間教授に聞く!史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

本間教授に聞く!
史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

前編 後編

Series Report

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

地球外知的生命体は存在するのか?

第1回 第2回 第3回

連載02

ブラックホール研究の先にある、超光速航法とタイムマシンの夢

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