No.008 特集:次世代マテリアル
連載04 半導体テクノロジーの今
Series Report

第2回
ムーアの法則50周年
〜平面での微細化が行き詰まったら
縦方向に積層へ〜

 

  • 2015.03.31
  • 文/服部 毅

連載第1回では、半導体の微細化の単位と、現在最小とされる14nm(ナノメーター)の意味について解説した。しかし、今後半導体の微細化はどこまで進むのであろうか。実は、半導体業界の関係者が拠り所としている集積化・微細化に関する指標がある。それが、今年提唱50周年を迎えた「ムーアの法則」である。今回は、この法則を拠り所にして微細化の将来を探ってみよう。

半導体はムーアの法則に従い発展してきた

米インテル社の創業者の一人で名誉会長として知られるゴードン・ムーア氏(図1)は、米フェアチャイルド・セミコンダクタ社で集積回路の研究開発担当ディレクターだった1965年に、電子技術専門週刊誌 "Electronics"の「10年後の電子産業予測」特集に、集積回路の集積度に関する予測論文を寄稿した。その要旨は次のようなものであった。

「部品(トランジスタ)あたりのコストが最小になるような複雑さ(集積度)は、今まで毎年およそ2倍の割合で増大してきた。短期的には、この増加率は上昇しないまでも現状を維持することは確実である。長期的には、やや不確実であるとはいえ、少なくとも今後10年間ほぼ一定の率を保てるだろう」*1

Gordon Moore氏とMooreの法則の図
[図1] Gordon Moore氏とMooreの法則(出所:Intelを基に著者合成)円内は、Moore氏の研究ノ―トに描かれた法則のもとになるグラフ、横軸は集積回路の部品数、縦軸は部品あたりの製造コスト相対値、パラメーターは西暦年(1962,1965,1970年)

ムーア氏は、この論文執筆10年後の1975年に、集積回路の集積密度の推移を調べ直して「半導体の集積密度は2年で倍増する」と修正した。その後、この予測は「ムーアの法則」として知られるようになり、半導体のみならず電子産業界の関係者にとっての絶対的な拠り所となった。この経験則は、一般には「半導体の集積度は、18~24カ月で倍増する」という表現で知れ渡っているが、ムーア氏自身は18カ月と言った覚えはないと言っている。米インテルのMPUの性能が18カ月で倍増してきたために、それと混同されたのではないかと言われている。また、1970 年以来4半世紀にわたり「3年で4倍」の割合で増加してきたDRAM(Dynamic Random Access Memory)の記憶容量の成長率が「1.5年(18ヶ月)で2倍」に相当するところから、メモリービジネス従事者は好んで「18カ月で2倍」と言う表現を使ってきた経緯もある。

そんなムーアの法則は今年4月に「提唱50周年」を迎えた。この50年間、半導体はムーアの法則に沿う微細化・高集積化・低コスト化によって目覚しい発展を遂げ、それを利用した電子機器のおかげで快適な生活や効率的なビジネスが現実のものになった。

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