No.008 特集:次世代マテリアル
連載04 半導体テクノロジーの今
Series Report

第3回
シリコンウェーハは直径20mmから出発、
450mmをめざす道程

 

  • 2015.04.30
  • 文/服部 毅

前回は、ムーアの法則に従って、半導体デバイスの微細化により高集積化を図り、トランジスタ当たりのコストを過去50年以上にわたり低減してきたと述べた。ただし、コストダウンは、このような微細化・高集積化だけではなく、製造歩留まり(良品率)の改善や、製造効率化によるスル―プット(単位時間当たりの製品処理数)の向上など、製造現場の努力に加え、半導体デバイスの土台となるシリコンウェーハ(半導体基板)の大口径化によるところが大きい(図1)。
ウェーハの面積が拡大すれば、1枚のウェーハからとれる半導体チップ(ダイとも呼ばれる)の数を増やせるので、チップ当たりの製造コストを下げられるからである。今回は、半導体コストダウンの有力手段であるウェーハ大口径化を採りあげて過去の歴史を振り返る。そして、次世代450mm時代はいつやって来るのか探ってみよう。

集積回路を作り込んだシリコンウェーハ:左から直径2インチ、4インチ、6インチ、および8インチのウェーハの図
[図1] 集積回路を作り込んだシリコンウェーハ:左から直径2インチ、4インチ、6インチ、および8インチのウェーハ 出典: Wikipedia

半導体の歴史はウェーハ大口径化の歴史

半導体の歴史は微細化の歴史であると共にシリコンウェーハ大口径化の歴史でもあった(図2)。1960年過ぎに、まず直径0.75インチ(約20mm)前後のシリコン単結晶ウェーハが入手できるようになった。ゴードン・ムーア氏がいわゆる「ムーアの法則」(前回記事参照)を提唱した1965年ごろ、それまでは主にディスクリート(単一機能)トランジスタ中心に細々と使われていた直径1.25インチ(約30mm)の小さなウェーハにかわって黎明期の集積回路用に1.5インチ(約40mm)ウェーハ需要が急増した。

シリコンウェーハのサイズ(基板直径)の変遷の図
[図2] シリコンウェーハのサイズ(基板直径)の変遷

その後、2インチ(約50mm)、3インチ(約75mm)を経て、1975年頃に4インチウェーハ(約100mm) が登場し、世界的に広く普及する。その後は、図2に示すように、5インチ(125cm)、6インチ(150mm)、8インチ(200mm)をへて、今世紀に入り、300mmの時代を迎えている。

現在、先端の半導体製造ラインでは、ロジック(論理)集積回路もメモリーもアナログも300mmウェーハを使用しているが、1980~90年代に建設された製造ラインでは6~8インチウェーハが使われており、ごく一部の古いラインでは、未だに4インチを使っているところもある。

ところで、ウェーハ口径の呼び方だが、トランジスタ発明とともに半導体結晶の成長も米国が起源であるため、その単結晶ウェーハの直径表示は(いまや世界中で米国でしか通用しない)ヤードポンド法に基づき、伝統的にインチ表示されてきた。しかし、8インチのころから米国でもウェーハ口径表示にメートル法を適用する機運がでてきて、米国人は意識して200mmと言う一方で、日本人が今までの延長で8インチを好んで使うという不思議な光景がしばしば見られた。300mmからはメートル法表記が世界的に定着している。

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