No.008 特集:次世代マテリアル
連載04 半導体テクノロジーの今
Series Report

米国で先進5社が450mm化推進組織結成

米インテルは、微細化によるチップコスト上昇を回避するために、過去のシリコン(Si)ウェーハ大口径化の経験則に従い、450mm化を一刻も早く実現しなければならないことを早くから主張していたが、2008年 5月に韓国サムスン電子、台湾TSMCに働きかけ、450mm製造技術を3社で共同開発すると発表した。しかし、半導体製造装置メーカーはどこも未だに300mm装置の開発費を回収できていない段階にあったため、協力が得られず、「2012年に450mm試作開始」という初期の計画は頓挫してしまった。

450mm化がにわかに現実味を帯びるようになったのは, 米国ニューヨーク州のクオモ知事が「米台韓の先端半導体メーカー5社(インテル、TSMC、サムスン、グローバルファウンドリーズ、IBM)が、次世代コンピュータチップ開発と450mm大口径化推進の2大プロジェクトを州都Albanyで開始する」という声明を2011年9月26日に突如発表して以来である。

この5社が参画し、ニューヨーク州政府/ニューヨーク州立大学ナノスケール理工学カレッジ(CNSE)が主導する450mm コンソーシアム (Global 450mm Consortium :G450C )が翌年活動を開始し、その目標は、「会員企業が2015-2016年に450mmパイロットラインを構築できるように、450mm装置を評価し、14nm世代のプロセス技術の検証を進め、製造可能な環境を整備する」というものであった。後に、「2016年末までに10/7nm装置評価・プロセス検証」と目標を変更して今日に至っている(図5)。

米国Global 450mm Consortium (G450C)の工程表(2014 年12月現在)の図
[図5] 米国Global 450mm Consortium (G450C)の工程表(2014 年12月現在)

G450Cは、初期の450mm装置評価結果は極めて良好であり、未設置の露光装置(後述)を除き、300mmから450mmへ移行するに際しての大きな技術的障壁はないと判断している。

欧州では装置業界が450mm化推進活動

欧州では、同地域の半導体装置・材料メーカーが450mm大口径化開発活動を推進し、European 450mm Equipment and Materials Initiative (EEMI450)という母体が2009年に結成された。EC (欧州委員会)からの資金援助で2010-12年に同名の450mm装置材料開発プロジェクトが実施され、プロジェクト終了後もこの推進母体は「欧州における450mmプラットフォーム」として存続。会員数は10カ国58社に増加している。そして、その周辺には公的支援を受けた様々な450mm化推進プロジェクトが次々と誕生し、同時進行している(図6)。これらの活動をネットワーク化し外部に広報するプロジェクトENABLE450、およびアジアにおける450mm装置の潜在需要を掘り起こすと共に450mmファブを欧州に誘致するプロジェクトBridge450が全体を推進している。

欧州EEMI450プラットフォーム上の多様な450mmプロジェクトの図
[図6] 欧州EEMI450プラットフォーム上の多様な450mmプロジェクト

ベルギーにある独立系の先端半導体研究機関imecは、地元フランダース地方政府の資金で450mm研究開発用クリーンルームを建設中である。

これらとは別に、イスラエルでは、政府支援でMetro450という450mm計測の産官学プロジェクトが発足させている。Metro450は、450mm装置評価に関して、米G450Cおよび欧EEMIとグローバルな協業体制を敷いている。

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