No.022 特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた:我々はどこから来て、どこへ向かうのか

No.022

特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。我々はどこから来て、どこへ向かうのか。

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

Series Report

探査機に載せられたメッセージ

火星人が存在しないことははっきりとしたものの、この宇宙の中には知的生命体が存在する可能性は十分にある。そのような期待をこめて、まだ見ぬ知的生命体へ向けてメッセージを発信する試みがいくつかおこなわれている。1972年と1973年に相次いで打ち上げられた惑星探査機パイオニア10号とパイオニア11号は、木星より遠い惑星に向けて人類が初めて送った探査機だ。

この2機の探査機には、地球外知的生命体に対するメッセージを刻みこんだ金属板が取りつけられた。当時、太陽系の中でも地球から遠く離れた木星以遠は、まだよくわからない未知の場所であった。そのため、知的生命体と遭遇する可能性も検討され、金属板をつくることにしたのだ。金属板には、人類の存在を教えようと、男女の人間の絵や、太陽系の位置などが描かれている。もしも、知能をもった生命体が見たならば、この金属板に刻まれたメッセージを解読し、地球や地球人の存在を理解してくれるだろうと期待をこめたものだった。

さらに、1977年に打ち上げられた惑星探査機ボイジャー1号と2号にも、地球外知的生命体へのメッセージが搭載されている。ボイジャーに搭載されたのは銅板に金めっきが施されたレコード。このレコードには、地球上の様々な音や世界の音楽、あいさつといった音声情報だけでなく、音声データに変換された画像情報も収録されている。ボイジャーにはレコードだけではなく、宇宙空間の中での地球の位置などを記した金色のディスクも搭載された。このディスクには、ボイジャーに遭遇した知的生命体がレコードを再生できるように、再生方法や再生時間などが記されている。

[図5]ボイジャー1号のイメージ
©NASA/JPL-Caltech
ボイジャー1号
[図6]ボイジャーに搭載された金メッキが施されたレコードと金色のディスク
©NASA/JPL-Caltech
ボイジャーに搭載された金めっきが施されたレコードと金色のディスク

ボイジャー1号、2号も、木星よりさらに遠くに位置する惑星の探査が目的で、ボイジャー2号は天王星と海王星に世界で初めて接近し、その詳しい様子を地球に伝えることに成功した。ちなみに、ボイジャー2号が海王星に接近したときに地球に送られたデータの一部を、長野県の臼田宇宙空間観測所に設置された64mのパラボラアンテナで受信している。臼田宇宙空間観測所は海王星の大気構造を調べる日米共同の電波科学実験に参加し、ボイジャー2号から送信された微弱な電波の受信に成功。超遠距離通信における世界屈指の受信能力を示した。

パイオニア10号、11号、そしてボイジャー1号、2号は太陽系を脱出する軌道に乗っている。パイオニア11号は1995年11月に通信が途絶え、10号からの通信は2003年1月22日に受信したものが最後となった。両機とも、現在も太陽系の外側に向けてさまよっていることだろう。一方、ボイジャーに関しては、1号が2012年8月25日に、2号が2018年11月5日に、それぞれ太陽圏の外に脱出した。太陽からは太陽風といわれる電気を帯びたプラズマ粒子が放出されているが、その太陽風の影響が及ぶ領域を太陽圏という。

[図7]太陽系を脱出する軌道に載った人工衛星の軌道と位置(1992年まで)
ボイジャー1号

ボイジャー1号、2号ともにその太陽圏の外には出ているものの、まだ太陽系の外に出たわけではない。太陽系の定義は明確には決まっていないが、太陽の重力の影響が及ぶ範囲ということになれば、太陽系の大きさは太陽圏の100〜1000倍の大きさになるという。ボイジャー1号、2号は人工物としては最も遠い位置まで到達しているが、それでも太陽系を出るまでには至っていない。これらの探査機が地球外知的生命体と出会う可能性はとても低い。もし、出会ったとしても、それを地球に伝えるすべはないに等しいのだ。

[図8]太陽圏を脱出したボイジャー1号と2号のイメージ
2つの探査機は、太陽風の影響する範囲から出て、星間空間*1へと突入した。
©NASA/JPL-Caltech
太陽圏を脱出したボイジャー1号と2号のイメージ

[ 脚注 ]

*1
星間空間:
恒星と恒星の間の空間。恒星間空間ともいう。水素を主成分とするガス、わずかな固体微粒子とからなる星間物質、銀河の微弱な磁場、宇宙線が存在する。また、目には見えないが、ダークマター(暗黒物質)やダーク エネルギー(暗黒エネルギー)も存在すると考えられている。太陽系内の惑星間の空間を惑星間空間、銀河と銀河の間の空間を銀河間空間といい区別される。
Cross Talk

本間教授に聞く!史上初、ブラックホール撮像成功までの道程

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前編 後編

Series Report

連載01

系外惑星、もうひとつの地球を探して

地球外知的生命体は存在するのか?

第1回 第2回 第3回

連載02

ブラックホール研究の先にある、超光速航法とタイムマシンの夢

過去や未来へ旅しよう!タイムマシンは実現できるか?

第1回 第2回 第3回

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