Introduction
アート

テクノロジーとアートの融合

人類の歴史の中で、サイエンスよりも古い起源を持つアート。創作活動は個人の内面を表現するだけでなく、自然との関係や、社会へのメッセージ、地域の文化など、多様な対象を織り込んでなされてきました。
アートは時に、社会におけるカウンターの立場を取りつつも、同時に新たな発想の源泉となり、人類を前進させる役目を担ってきたと言えます。

一方、創作のための道具や技法は、テクノロジーの発展とともに多様化しました。写真や映画が発明されたほか、製造業が発展してからは複製可能な芸術について盛んに論じられるなど、アートの範疇は時代とともに更新され続けます。
20世紀には映像技術が発展し、フィルムアートやCGが登場します。こうした映像作品が美術館に永久収蔵される例も増えていきました。
インターネットが普及した20世紀末からは、サイエンスやエンジニアリングを内包し、従来の枠に止まらないアートが世界を席巻しています。
ビッグデータの海へ漕ぎ出すAI、ゲノム編集を始めとしたバイオテクノロジー、センサー技術のIoT。こうしたテクノロジーが生み出すシステムそのものに対して「美」を感じ取る作家も現れました。
鑑賞の方法も美術館や美術書に限らず、アーカイヴ化された作品データを遠隔で鑑賞したり、VRやARを通じて新たなリアリティを得たりする方法も一般化しつつあります。

それらが単なるテクノロジーのデモンストレーションではなく、アート作品として成り立つのは、取りも直さず「人間とはどんな存在か」を問い続けるからにほかなりません。
人間が活動する世界全体をカバーするようになったテクノロジーは、これからアートを通じて、どんなフロンティアを切り拓くのでしょうか。

今回の特集では、テクノロジーと融合したアートを生み出す第一線の作家、キュレーター、研究者たちが描いている未来を探ります。

No.014 特集:テクノロジーとアートの融合

CROSS × TALK

新たな表現のフロンティアを求めて
前編 後編
畠中 実 × 徳井 直生

Expert Interview

テクノロジーの本質を問うことで、アートは社会を前進させていく。
多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授/アーティスト
久保田晃弘

ソフトウェアを独自開発し、ハードウェアを改造する:
モーメント・ファクトリーの発想と創造力
モーメント・ファクトリー創業者、チーフ・イノベーション・オフィサー
ドミニク・オーデット

デジタル技術の活用が熟れれば、イベントはもっと面白くなる
キリンジ代表取締役/プロデューサー
鈴木 智彦

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