TOKYO ELECTRON LIMITED

Corporate Blog

Meet TEL - Dr. Peter Loewenhardt
半導体業界でのキャリアを通じて得たこと
「成功よりも、社会に意義のある貢献を」

People

「企業の成長は人。社員は価値創出の源泉」という東京エレクトロン(以下:TEL)の考えのもと、世界中のTELグループでは多様な人材が活躍し、「半導体の技術革新に貢献する夢と活力のある会社」というビジョンの実現を目指していますMeet TEL では、グローバルに活躍するTELグループの社員をご紹介します。

東京エレクトロン 前工程事業本部 クロスBU担当 GM 兼 Tokyo Electron Taiwan CTOのPeter Loewenhardt(以下:Peter)は、半導体製品の技術および技術ロードマップにフォーカスし、お客さまの将来の技術要件やニーズに対応してきた。Peterは、米Applied Materials社でキャリアをスタートし、エッチング、絶縁膜CVD(化学気相成長)装置およびプロセス開発を担当。その後、同社では、フィールドテクノロジー(ヨーロッパ)、Chief Technologist(台湾)を務めた。米Lam Research社では、13年間にわたり、ウェットクリーン装置やプロセス開発に従事。グローバルに半導体業界でのキャリアを経験してきたPeterが、自身の経験から得た学びや未来への展望を語る。

略歴

  • Peter Loewenhardt
    東京エレクトロン 前工程事業本部 クロスBU 担当GM
    Tokyo Electron Taiwan CTO

    California Institute of Technologyで核融合燃料を研究、Australian National Universityでプラズマ物理学の博士号を取得。米Applied Materials社にてキャリアをスタート。2021年、TELに入社。

パーソナルストーリー

半導体業界でキャリアを追求することを決めたきっかけと、その情熱をもち続けている理由を教えてください。

「世界はとても魅力にあふれています。私は、科学とは、世界がどのように動いているのかを探求する方法だと考えており、早い時期から科学に夢中になりました。大学に入ってからは、ほぼ無限にエネルギーを生み出すことが可能というエネルギー理論に興味をもち、プラズマ物理学を専門として勉強しました。プラズマ物理学は半導体製造工程におけるエッチングや成膜に応用できるため、半導体製造装置メーカーに就職することになり、それからずっとこの業界で働いています。最初の会社で働き始めたとき、半導体産業は科学と技術が大いに求められる世界だと知り、興奮しました。スピード感、絶え間ないイノベーション、そしてエキサイティングな半導体業界のビジネスにもすぐに魅了されました。

私はカナダで育ちました。家族は小さな会社を経営していたため、お客さまに価値を提供することの大切さを実感しながら育ったこともあり、半導体産業に情熱を感じずにはいられません。求められることは厳しいですが、お客さまや世界に価値を提供し、新しいものを創造できることに、常にやりがいを感じています。実際、現代社会は半導体によって成り立っているように、人類そして社会に深く関わる産業として、これまで存在しなかった新しいテクノロジーの創造に関われることが、モチベーションとなっています。」

日本を含め、台湾、米国、ヨーロッパなど、さまざまな国を経験してきた中で、文化の違いを感じたことや、なにか興味深いエピソードはありますか?

「とても幸運なことですが、私はさまざまな国で暮らす機会に恵まれました。異なる文化を体験し、それぞれの伝統、価値観、その国で暮らすうえでの常識を理解すること、やがて自分自身がその一部となって溶け込むことに、魅力を感じています。もちろん食べ物もすばらしい魅力の1つですよね。

異なる文化圏を理解するうえで、私にとって大きな学びとなり、かつ理解が最も難しかったこととして、その国の人を理解するための前提のようなものがあると思います。例えば、私のような欧米人にとっては、台湾の人が英語を話すとき、なぜ「彼(he)」と「彼女(she)」を混同することがあるのか理解できませんでした。中国語では、両方とも同じように”ta”と発音されるからだと学び、納得しました。また、ある別の会社で働いていたとき、オーストリアに駐在することになったのですが、オーストリアの優秀な社員は、キャリアパスの成長にあまり興味をもっていないことに驚きました。オーストリアでは、会社への貢献とワークライフバランス、シリコンバレーだったら、キャリアと給与という具合に、モチベーションの優先順位は、国によって異なるのです。

また、例えば日本では、会議の前にすべての関係者と調整をおこなっておくことが一般的です。会議を効率的に進行するために、非常に良いことだと思います。ただ、このやり方は、良い意味で「建設的な衝突」による議論を好むアメリカとは、異なる部分でもあります。TELに入社した当初、日本やTELの文化を理解するのに、数か月の時間を要しました。基本的に私たちがもつ思い込みには、常に疑問を投げかけ、経験にもとづいて判断していく必要があります。何が正しくて、何が間違っているということではなく、違いを理解するということが重要です。ステレオタイプの思考には、注意する必要があります。

今、お話してきたことは、ごく一般的な見解にすぎません。そして個人差というのは、文化の違いよりもさらに大きいです。一方で、私がこれまで暮らしてきたさまざまな国や文化を通じて、根本的に人は、たくさんの共通点をもっているということも体験してきました。これまで訪れたすべての国で、人々の親切に触れてきました。

文化に関して言えば、その国の文化は時間の経過とともにゆっくりと変化する傾向があります。しかしながら、企業文化は本社がある国に影響を受けながらも、特定の企業に特有のものであり、数年単位で急速に変化する場合もあります。それは、企業のリーダーシップに大きく影響されます。TELの強みの1つは、企業文化がとてもポジティブで、高い目標を達成するために、皆で力を合わせて一生懸命働くことを重視している点です。共通の目標に向かって協力し、TELの社員それぞれのバックグラウンドや視点が会社の強みとなって、問題解決においてより創造的なアプローチが可能な企業です。」

技術とイノベーションに関する見解

急速に技術革新が進む半導体業界において、TELはどのような存在だと思いますか?

「TELは、ワールドクラスの先端技術をもっています。TELの製品の多くが、高い市場シェアをもっていることが、それを証明していますし、TELはお客さまに唯一無二の価値を提供しているということを意味しています。TELで仕事をしている今、TELがビジネスに大きな投資をしていることが分かりました。工場内のさまざまなラボ、研究開発施設、フィールドサイトといった施設は、私が知る限り、業界でも最大規模を誇る企業の1つです。さらに重要なこととして、TELはお客さまと非常に良好な関係を築き、高い信頼を得ている点です。問題が発生した際には、TELはお客さまに寄り添って問題を解決してくれると、高く信頼されています。新しい技術要件が出てきて、その時点ではどうやって実現するか不確かな場合であっても、お客さまはTELを信頼して、私たちと協力することを選んでくれます。

また、TELの強みは「人」です。TELのポジティブな文化、職場環境、あきらめない姿勢、世界に重要な貢献をしたいという情熱は、半導体産業の急速な技術革新を実現していく上で、とても重要です。私は、実際にTELの人を通じて、このようなTELのポジティブな側面を知りました。TELで働くチャンスが訪れたとき、私の決断はクリアで、迷いはありませんでした。」

産業全体においてゲームチェンジとなるような未来における技術革新や、半導体業界の将来予想について、どのように考えていますか?また、技術革新によって、どのような未来を見てみたいですか?

「産業に大きな影響を与える可能性のある技術は、複数あります。数十年にもおよぶAIへの投資が、今や世界に大きな影響を与えていることからも分かります。私も普段、AIを活用していますよ。私はいつも翻訳機能を使っていますが、最近はとても改善されてきていると感じます。AIの将来への応用は、とても興味深いです。例えば、人々の生活を豊かにし、寿命を延ばすといった医学分野への貢献が挙げられるでしょう。また、今後期待されている量子コンピューティングも、大きな進歩を遂げてきています。

半導体製造装置業界においては、EUV(極端紫外線)の代替可能な技術がゲームチェンジャーになるかもしれません。現時点では、微細なパターンを露光する唯一の方法がEUVですから、TELが代替技術を開発できたらいいですね。

望ましい未来というのは、人々の生活の質も含めて向上していくことです。皆さんご存知のとおり、産業は環境に影響を与えます。半導体業界は、大量の電力と水の消費に対応していかなければなりません。TELは環境負荷を軽減し、環境への配慮に力を注いでいますので、とても安心です。 美しい未来をサポートし、人々が健康的な環境で生活できるよう、意義のある貢献をし、その価値を感じることができるような未来を築いていきたいです。」

次世代へのメッセージ

次世代のエンジニアにアドバイスするとしたら、何を伝えたいですか?

「まずは、やってみる!自分の限界は、自分自身の中にあります。例えば、失敗への恐怖がそれです。私はキャリアで何度か失敗しましたが、あきらめず、重要な貢献ができるまで忍耐強く取り組んできました。今では、すばらしい経験となっています。そして、忍耐力をもつことと同時に、自分自身を理解することも大切です。

これまでアメリカでいくつかのリーダーシップトレーニングを受けましたが、優れたリーダーは、自分自身の性格を知り、その場の状況や、周囲の人々に適応したリーダーシップスタイルをもっていると言われています。つまり、自分の周りだけを変えようとするのではなく、本来の自分のスタイルではなくても、必要に応じてコミュニケーション/リーダーシップスタイルを変えることで、よりよい成果に繋げることができます。

私たち全員に輝かしい未来が待っています。いつも感謝し、情熱をもちましょう。自分がどこに進んでいくかなんて、分かっている人のほうが少ないので、心配しないでください。昔は私自身も、自分が半導体産業に進むとは考えもしませんでした。努力を続ければ、やがてうまくいきます。」

最後に、今後の夢を教えてください。

「TELと人々の暮らしに何らかの形で貢献していきたいと考えています。成功することはすばらしいですが、重要なのはその意義です。TELの異なるビジネスユニット間で協力し合い、お客さまに向けた提案を高め、次世代のイノベーションを実現していきたいです。TELの皆さんのサポートを得ながら、何らかの形で社会に貢献することができればと心から願っています。」


Share

Tags

  • 読み込み中

Recruit

私たちは、ともに夢のある社会を実現する仲間を募集しています。